第40話 引っ越し先を決定していい?
アジトがあるクラーニャ星系基地にカタリナ達が帰還した。
先に戻っていたミネが出迎える。
「カタリナ様、レティシア様を”宇宙港まで”ちゃんとお送りしましたか?」
ニコニコの笑顔で意気揚々と歩いてくるカタリナにミネが問いかけた。
「もち!もちもちだよ!ちゃんと宇宙港の近くのリゾート地に下ろしてきたよっ!」
何かを察してミネは頭を抱えた。
「レティちゃん、虐めちゃだめってあれほど言ったのに。」
サクラモカもメンバーに色々と指示を出しながら、急に横から割り込んできた。
「虐めてないって、あいつイルカと一緒に泳いで楽しそうだったよ。
いい思い出になったんじゃないかな?
あいつって忙しいから、無理やりでも遊びに連れ込まないと休まないんだ。
この気配りは、親友としては当然!」
後ろからついて歩くマリーナ船長が二人と目を合わさないようにうつむいた。
二人とも察した。
「よーし!私の旗艦……………に会いに行くか……。」
「その間は何ですか?」
不思議そうにミネが確認すると世も末な顔をしてカタリナが答える。
「艦名を叫ぼうとして……止めた……。」
「なぜ?メッタメタ号、気に入らないんですか?」
「そのどこに気に入る要素があるんだよ!で、何番ドック?」
「いえ、ありません。」
「え?」
「いや、だからないです。」
カタリナが過去イチの大きさで目を見開いた。
「はぁぁぁぁぁ!?おい、ミネ!まさか2隻目も壊したのか!?」
ぷち・・聞こえるような音でミネの血管がプチキレる。
そしてカタリナを四の地固めに締め上げて叫んだ。
「わ・た・し・が壊すかっー!誰かさんと一緒にするな!……でございますっ!」
「ぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!!ぎぎぎ……ぎぶ……ギブアップ…いでで…ミネ落ち着け。」
ようやく解放すると、カタリナは息を荒くして両手をついて座り込んだ。
「痛い……ミネ……痛い痛い。じゃあ、どこにあるのよ!!」
「内緒です。カタリナ様には触らせるな!というのが私達の総意です。
大丈夫です。赤には塗ります。そして最強に改造します。私が!
もちろん、スタイリッシュにです!私がやります!
わ・た・し・が!!」
「はっはい……みっミネに任せたら安心です……」
勢いに気押されてカタリナは小さく頷いた。
だが、すぐに表情が変わる。
「モカ!幹部全員をアジトの大広間に集めて!」
指示を出していたサクラモカはタブレットを思わず落とし、ミネの顔が不快で歪んだ。
そしてこれまた不快の極みといった顔で振り返ったモカが尋ねる。
「嫌だと言ったら?」
「1時間後に集合ね!」
「はぁぁああぁ……そうだよね、そうだよね。
その選択肢はないよね。
分かってます。分かってます……はぁぁぁぁぁ……。」
サクラモカのため息が宇宙港に響き渡った。
1時間後、サクラモカ、ミネ、そして幹部が大広間に集まった。
そしてカタリナが大きく、よく通る声で話し始めた。
「私達は大きくなった。そしてこの辺りにはもはや獲物はいない!
今私達は引っ越しの時だ!」
「……引っ越し先なら私とミネで選定してるから、おねーちゃんはややこしくなるから、黙ってて欲しいんだけど。」
「場所は決まっている!ペドロ―ニャン星系、あそこには無人の居住惑星が多数存在し、移住計画頓挫に伴う、コロニー施設が打ち捨てられている。」
ミネが冷静に話に加わった。
「ペドロ―ニャン星系は一応候補の一つにはなっています。
確かに居住惑星と打ち捨てられたコロニー施設が多数存在し、惑星単位でアジトにできます。」
続いて不審な顔でサクラモカも話に入って来た。
「でも、ペドロ―ニャンは治安が悪すぎて候補から外したんじゃなかったっけ?」
だが、珍しく真剣な顔でカタリナが詰め寄る。
「モカ!私達は何者だ?!」
「え?海賊団。」
「そう、海賊団だ!じゃどんな海賊団だ?!」
「えー?えっと……おバカな海賊団?」
「そう!おバカな海賊団だ!どれくらい!?
……ん!?ちがうよぉ!!!」
「じゃ何よ?」
「私達は義賊だ!弱きを助け、悪しきから奪う!」
「……いつから義賊になったんだっけ?
悪ノリで弩級戦艦を強奪しただけじゃん?」
「いやー!もう!盛り上がってるところに水差さないで!
とにかく、もう決めたの!あそこには悪くてエロい公爵がいるんだ!
次は奴から根こそぎ奪い取る!」
「悪エロいってキモ最悪な奴だな……。」
こそっとミネがフォローする。
「多分、エルノ公爵の事だと思います。」
そんなことは一切無視して、カタリナのマイペースな演説が続く。
「そして、もう一つ、私の悪党センサーがビンビンに反応する奴がいる。
シルバーランス海賊団だ!」
「え?シルバーランスってあの?」
「きゃあ、もしかしてルキウス様!?」
「聞いたことあると思ったらルキウス様の本拠地よ!?」
幹部の女の子達が色めきだった。
「え?え?ルキウスってなに?」
サクラモカが慌てて幹部の子の元に向かって、その情報を確認した。
「この方がルキウス様です。とても強くて、まるで貴族のように紳士的。
それでいて、弱きを助け、強きを挫く。まさに義賊なんです!」
サクラモカも指で彼女達が示した情報をフリックしながら何枚も記事を確認する。
「うん、異議なし。私はペドロ―ニャンでもいいわ。」
180度方向転換して、サクラモカもノリノリで引っ越し先に賛成した。
「私もペドロ―ニャンで問題ありません。惑星単位でアジト構築は夢があります。」
ミネもいつも通りの顔で賛成した。
「おっけーね!よし、………メ…………………メッタメタ号…が出来上がったら引っ越し開始!
引っ越しの総責任者はミネ、よろしく頼むわ。」
「サクラモカ、引っ越し前にどれかの惑星をターゲットにして、先住の海賊達の追い出しが必要ね。」
「面白くなってきた!みんな、赤毛猫海賊団は何があっても突き進むぞ!おー!!」
「おー!!!」
こうして、赤毛猫海賊団は弩級戦艦を得て、次なる舞台へと進む。
その先で弩級戦艦すらも凌駕する大トラブルに巻き込まれるなどとは、誰も思いもよらなかった。
―――第1章 カタリナ、ついでに弩級戦艦もらっとく 終幕―――
はーい!カタリナです!1章、完読、ありがとね!!
弩級戦艦強奪完了!
なんか文化祭のノリで弩級戦艦強奪したとかなんとか聞こえてくるけどノリとかそんなのどうでも良くて結果がすべて!あはははは!私が凄いのは一目瞭然!
次は内乱編がスタートしますが、その前に引っ越し計画。
私は、確かにちょっとルキウスはカッコいいとは思ったけど、あいつ私の悪党センサーがピクピク反応するのよ。だからあいつ絶対悪者!
そういう意味で面白い展開が舞ってると思ってウキウキよ!
モカはあー見えて、ミーハーだからイケメン有名人には弱いの。
だからころっと意見変えて私の引っ越し先に同意したわね。
ミネは、まぁ、なんかオタク魂に触れたんだと思う。
素直に死がってくれてよかったわ。
でも、これでようやく、全力で次の展開にチャレンジできるわね!
さて、私達のこのノリについてこれたみんなは、きっと次も並走できるはず!
よろしくね!
感想、評価、次の章でも待ってるからね!
イケメンが登場するなら私にも恋の予感が!




