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秘められた力①


 「こっちがリビングで、二階が寝室。そっちの部屋は空いてるから、アイルが使っていいよ」


その後、アイルは彼女達が滞在するという草原の中の小屋に連れて行かれた。


家の中を案内されるが、ヴァイス達との生活とは何もかもが違う。しかも大魔導士が率いるパーティーは、全てが驚きの連続だった。


「この家はね、ロロリア様の魔法で造ってるの」


小屋の中を見回しながら歩いていたアイルは、セヴィアが何気なく言った一言に目を丸くする。


「これを、魔法で?」


小屋とはいえ、小さな宿屋ほどの大きさの建物。そんなことまで魔法で出来るなんて考えたこともなかった。


「荷物や食料は、全部この中に収納してる」


そう目の前に差し出されたのは、両手の平に収まるほどの小箱。


「わっ」


アイルがのぞき込んだ途端、その一つから煙が上がり、次の瞬間には立派なよろいに変化していた。


「すごいでしょ。全部、ロロリア様の力よ」


そう言われてみれば、部屋の棚には他にもいくつもの綺麗な小箱や小瓶が積み上げられている。


「確かに、これなら持ち運びも楽そう」


少ないとはいえ全ての荷物を背中にかついで移動していたヴァイスのパーティーとはまるで違う。


序列じょれつでは、魔導士と大魔導士は一つしか違わないけど、その間の差は死ぬほど大きいのよ」


鎧を箱の中に再び納めながらセヴィアが言う。


「普通の人間が長年死ぬほどして辿り着けるのが、魔術師まで。その上の魔導士には生まれついてのわずかな天才しかなれない」

「それよりすごい大魔導士のロロリア様は」


アイルも思いをせてみるが、そんな存在は大きすぎて想像すらできない。とにかく、それだけセヴィアの師匠が偉大ということだけは、ぼんやりとだが理解できた。


「本当は、ロロリア様なら地面を歩く必要なんてなく、空をひとっ飛びなのよ」


私達がいるからしないけど。と付け加えセヴィアは笑った。


「だけど、どうしてそんなすごい人の弟子に?」


何となく二人してリビングの椅子に座りながら、アイルはさっきから気になっていたことを尋ねる。

大魔導士が弟子を取るなんて、今まで聞いたことなかったからだ。


「私ね、孤児院こじいんで育ったの」


少し考えてから そう切り出したセヴィアの言葉にアイルは驚いたが、彼女はまるで世間話でもするように訥々(とつとつ)と語り出した。


「まだ赤ん坊の頃、私の村は魔物に襲われて壊滅かいめつした。両親もその時に亡くなって、そういう子供達の面倒をみてくれる孤児院に引き取られた」


話しながらテーブルの上にあった小瓶をつつくと、二人分の紅茶のはいったマグカップが煙とともに現れる。

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