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『赤毛猫海賊団 カタリナの野望』 ~カタリナ様はワガママ貫き通すってよ~  作者: ひろの
第2章 カタリナ、ついでに内乱鎮めとく  ~ イケメン海賊団編 ~

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第41話 引っ越し先の下見にいくぞ!

第2章 カタリナ、ついでに内乱鎮めとく  ~ イケメン海賊団編 ~

「おねーちゃん、何してるの?」


「引っ越しするんだから、荷物まとめてんの。」


「……どこに引っ越しするの?」


「ペドロ―ニャン星系。」


「…のどこ?」


「…のどこか。

 …………あぁー!下見にいくかー!!」


サクラモカが呆れたような顔をする。


「おねーちゃん、暇なんだろうけど、テレビでも見ててよ。

 私とミネでちゃんとやっとくから。」


いつも通り話を聞かずにマイペースにサクラモカを巻き込む。


「はい、ガイドブック。モカ、一緒に見に行こ。」


「はぁぁぁ!?私、やることあるの!おねーちゃんと違って!」


「ミネー?モカを借りていい?下見、行ってくるわー!」


「ちょ、ちょっとー!」


「はい、どうぞ。モカ様のお仕事は私が引き継いでやっておきます。」


「ミネェ!!!そこ優秀さ出さなくて、いいとこっ!!!」


ミネもサクラモカを無視して淡々と日常業務と引越し立案を平行作業している。

そのまま、顔も向けずにつけ足した。


「あ!お二人は生活能力、ほぼゼロですから、ジーナさんの部隊を連れて行ってください。

 彼女達は世話焼きなので、ちょうどいいかと。

 バッカニア号には物資と燃料を満タンにしてあるので、それに乗っていけばいいです。」


「ミネー!手際いいねー!モカ、諦めろ。ジーナぁ!いるぅー?」


遠くからジーナが笑顔で走ってくる。


挿絵(By みてみん) 


「はいはーい。団長呼びましたー?飲みっスか?

 いいっスねー?今夜っスか?空いてますって!18時から?

 はい、二人の予定表に入れておきました!」


「ジーナ、飲みじゃないよ。」


「あぁ??」


あからさまにテンションが下がるジーナ。


「仕事だよ、仕事。」


「あぁ、仕事!?承知っ!飲み会の手配っスね!

 引っ越し前々……前夜祭っスね!いいっスね!いつがいいですか?」


「飲みから離れろ、ジーナ。」


「あぁ??飲みじゃねーのかよ。」


(ミネ………今、忙しいからって、めんどくさい奴ら、まとめて追い出そうとしてるな?)


ミネの真意に気づいて、サクラモカが心底うんざりした顔をした。


「えっと……ジーナ。

 あんたの部隊はこれからおねーちゃんや私と一緒に、ペドロ―ニャンの下見に行って欲しいの。」


「え?!下見、いいっスね!

 引っ越し先にいい飲み屋が無かったら、人生終わりますもんね!」


「………とにかく!

 明日、出発するから、おねーちゃんもジーナ達も準備をして!」


「いえっさー!」


・・・

・・


ペドロ―ニャン星系までは片道20日弱の道のり。


バッカニア号の生活スペースで洗濯もできるので、手荷物は赤毛猫海賊団の制服、普段着を含めた1週間程度の旅行のよう。


最初こそプチ旅行として楽しんでいた、カタリナとサクラモカは、どんよりとした目でチーズアーモンドをかじっている。


「ジーナ、寄り道して。」


ついにカタリナが呟いた。ビール片手に飲酒操縦しているジーナが不思議そうに振り返る。


「へ?どうしました?寄り道なんてせずに急ぎましょうよ。」


「コンビニ衛星基地でいいから寄ってよ。

 お弁当でいい、普通のごはん食べたい。

 なんでこの船、普通のごはん置いてないの!

 1週間、ツマミしか食べてない。

 死ぬ。明日死ぬ。もう死ぬ。」


「なぁに言ってるんっスか!

 それ、ビールにめっちゃ合う極上のツマミっスよ。

 ミネさんが色々食料を積み込もうとしてましたけど、コルベット狭いっス。

 全部どけて、ツマミに置き換えときました!

 栄養なんてマルチサプリ飲んどけばおっけーっス。

 急ぎますよー!」


「ジーナ、あんたも生活能力ゼロじゃん……。

 私も普通のごはん食べたい………。ミネ、嘘つき。」


サクラモカもぼやく。姉妹揃って肩を寄せ合い、項垂れた。


結局、ツマミとマルチサプリでの生活を3週間乗り越えた。

最悪なプチ旅行は無事20日ほどかけて終わり、ペドロ―ニャン星系に到着、星系基地の民間港に寄港した。


「ごっはん!ごっはん!おいしいーごーはん!」

「あぁ……食堂行こう!食堂!」


カタリナとサクラモカがそわそわしながら船が停止するのを、ぴょんぴょん飛び跳ねながら待っている。


「団長!無事付いたんで、今日飲みましょう!」


「勝手に飲んでろ!今日は自由時間にするから明日、作戦会議ね!!」


ハッチが開くと、二人はジーナやその部下を置いて、走り出した。


「モカ、何食べる?!」

「塩辛くない奴、なんでもいい!」

「同感!」


田舎星系の星系基地、その内部にある民間居住区は寂れて人も少なく、その中に小汚い食堂を見つけたので迷わず入った。


客が他にいない中、二人は席に着きメニューを眺めた。


「高いね。」

「うん、いや、でも今日は食べたい。」


水を運んできた店主の奥さんが申し訳なさそうに呟いた。


「悪いね、税金が高いんだ。

 公領税が多すぎて、この値段の半分が税金なのさ。」


カタリナが渋い顔をして、その顔をみるが、嘘は言っていなさそうだった。


「とんでもない領主なんだな。」


「あぁ。でもね、私らは密告したりはしないけど、外でそういう話はしない方がいいよ。」


その後、たくさん注文してくれて嬉しかったのか、笑顔を見せて厨房に向かっていった。

そして、二人分にしては多めの料理が運ばれてきた。


「ま……まずい!」

「うん。ミネの料理に比べたら美味しくない!」


その言葉をきいてムッとした店主と奥さんだったが、涙を流しながら一心不乱に食べる二人を見て表情を緩める。


「うん、幸せ。」

「そうだね、おねーちゃん、まずいけど……美味しい!」


「あんた達、公爵様に酷い目にあわされたのかい?言ってることが滅茶苦茶だよ。」


二人が食べ終わりそうになって、ついに奥さんが割り込んできた。


「おねーさん、ご馳走様!(おつまみより)美味しかったよ!」

「ご馳走様でした。(おつまみより)美味しかったです。」


3週間もオツマミとマルチサプリ生活を強制されたので当然である。


「え?あぁ、喜んでもらえてこちらも嬉しいよ。」


「で、おねーさん、公爵ってそんなに悪い奴なんだ?」


カタリナが急に真面目な顔で問いかけた。

挿絵(By みてみん)

…副団長のサクラモカよ。ここまで読んでくれてありがとう。


はぁ…もう、心底疲れました。


おねーちゃんの**「どこかのどこか」に引っ越すっていう思いつきに振り回され、ミネの「面倒な奴らをまとめて追い出す」**という計算にまんまとハマり、地獄の船旅を強いられたわ。


聞いてくれる?ジーナの奴、コルベットが狭いからって、ミネが用意してくれた普通の食料を全部どけて、ビールに合うツマミに置き換えるなんて!生活能力ゼロにも程があるわよ!


私もおねーちゃんも、3週間ずっとチーズアーモンドとかのツマミとマルチサプリだけよ?団長も副団長も、ツマミで死にかける海賊団なんて、銀河広しといえど、私たちくらいのものでしょうね!


だから、このペドロ―ニャン星系に着いて、あの食堂で食べたご飯。塩辛くなくて、温かい。それだけで、涙が出たわ。確かにミネの料理に比べたら全然美味しくないけど!でも、**「まずいけど、美味しい!」**って言っちゃうくらい、私たちは飢えてたのよ!あの店主の奥さん、絶対私たちのこと、公爵様に拷問でも受けたと思ってたわね!


そして、ここからが本題よ。

この星系、本当にヤバいわ。あの寂れ具合、物価の高さ、そして奥さんの話を聞く限り、領主のエルノ・グラシェ公爵は、札付きの悪党ね。


うちのおねーちゃんときたら、ああいう話を聞くと、「悪者成敗」のスイッチが入るんです。もう、あの真面目な顔を見た瞬間、私の背筋が凍ったわ。


きっと、この「下見」は明日から**「公爵ぶっ飛ばし作戦」**に変わるに決まってる!準備もなしに、コルベット一隻と、生活能力ゼロの団長とツマミ狂いを連れて、内乱の危機がある星系に乗り込むなんて……もう、頭痛がするわ!


…でも、仕方ないわね。

おねーちゃんの**「やりたいこと」は、私が軍事的天才として全力で叶えてあげる。それがおねーちゃんラブの宿命**よ!


次回、いよいよ公爵様にツッコミが入るのか、それともイケメン海賊団が出てくるのか。


皆さん、私も頑張ってツッコミと戦術を両立させるから、応援してね!


(次こそは、ミネに頼んで、バッカニア号の操縦をジーナから取り上げさせるわ!)

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