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『赤毛猫海賊団 カタリナの野望』 ~カタリナ様はワガママ貫き通すってよ~  作者: ひろの
第1章 カタリナ、ついでに弩級戦艦もらっとく  ~ 立ち上げ 初陣編 ~

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第7話 獲物はこれでいい?

新しいクルーを迎え、旅立ちの準備を終えた赤毛猫海賊団は、意気揚々と宇宙へと旅立った。真紅に染め上げられた船体は、星々の光を反射して不気味に輝き、大きくプリントされた海賊旗が銀河にその存在感を強く主張していた。


「さあ、いよいよね。獲物を探すわよ。」


カタリナは操縦席に座り、胸を躍らせていた。しかし、彼女たちの期待とは裏腹に、獲物は一向に見つからない。


海賊を探しても、わざわざ自ら海賊と名乗るような輩は少なく、そのほとんどが商船と変わらない姿をしている。しかも、真っ赤な髑髏旗を掲げた一発で海賊と分かる彼女たちの船には、どの商船も近づこうとしない。


そして、酒場での事件を知っている弱小海賊たちは、「赤毛猫海賊団あたまおかしいやつ」と彼女たちを忌避して近寄ってこないのだ。


一向に獲物が見つからない状況に、カタリナのイライラは募るばかりだった。彼女は操縦桿を叩きつけ、叫んだ。


「もういい!探すの面倒!こいつら狙おう!」


彼女が指さしたのは、メインモニターに映し出されたこの辺りの担当艦隊、第27対海賊哨戒艦隊だった。30隻から構成されており、5隻の駆逐艦、10隻のフリゲート級高速戦闘艦、15隻のコルベット級高速小型戦闘艦という強力な編成だ。


その瞬間、サクラモカの拳骨がカタリナの顎にクリーンヒットした。鈍い音がブリッジに響き渡る。


「馬鹿か!

 1隻のコルベットでその30倍以上の艦隊に手出すって、ありえない!

 その頭の中はからっぽ?!綿菓子でも詰めてるのかよ!」


サクラモカは怒り心頭だった。


「じゃあ、どれ狙うんよ?なんもないんだったらこれよ?」


カタリナは聞く耳を持たない。サクラモカは「絶対本気だ…」と悟った。


彼女は慌ててモニターを操作し、ターゲット候補を探し始めた。


「え……えっと、こいつ!」


サクラモカが指さしたのは、隣の星系プニャードの強欲貴族として有名なドロメル・ファルサ子爵の私設艦隊だった。コルベット級5隻編成という、彼女たちの5倍の戦力だ。

彼は領土である惑星プニャルードの鉱物衛星で、領民を酷使して私服を肥やしていた。


「これはどうですか?」


ミネは別のモニターに映し出された、強欲悪徳商人として有名なトレミス・ガルドンの商船団を指さした。こちらも輸送船をコルベット3隻で守る順当な相手だった。


「よし、これで良いでしょ?どっちか選んで!」


サクラモカがカタリナに問いかける。カタリナは一瞬考え、不敵な笑みを浮かべた。


「うん、じゃんけんで決めよう。3人で勝った人の選んだのが獲物ね!」


「まてまてまて、お前は辞退しろ!」


サクラモカは必死に止めようとするが、カタリナは聞く耳を持たない。彼女は指を握りしめ、高らかに叫んだ。


「最初はグー!じゃんけんぽん!」


カタリナ:パー

サクラモカ:パー

ミネ:グー


トレミスの商船団を選んだミネが、まず脱落した。


「おい!同志ミネ、よえーな!!」


サクラモカが泣きそうに叫ぶ。


「じゃんけんぽん!」


カタリナは構わず続ける。


あいこが7回続いた。カタリナは余裕の表情で、指を動かしている。一方のサクラモカは、額から汗を滝のように流し、脇がぐっしょりになっていた。


「じゃんけんぽん!」


そして、8回目。


カタリナ:チョキ

サクラモカ:グー


「オ……いやっほぉう!!!!!」


サクラモカは歓喜の声を上げ、狭いブリッジ内を三周した。そして、ゴールを決めたサッカー選手のように、床に膝から滑り込み、両手を突き上げた。クルーの女の子たちは直立不動で、拍手しながらその様子を見守っている。


「ん~残念、哨戒艦隊の方が面白そうだったのに!」


カタリナは不満そうに呟いた。


「あほかっ!死ぬわ!!

 それにミネ、お前じゃんけん弱すぎ!

 お前のが一番よさそうだったわ!!」


一通り怒鳴り終えてから、サクラモカは席に座ってモニター画面に星系図を表示させた。


「もういいわ、とりあえず命拾いしたけど、

 ドロメルの私設艦隊も戦力は5倍だからね。」


少し間をおいてから、勢いを強めて続ける。


「勝率5%くらいだぞ、このバカ!!」


サクラモカはそう言いながら、周りの地形や戦力詳細を眺めて考え込んでいる。


「とりあえず作戦考えるから、ミネはプニャルードに向かって」


サクラモカの言葉に、ミネは淡々と操縦桿を動かす。

カタリナは、目をキラキラさせながら初獲物と初勝利を思い浮かべていた。


彼女は知らなかった。このじゃんけんが、今後の銀河の歴史を大きく変えることになるとは。

挿絵(By みてみん)

はーい!カタリナです!7話、読んでくれてありがとね!


ねぇ、みんな!見ました?私って凄く公平でしょ?獲物はじゃんけんで決める!恨みっこなし!

なのにモカったら、私をじゃんけんに参加させないようにするなんて、ひどいと思わない?


でも結果的に獲物決定戦は盛り上がったわね。惜しくも、私は敗れちゃったけど、たまにはモカに勝利を譲ってもいいかな?

ミネ?ん~、あの子は…えっと…まあ、次も頑張ってほしいわね。


それにしても、モカったら、相変わらず文句ばっかり。

「死ぬ」だの「脳みそに綿菓子」だのって。

ひどくない?

でも、大丈夫よ。私、知ってるの。

私たちの船は、銀河一美しいの。だから、どんな相手だって、私たちの美しさには勝てないわ!

それに、今回は私のじゃんけんのおかげで、獲物がドロメル・ファルサ子爵の私設艦隊になったわね。

あの人、超意地悪な貴族だから、ちょうどやっつけちゃっていいのよ!

もちろん、懲らしめるだけよ。懲らしめて全部奪っちゃう!ふふふ。


さあ、いよいよ始まるわよ!私の芸術の第一歩!

この船で、どれだけの芸術を魅せられるか、今から楽しみだわ!

みんなも、私の活躍、ちゃんと見ててよね!

期待しちゃう?だったら、ブックマークや感想よろしくね!


では、次回も楽しみにしててね!


~~~

今回は本編が少し短めだったので、オマケ!


★▼おまけ▼★

この物語に登場する艦型式について、簡単にご紹介します。

宇宙空間での運用を前提としているため、地球上の艦船と比べてはるかに巨大かつ高性能な設計となっています。

記載のサイズや運用人数は目安であり、艦内の自動化が進んでいるため、実際の運用にはその3割程度の人員でも航行可能です。


●弩級戦艦

- サイズ:約1000m

- 運用人数:約900人

- 役割:艦隊の旗艦、または主力となる超大型戦艦。単独で惑星制圧が可能な戦略級兵器であり、圧倒的な火力と防御力を誇る。艦隊の火力中核を担う存在。


●戦艦

- サイズ:約600m

- 運用人数:約500人

- 役割:艦隊の攻撃力を支える主力艦。弩級戦艦に次ぐ大型艦で、多様な武装と堅牢な装甲を備え、艦隊戦の中核を成す。


●空母

- サイズ:約500m

- 運用人数:約650人(艦載機パイロット・整備士含む)

- 役割:多数の艦載機を運用し、広範囲にわたる攻撃・防御・偵察を行う移動航空基地。艦自体の武装は最小限で、艦載機運用に特化した設計。


●巡洋戦艦(重巡洋艦)

- サイズ:約400m

- 運用人数:約300人

- 役割:戦艦に近い火力と、巡洋艦を凌駕する速力を併せ持つ艦種。防御力は戦艦に劣るが、高速強襲・偵察・追撃など柔軟な運用が可能。


●巡洋艦

- サイズ:約250m

- 運用人数:約200人

- 役割:偵察、哨戒、艦隊護衛、通商路保護など多岐にわたる任務を担う汎用艦。バランスの取れた武装と速度を持ち、単独での作戦行動も可能。


●駆逐艦

- サイズ:約150m

- 運用人数:約80人

- 役割:艦隊の護衛、対艦・対宙攻撃、対潜水艦作戦などに対応する高速・高機動艦。小型ながら重武装で、艦隊の「盾」や「矛先」として機能する。


●フリゲート級高速戦闘艦

- サイズ:約80m

- 運用人数:約30人

- 役割:高速・小型の武装艦艇で、奇襲攻撃・哨戒・偵察に特化。ミサイル艇や魚雷艇に近い役割を担い、単独または小部隊での運用が多い。

※コルベット級との違いは、奇襲性能と高速性に特化している点。


●コルベット級高速戦闘艦(小型)

- サイズ:約50m

- 運用人数:約15人

- 役割:沿岸域の防衛、哨戒、特殊任務に用いられる極小型艦。ステルス性を重視した設計や無人機運用能力を持つ場合もある。少人数での運用を前提に、高度な自動化が進んでいる。

※フリゲート級との違いは、特殊任務・ステルス性・少人数運用への特化。


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