プロローグ
あの日も雪が降っていた。
僕の最後に見た景色。
僕の心を包みこんでくれる様な優しい光。
もう見ることはできない・・・幼い頃の出来事。
目が覚めると頬が生暖かかった。
この夢を見るといつも涙が流れる。
僕の名前は春野紫苑。今年で中学3年生になる。 僕は、8歳の頃から目が見えない。 すごく怖い夢を見た後起きると、視界は真っ暗。 夢から醒めたはずなのに、そこから僕の悪夢が始まることになった。大好きだったスポーツ。
もうできなくなってしまった。
幸い、いじめにはあうことはなかったものの、僕の事情を知らない人たちの視線が刺さるようにいたい。 最初の頃は毎日見えない目から涙を流していた。 でも、ある日から僕は泣くのをやめてしまった。 あの人のお陰で、僕は暗闇のなかで立ち上がる事ができたのだ。そう。今は亡き呉羽夏音のお陰で・・・