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ギルドの噂話②

「当たり前でしょ! たった20歳で大魔導士の称号を得た、数十年に1人の天才よ。魔法使いなら誰だって憧れるに決まってる」


そう豪語する彼女を、他の三人は呆れたようにながめた。


「まあ、今回は弟子の付き添いで来てるので、彼女が出場する訳じゃないみたいですが」

「そんだけの実績がありゃ、弟子を育てるのも自信満々なんだろうな」


職員の補足ほそくの言葉に、ドリンクコーナーでいだビールを飲みながらヴァイスがぼやく。


「私らと比べるのは失礼すぎっしょ」


同じくジュースを手にして笑うネルと、ロロリアがどれだけ美人かを熱く語るアベッサの後ろで、その時 小さくギルドの扉が開いた。


「はい、いらっしゃ……」


窓口から顔をあげ挨拶をしかけた職員の声が止まる。同時に、扉を振り返ったギルド内の冒険者達からは悲鳴が上がった。


「え?」


つられて振り返ったアベッサが目にしたのは、静かにこの空間に踏み入ったまさに話題の人物、大魔導士ロロリアその人であった。


「はっ? えっ? どうして」

「うそっ」

「本物っ?!」


アベッサだけでなく、今やギルドに滞在していた全員の目が信じられないものを見るように彼女へとそそがれる。


「あの、人員追加の手続きをしたいのだけれど」


しかし当の本人はそんな周囲の目など気にすることもなく、いつもと変わらぬ声で窓口に向かいそう告げた。


「あ、は、はい。こちらへどうぞ」


我に返った職員の声に、ガラスのヒールを履いた足がギルドの中を進む。


口をあんぐり開けて固まるアベッサやビールを持つ手を宙に浮かせたままのヴァイスの前を通り過ぎ、ロロリアはカウンターの前へと立った。


「ええと、人員の加入ですね。パーティーメンバーではなく?」


いつものふてぶてしい態度もどこへやら、緊張した面持ちで尋ねる職員にこくりと頷く。


「召使いの少年を一人雇ったの。それも申請しないといけないのでしょう?」


他の者であれば取るに足らない会話ではあるが、ギルドの冒険者達誰もがロロリアの一挙一動に注目していた。


「ええ、ええ。それでは、私が代わりに記入いたしますので。あ、どうぞ こちらの椅子におかけください」


自分達とは随分違う待遇に、少し面白くない顔をしたヴァイス達だったが


「召使いの名前は、アイル。アイル・ネベルカ」


その名前を聞いた途端、顔を青褪あおざめ一斉に立ち上がっていた。

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