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ギルドの日常①


 「ええと、今日は何のご用で?」


ギルドに到着したヴァイス達三人が窓口で声をかけると、奥からうだつの上がらなそうな男がのっそりと出てきた。


「パーティーメンバーが減ったから、その申告だ」


ヴァイスが告げると、男性職員は慣れた様子で窓口に設置された用紙を差し出す。


「こちらに脱退された方のお名前と、脱退理由をご記入ください。日付は今日で大丈夫ですよ」


事務的な口調で説明され、言われた通り紙にアイルの名前を書き込もうとするヴァイスだったが


「それでは、その間に冒険者の心得こころえについて改めてご説明させていただきます。書きながらで良いので、ちゃんと聞いてくださいね」


そんなことを言われ、しかめた顔を彼のほうへと向けた。


「冒険者の心得って、あの冒険者になりたての頃に教えられるやつ?」

「いや、もう充分知ってるからいいって」


ネルとアベッサも面倒そうに断り


「こっちは無駄に長く冒険者やってんだ、そんなの分かってる」


ヴァイスも不機嫌な声で職員をにらむ。


「とは言いましてもねえ。最近は何かあるとすぐ「聞いてない」とクレームをつける冒険者の方が多くて困ってるんです。トラブル防止のため、ギルドで手続きする方には必ず毎回説明させていただいてますので」


あくまで淡々と告げられ、三人は顔を見合わせる。


「それでは」


そんなヴァイス達の態度を了解ととった職員は、一つ咳払いをして語り始めた。


「ご存知の通り、私達の生きる世界では人間と魔物の二種族が古くより争ってきました。その中で、魔族や魔王と戦う者達のことをを“冒険者”、冒険者が集まったグループは“パーティー”と呼ばれ、やがて職業の一つとなってゆきます」


聞かされるまでもない当たり前すぎる話に、ヴァイス、ネル、アベッサはうんざりした。


「やがて相互扶助そうごふじょの観点から“冒険者協会”が設立され、その出先機関として、このようなギルドが各地に置かれるようになりました。全てのパーティーは冒険者協会の許可制のもと、認可を受けたパーティーだけが正式に活動することができます。

ちなみに、冒険者協会の運営は世界中の人々からの寄付で成り立っており、それはひとえに魔王を滅ぼして欲しいという切なる願いに他なりません。私達はこれらのご厚意こういに常に感謝し、必ずや人間側の勝利を……」

「ほれ、書けたぞ」


すらすらと演説を続ける彼に、ヴァイスは書き終えた用紙とペンを投げつけた。


「あ、ここ記入漏れがありますね。太枠の箇所かしょは全て埋めてください」


チラリと用紙をチェックした職員はそれをヴァイスへ差し戻し、再び演説を始める。

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