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『赤毛猫海賊団 カタリナの野望』 ~カタリナ様はワガママ貫き通すってよ~  作者: ひろの
第1章 カタリナ、ついでに弩級戦艦もらっとく  ~ 弩級戦艦 強奪編 ~

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第27話 弩級戦艦、ホントに奪っちゃっていい?

各艦のドリルヘッドが弩級戦艦の装甲に突き刺さる。


金属が軋む音。

艦内に響く警報。

だが、AIは沈黙したまま。

誰も反撃しない。


ドリルが装甲を突き破り、切っ先が開閉する。


中から大量の睡眠ガスと同時に防護服を着こんだ赤毛猫海賊団達が突入した。

団員達はポータブルガス噴出機を背負い、さらに散布する。

睡眠ガスが、ゆっくりと艦内を満たしていった。


各船長は事前に入手した同型艦の極秘設計情報(コタ入手)から艦内構造は頭に叩き込んでいた。

一切迷うことなく、各隊の目的地に向かう。驚きと睡眠ガス、そして団員達の手際の良さにほとんど抵抗らしい抵抗も見られず、機関室や情報管理室、武器庫、艦橋といった最重要目的地の制圧を完了した。


全てにおいて計画通りのように見えた――ただ1点の誤算を残して。


誤算――これはコタですら想定していないことだった。


この船に――――今後、腐れ縁のように赤毛猫海賊団に付きまとうカタリナの永遠のライバル――そう、彼女が視察のため、偶然乗り合わせていた。



カタリナたちネコパンチ号のクルーが、艦橋を占拠した。団員達が眠るクルーを蹴りどかして、座席につく。

そして各隊からの制圧の連絡が次々と届いた。


情報管理室でのAIの再起動、機関部の確認と団員の配置、敵襲撃に備えて砲台の占拠、艦内のライトが一瞬ちらついた後、完全に制御が回復した。


他の団員が生体レーダーを使って眠る敵兵を脱出ポッドの傍に運んでいる。

どこかでこいつらを捨ててしまえば、完全に強奪完了である。


その時、6番艦のジーナ船長から連絡が入る。


「団長、大変です!酒盛り余興大臣のタロサが寝てるんです!」


「ん?また二日酔いの寝不足か?ジーナ、あんたがしっかり教育しないと。」


「じゃなくて~!!!防護マスクを奪われて寝てるんです!!」


「え?」


カタリナが不思議な顔をした時、艦橋の扉が開いて両手にレーザーナイフを構えた一人の女が現れた。


挿絵(By みてみん)


「海賊ども!好き勝手はさせん!私はレティシア・フォン・シュヴァルツ准将!海賊対策本部参謀!」


「は?」


皆が唖然とする。


「この私が偶然、ここに居合わせたことがお前達の運の尽きだ!ん?あ、お前だな?最近この辺りを騒がせているカタリナとかいう海賊は!!」


「え?私がカタリナだけど、お嬢ちゃん、対賊ごっこ中?」


「子ども扱いすんな!私は大人だ!准将だ!!ふっざけた奴だな!」


カタリナが疑問符いっぱいな顔で、レティシアの絶壁を見る。


「子供じゃん………。」


視線の先に気づいたレティシアが顔を真っ赤にして叫びながら飛び掛かった!


「ど…こ…み…て…言ってる…の…よ!!!」


速いっ。カタリナが即座に真面目な顔になってレーザーブレードを起動し弾いた。


その後も舞うようにナイフを繰り出すレティシア。

あまりに速い連撃にカタリナも防戦一方となる。2本目が起動できずにまた一歩また一歩と後退した。

周りの団員はサクラモカやミネも含めて割り込めない。固唾を飲んで見守った。


大振りのフィニッシュを辛うじてかわした後バク転して距離をあけて、ようやく左手のレーザーブレードを起動した。


「子供と侮って悪かったな。お前もスピード重視の二刀流か。」


二人の天才剣士が両手に刃を構えてにらみ合う。

さぁ、本領発揮だ!カタリナがそう言おうとしたが、レティシアが先んじる。


「ふん、これから本領発揮です……みたいな顔してるけど……。私だってさっきのは10%の実力よ!」


「はぁ!?私だってさっきのは5%でしたー!!」


「な!?言い間違えた。1%よ。」


なんとなく二人がアホっぽいことに気づいて、緊張していた団員達も自分の作業に戻る。


「おねーちゃん、そいつ何とかして。」


「分かった!」


二人の剣撃は普通の人には追い付けないほど速い。双剣を使って、まるで機械のような正確さと速さで、攻撃し、弾き、避けた。


「思ったより強いな、こいつ。」


カタリナが剣をさばきつつ、体格差で押し込み蹴り飛ばした。

レティシアは大きく吹き飛ぶが、空中に2回転した後、そのまま華麗に着地する。


「モカ、多分時間かかる。私はこいつを誘導してネコパンチまで行く。まずは団員みんなの安全が優先だ。先に逃げて!私はあいつをやっつけた後、ネコパンチで合流する!」


「え?!あ、わかった。油断しないでね!」


「何をごちゃごちゃと!!」


再びレティシアがカタリナに切りかかった。

辛うじてさばきながら、上段突きをかわすと同時にスライディングして立ち位置を逆転した。


「ここ狭いわ!場所変えるわよ。ついてこれる?」


そういうと艦橋から抜け出して走り出した。


「あ、逃げるな!逃がすわけないだろうが!!」


レティシアも追いかけた。

二人が居なくなった後、サクラモカが冷静に指示をだした。


「みんな、あと少し頑張って!準備が整い次第、出航する。まずは星系境界まで逃げ切ってFTLジャンプよ!」



・・・

・・


「どこまで逃げる、カタリナー!!」


「ほんとにめんどくさい奴だなぁ!」


追い付かれそうになりながらも、全速力で廊下を駆け抜ける二人。

そしてネコパンチのドリル開口部に滑り込んだ。レティシアも追う。


カタリナはそのまま艦橋まで走って、ドリル開口部の閉鎖スイッチを押し、逆噴射も合わせて操作した。

ネコパンチ号が弩級戦艦から切り離された。


「ちっ・・仲間を救ったか。まぁいい、まずは頭から捕まえてやる!もう逃げ場はないぞ。」


「逃げてないっつーの!こっから実力をだしてやるよ!お前なんか0.5%の実力で十分だ!」


「きぃぃぃ!!!」


二人は連撃剣舞を再開した。


・・・

・・


「準備が整ったわね。システムチェック!オールグリーン!よし全速前進、この宙域から離脱するわよ!!」


メインエンジンが起動し、弩級戦艦が進みだした。


(おねーちゃん……絶対に戻ってきてよね!)


・・・

・・


ネコパンチ号の中では、激しい戦闘が今なお続いていた。


「しつこい!!」


カタリナが怒りの肘鉄をくらわそうとする。レティシアは易々とかわした。

その肘が、赤と黄色と黒の目立つ模様で飾られたヤバそうなスイッチを押しこんだ。


艦内が震えて赤色ライトが点灯する。ようやく二人とも攻撃を止めた。


「え?何?」


「あ……あんた緊急FTLジャンプを起動したでしょ!!」


レティシアが叫んだ。


緊急FTLジャンプ―――戦場から緊急離脱するFTLジャンプのことだ。自動計算で安全な場所を算出し、そこに強制的にFTLジャンプする。ある意味どこに飛ぶかも分からないランダムジャンプで、よほど危急の際にしか利用しない。船体への負荷も非常に高く、緊急FTLジャンプによって艦が大破・沈黙する例もあるほど危険な手段だ。


そのスイッチをカタリナは押した。


一瞬、世界が歪んだ気持ちになったが、その後は元に戻り、電気が消えて非常灯が点灯した。


「どこかにワープした!?」


・・・

・・


サクラモカが心配そうにネコパンチ号を見ている。その時、ネコパンチ号が揺らいだ瞬間、粒子状に分解されて飛び去った。


「はぁぁぁぁあああ?!おねーちゃん!?」


ミネが冷静に呟いた。


「緊急FTLジャンプですね……探さないといけない。……チッ。」


サクラモカのツッコミ芸がそれに応える。


「ね?さっき舌打ちした?!」

挿絵(By みてみん)

はーい!カタリナです!27話、読んでくれてありがとね!


どうだった?私とあの子のバトル!

やーっぱり私って天才!みんなの安全を守るために、あいつを誘い出して、ネコパンチまで連れてくるんだから、完璧じゃない?

あの子もなかなかやるわね!

まさかあんなところでこんな強敵に出会うなんて、しかもすっごい速さ!

でも、私にはかなわないわ!

だって、私の実力、まだ1%も出してないんだもん!

……ん、んん?0.5%だっけ?

まぁ、どっちでもいいや。


でも、最後の最後にやっちゃった…。

FTLジャンプのスイッチ、あれ、なんだったんだろ?

なんかヤバそうなスイッチだなーって思ってたんだけど、まぁ、いっか!

きっと、私のことだから、ナイスな場所にワープしたはずよ!

だって、私は完璧だもん!


あー、でも、モカとミネには怒られそう…。

また連絡が取れなくなっちゃったし。

二人が泣いてる顔が目に浮かぶわ。


え?私、遭難したの?ちょっとちょっと~~やだやだ!助けて!


ま、焦っても仕方ないや。

さーて、私はどこにワープしたのか、コメントで予想してね!


【カタリナ団長より、みんなへの指令!】

この完璧な団長(私)の未来の活躍を、誰よりも信じているのは、この物語を読んでくれているあなた達よね?

私が最高の場所で次の冒険を始めるために、今すぐ応援を届けてよね!


ブックマークや評価、感想で、 「カタリナ団長は絶対に大丈夫!」 という 世界一強力な念力 を私に送ってちょうだい!


応援が多ければ多いほど、私がワープした先の惑星は、きっと美食の星に違いないわ!


では、また次の舞台で会いましょう!

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