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出会い②

「ロロリア様は、大魔導士なんだよ」


セヴィアに睨まれオロオロとするアイルに助け船が出た。サーラとソーラどちらか分からないが、とにかく双子の片割れがそんなことを言ったのだ。


「大魔導士」


それならば、当然アイルでも聞いたことがある。


「大魔導士様は、魔法使いの最高ランクなの。世界にたった10人しかいないんだよ」


もう一人の双子が捕捉ほそくしたように、大魔導士は “魔法使い” 系列ジョブの最頂点。

冒険者の中でも魔法を操る職につく者は多く、魔法使い→魔術使い→魔術師→魔導士→大魔導士とランクアップする中で、大魔導士の称号を得られるのは類まれなる才能を持つ選ばれし大天才だけ。

パーティーの中に魔術師のアベッサがいたから、アイルもそれくらいの知識は持ち合わせていた。


「そんなにすごい人が、どうして」


その存在の偉大さが分かれば、アイルがポカンとしてしまうのも無理なかった。

本来なら大魔導士は物語や都市伝説の中の存在であり、よほどのことがなければ一般の冒険者が出会う機会は一生ない。


「ロロリア様は、自らパーティーを組んで冒険に出てる唯一の大魔導士様なんだよ」

「すっごいでしょ」

「そう、なんだ」


サーラとソーラに順番に教えられ、アイルは驚いた顔のままうなずくしかできなかった。


「君の名前は? ソロの冒険者なの?」


しかし、セヴィアから尋ねられた言葉にふっとアイルの表情は曇る。

自らに起こった悲劇を思い出し、それを自分から語るのはどうしても辛かった。


「俺は、アイル。……パーティーを、追放されたばかりで」


やっとの思いで、そこまで告白したのだが


「はあっ? 追い出されて、それで行き倒れてたってこと!?」


目の前で急に怒り出したセヴィアの剣幕に、つい圧倒されてしまった。


「う、うん。でも、それは俺が勝手に歩き回ってたせいだから……」

「そんなの関係ない。仲間がそんな状態なのに助けにも来ないなんて、信じられない!」


何故か自分以上に悔しそうな彼女の姿を見ていると、反対にアイルは段々と冷静になってくる。


「そう言ってくれて、ありが」

「ねえ、アイルも私達の仲間になりなよ!」


そして、微笑んで礼を言いかけた彼にかけられたのは、突拍子もない提案であった。


「え?」

「仲間が増えるの?」

「やったー」


目を丸くするアイルをよそに、セヴィアの言葉を聞いたサーラとソーラが嬉しそうに飛び跳ねる。


「いや、あの」

「うん、それがいいよ。ロロリア様、いいですよね?」


当惑したままの本人を置いてきぼりに、セヴィアは期待に満ちた目でロロリアへと向き直った。

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