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『赤毛猫海賊団 カタリナの野望』 ~カタリナ様はワガママ貫き通すってよ~  作者: ひろの
第1章 カタリナ、ついでに弩級戦艦もらっとく  ~ 弩級戦艦 強奪編 ~

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第26話 作戦決行していい?

5日間はあっという間に過ぎた。


ドリルヘッドの動作確認。

コタから届いた新兵器の装備。

新兵器の使い方の確認と事前シミュレーション。

突入の際の装備の準備、手はずの確認。

各艦への最低限の補給。

敵の動きに変化がないかの諜報。

リスクに備えて、第二第三のバックアップ計画立案。

そして、新規メンバー200人分の大臣任命。(←おねーちゃんの5日分の作業)


その準備は全く抜かりなく、メンバーの緊張感は増していった。


「コタは現地で合流だっけ?」


「えぇ。そう聞いてる。」


「じゃあ、揃ったな!みんな!気合入れろ!赤毛猫海賊団の一世一代の大舞台だぞ!」


「おぉぉ!!!」



300人もの団員が時をずらし、バラバラと星系ドッグに向かい、コルベットに乗り込んで出航した。目的地で合流して船団を整えた。


「ここで待機よ。おそらく私設艦隊イリブラは私達のこと、路上の石程度にしか思ってないはず。いきなり撃ちこんで来るか、轢き潰そうとするかもしれない。それを打開できるかどうかはコタの秘密兵器次第ってこと。」


「コタの秘密兵器って反物質ミサイルだっけ?」


サクラモカがニッコリ笑って否定した。


「ううん、やめたの。あれってさ、ちょっとあっちにも犠牲が多いよね。なんか可哀想だし。コタがね、もっとすごくて、もっと派手で、もっと効率良い秘密兵器を探してくれたのよ。」


「へぇ……そうなんだ!おねーちゃんもちょっと気にしてたんだよね、その犠牲って。でもめっちゃ楽しみ!!」

「そうなんですか?お父さんの本気……恐ろしいけど確かに楽しみですね!」


カタリナとミネが珍しく意見を一致させて興奮している。


そうこうする内にポンコツ巡洋艦が赤毛猫艦隊の先頭に躍り出た。


「あ、コタかな?もうすぐ敵が来るってことね?」


星系レーダーによると、まもなくイリブラが視界に入る。

そう言っている間にイリブラが現れた。

サクラモカの予想通り、赤毛猫海賊団のコルベット10隻+ポンコツ巡洋艦の小規模艦隊ごときは歯牙にもかけていないようで、弩級戦艦である旗艦を後ろに下げ、およそ60隻の大艦隊が彼女達を踏み潰すように進もうとしていた。


巡洋艦に乗るコタ助手大臣 ルーシーが通信を繋いできた。


「作戦開始します。団長!号令を!」


カタリナが大きく頷いて叫んだ!


「総員、戦闘配備!作戦を決行する!各自の健闘を期待する!!」


団員がコタの秘密兵器に関して、ドキドキしながら見守った。

秘密兵器実行後に突撃する。


巡洋艦の前部ミサイル口が開くと大型の射出レーンが現れた。ミサイルではない何かを打ち出す気のようだ。そしてその何かがイリブラの前衛60隻の中央に向けて打ちだされた。


まるで打ち上げ花火のようにふらふらと軌跡を残して飛んでいき、その中央で消えた。


「え?何が起きたの?」


皆が混乱する。反物質ミサイルよりも派手と聞いていただけにまさかの失敗が脳裏に浮かんだ。


しばらくすると急にイリブラの前衛艦隊が全てその中央に向けて進み始めた。いや、吸い寄せられている?!

そのまま60隻が一点に密集し、ぶつかり座礁していく。


ミネが叫んだ!


「グ……重力井戸投射機グラヴィ・スパイク!?」


「え?」


ミネが興奮気味に全艦艦内放送で一気にオタク説明を開始した。おそらく説明の機会を奪われてコタは悔しがっているに違いない。


挿絵(By みてみん)

「こっこれは先駆文明1万年のアーティファクトです!一回限りしか使えない重力兵器とのことですが、局所空間に“人工重力井戸”を短時間発生させることで、周囲の艦船を強制的に吸引します。投射後、半径数十kmの空間に“重力の谷”が生まれ、艦船の慣性航行を狂わせるんです。ぷはっ…はー、はー…。

 これは 量子重力干渉素子を用いて、局所空間の時空テンソルを歪ませることで、通常の重力場ではなく、“慣性座標系の崩壊”を起こし、艦船の自動航行補正が暴走するんです! 艦船同士が“互いに引き寄せられる”ように見えますが、実際は座標系が崩れているだけなんです!投射機自体は空間歪みによって自壊するため、完全に一回限りしか使えない超高級、激レアSSSトリプルエスUSRウルトラエスレアアーティファクトなんです!!」


ぷはぁ……ほとんど息継ぎせずに説明しようとして窒息しかける。


「なんて物を用意したんですか、お父さんは!!」


団員のほとんどが理解できなかったが、ミネの興奮で凄い物であることは理解した。


「でも、確かに60隻全部足止めできたよ!全艦ドリルヘッド起動!突入準備!」


冷静にサクラモカが指示を出した。

その時、再度ルーシーが通信を繋いできた。


「少々お待ちを!第二弾秘密兵器、射出します!」


今度は特殊なミサイルを弩級戦艦に向けて打ちだした。弩級戦艦は目の前の光景に大混乱で装甲を展開することもできなかった。ミサイルが弩級戦艦に突き立った。

ルーシーが叫ぶ。


AI干渉弾オルゴール・コード、命中。起動します。」


またも、ミネが超・超・超・超・興奮気味に説明を奪った。


AI干渉弾オルゴール・コードぉ!? また何てものを!!これも一回限りの量子干渉型AIスタン兵器……先駆アーティファクトです!対象艦船の人工知能に“自己矛盾を含む命令列”を送り込み、処理不能状態に陥らせる装置です。はー、はー…。

 量子暗号通信を逆手に取り、“自己参照型の命令列”を挿入するんです。例えばですが、『この命令を実行するな。ただし、実行しない場合はこの命令を実行せよ』という感じです。AIが論理的スタックオーバーフローを起こして一時停止、最近の艦船はほとんどの制御にAIが絡んでいます。これは艦船をスタンさせるための秘密兵器です。はー。

 通称“オルゴール・コード”と呼ばれるのは、命令列が音楽のような構造を持っているからなんです!」


これも息継ぎを忘れて説明し終えた。その熱さは団員には3割程度しか伝わっていないだろう。

またも冷静にサクラモカが指示を出す。


「なんかすごいわね。あの規模の艦船ならばAIを再起動させるまでに相当時間がかかるはず。逃げることも反撃することもできないわ!今のうちにドリルヘッドで各艦、指定の位置に取りつけ!そして睡眠ガスを艦内に注入し、防護服を装備した上で全員潜入せよ!」


カタリナは目を輝かせてその光景を見つめていた。


「おねーちゃん、最後の号令は任せたよ。」


カタリナが我に返った。サクラモカに満面の笑みを向けた後、大声で叫ぶ。


「総員!とぉぉぉぉぉつげぇぇぇぇきぃーーーーーーー!!!」


10隻のコルベットがドリルヘッドを回転させながら高速で弩級戦艦に襲い掛かった。

挿絵(By みてみん)

…ここまでお読みいただき、ありがとうございます。執事補佐のミネ・シャルロットです。


ついに作戦が決行されました。カタリナ様と私が遊んでいた2か月、サクラモカ様とお父さんが準備を進めていました。特にお父さんは私たちに想像もつかないような秘密兵器を用意してくれました。


今回の作戦は、私のデータ分析を超越した、まさに奇跡的な出来事でした。

重力井戸投射機グラヴィ・スパイク」と「AI干渉弾オルゴール・コード」…。

これらは、非合理的なカタリナ様を助けるために、お父さんが用意した、この世界に存在するはずのない「例外」です。

しかし、その効果は絶大。無謀な賭けに見えましたが、お父さんの計画はすべて正しかったようです。


お父さんは、カタリナ様が犠牲者を出したくないという気持ちを知っていて、この2つの兵器を探し出したのです。

そのことに気づいた私は、お父さんの偉大さを改めて知りました。本当に尊敬しています。


…お父さんには、この兵器の解説を私が横取りしてしまったことを謝っておかないといけませんね。

絶対に悔しがっていることでしょう。

しかし、仕方がありません。

これほどの超弩級アーティファクトを前に、オタクの血が騒いでしまったのですから。


さて、私達の戦いはまだ始まったばかりです。

弩級戦艦強奪は、私達が目指す大きな目標の第一歩に過ぎません。

この先、どのような困難が待ち受けているのか、まだ私には分かりません。

しかし、カタリナ様の笑顔を、そしてサクラモカ様の安心した表情を見るためならば、私はどんな困難にも立ち向かえるでしょう。


【執事補佐ミネより、至上命題のデータ収集について】

読者様!

今、このエピソードが 「神回」 であったことは、疑いようのない事実です。

この歴史的な瞬間を、客観的なデータとして記録に残す必要があります。


どうか、この興奮を「最高のデータ」として私に提供していただけませんでしょうか?

皆様の「ブックマーク」と「評価ポイント」こそが、 このエピソードの 「客観的な面白さ」 を証明する唯一の 「最重要データ」 となります。


(え?あの私のオタク顔は可愛かった?そっ、そういうことはこっそり感想とかで教えてください。 私の「データへの熱意」 を認めてくださった方には、特別な秘密をお見せしましょう。)


それでは、また次話でお会いしましょう。

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