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『赤毛猫海賊団 カタリナの野望』 ~カタリナ様はワガママ貫き通すってよ~  作者: ひろの
第1章 カタリナ、ついでに弩級戦艦もらっとく  ~ 弩級戦艦 強奪編 ~

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第21話 もうお金稼ぎしなくてもいい?

~ 弩級戦艦 強奪編 ~

バルザック戦から3日。コタやミネはコルベット12隻分の懸賞金を手に無事アジトへ帰還した。

じっくり休んだ団員達は平穏な日常を取り戻していた。


朝。


「モカぁーーー!!!」


アジトに響き渡るカタリナの大声に、サクラモカは顔をタオルで拭きながら振り返った。すると、パンツ一枚とギブスのみという大胆な姿で、カタリナが涙目で走り寄ってきていた。


「ぷふぅっ!」


肺の空気を全て噴き出した。


「おっおねーちゃん。なんて格好してるの!!いくら、女ばかりの所帯だからって……。」


「モカ、見て、これ!!痕が消えないの!!うえあぁあぁぁぁん。」


バルザックに斬られた箇所がしっかりと痕として残っている。しかも体中に沢山。


「うあああああああんあぁあぁあんん」


「うるさいっ!ちょっと見せて。ン……。これは酷いね……。」


「コタああぁあ!!!どうしよう!!」


カタリナが急に振り返ってコタにも泣きつく。


「おーい!コタ、何シレっと覗き見てんのよ!おねーちゃん!コタは男だぞ!!」


「ん~、眼福でございます。いえ、確かに酷い傷でございますね。」


「どうしよう、コタぁぁぁ!」


普通にいつも通りの二人に頭が「?」状態のサクラモカ。


「おねーちゃん、コタに裸見られて嫌じゃないの?」


「ん?別に。コタには3人で一緒にお風呂いれてもらってたじゃん、何をいまさら。」


「いやいや、それは子供の頃だって。大人になったら普通は嫌だろ!!」


「へ?そうなの?」


「お嬢様、これをご覧ください。

 帝都の外れの温泉街にある美容整形外科です。

 この院長とはなじみがありまして、かなり腕が良くて、なかなか予約が取れませんが、私の口利きがあれば問題ありません。

 いかがですか?腕の療養も兼ねて湯治兼傷跡の美容整形に専念なされては。」


「おぉぉ!!いいね。行きたい……あぁ……でも、お金も稼がなきゃ。

 まだ少し足りないよね?」


無視されるサクラモカ……。


サクラモカは、もはや自分が間違っているのかと混乱し始めた。

(いや、どう考えてもおかしいだろ。裸の女と執事がこんなに堂々と…)

頭の中は疑問符でいっぱいになり、二人の異様な会話を呆然と見つめるしかなかった。


「実は……もうお金は貯まったのですよ。

 バルザックも予想より高く売れました。

 そして実は子爵から分捕ったコルベットの売却代金で会社を立ち上げたのですが、思ったよりも早く軌道に乗りまして大黒字でございます。」


「え?マジ?もうコルベット不要?弩級戦艦手に入る!?」


興奮する姉の横から、驚いた表情のサクラモカも会話に加わった。裸の姉なんて、もうどうでもいい。


「え?すごい。いつの間に会社を?

 コタにせよ、ミネにせよ。何なの?あんた達。

 それにこの二人がいながら没落できるお父さんって一体なに?どれだけ無能なの?」


そんな時、車いすに乗せられた病弱準男爵、姉妹の父──アルバート・コルヴァ・ニャーニスが団員の中でもひときわ美人の秘書風の女性に押されて現れた。


挿絵(By みてみん)


「サクラモカ、父をあまり酷く言うものではない。」


「あ…お父さん……病弱のくせにアジトでハーレムを作ってるとか噂には聞いてたけど、こんなところで何やってんの?」


アルバートは、車椅子に座ったまま胸を張り、得意げに言った。


「ふっふっふ。私がその会社の社長だ!」


その口調は、まるで小さな子供が自慢話をするかのようで、サクラモカは頭を抱えたくなった。


「いや、コタがお父さんの名義にしてるだけでしょ?」


サクラモカの辛辣ツッコミをアルバートも無視する。どこかしらカタリナに似ている。


「カタリナ、我が娘ながら立派に育ったものだ、うんうん!」


カタリナが気付いたように自分の姿をじっくりと上から足元まで見まわした。そしてゆっくりとしゃがむと履いていたスリッパを掴む。


びゅん! ぱあーん!


大きく振りかぶって投げつけた。飛んでいったスリッパはアルバートの顔にジャストミートして大きな音を鳴らして地面に落ちた。そのままアルバートはコテンと首を垂れて気を失う。秘書の団員が心配そうな顔で右往左往している。


「見るな、スケベおやじ!」


ますます”?”顔のサクラモカ。


「……お父さんには裸見られるの嫌なの?コタは良くて??」


「そりゃ嫌だよぅ。普通そうでしょ?

 コタ?コタは家族みたいなものだし別にいい。」


「えぇ〜?」


サクラモカは不思議そうな顔で父親アルバートを指さした。


「ん?お父さん?お父さんは面白いから好きだけど、家族とは別の生き物だよ。」


「……相変わらず難しいね、おねーちゃんの美学って。」


「カタリナ様、あまり旦那様を虐めないでください。」


コタが何の心配もしていなさそうな顔でアルバートを庇う。


「そういうわけなのです。

 実はあまりにも手際よくお嬢様が集金なさいましたので、私めの方が準備が全く間に合っておりません。

 なので、私の準備期間を確保するためにもお嬢様には帝都で2か月ほどゆっくりしていただけたらと思いまして。」


カタリナが満面の笑顔にうなずいた。


「仕方ないなぁ……コタがそこまで頭を下げるなら帝都で時間潰してあげてもいいよ〜!

 モカとミネも連れて行ってもいい?」


「はい、もちろんでございます。」


「ふふふ、傷が治ったらまた見せてあげるね!」


「はい、眼福にございます。」


サクラモカも少し困った顔をしたが、嬉しそうにはしゃぐカタリナをみて付いていく気になった。

そんな中、コタが急に真面目な顔で切り出した。


「カタリナ様、服を着ていただけませんでしょうか?皆を集めてお話があります。」


「ん?良いけど、何?」


コタは、いつもの笑顔を消し、真剣な眼差しでカタリナを見つめた。

静寂がアジトを支配する中、彼はゆっくりと、そしてはっきりと告げた。


「皆様──弩級戦艦強奪の具体的な作戦です。」


その言葉に、団員たちは息をのんだ。


挿絵(By みてみん)

…皆様、お読みいただきありがとうございます。執事のコタでございます。


この度は、バルザック殿との一戦、そして無事なご帰還、誠におめでとうございます。お嬢様方の奮闘の甲斐もあり、バルザック殿は予想を上回る高値で売却でき、おかげさまでニャーニス家の経済状況は大幅に改善されました。執事として、この上ない喜びでございます。


さて、バルザック殿の無慈悲な攻撃でお嬢様が負われた多数の傷痕ですが、美容整形外科の院長とは馴染みでございますので、ご安心ください。腕の療養と合わせて、跡形もなく消し去って差し上げます。


ただ、お嬢様がお父様と私とで裸を見せる際の反応が異なる点につきましては、私としても頭を悩ませております。お嬢様曰く、「コタは家族、お父様は別の生き物」とのこと。これもまたニャーニス家の美学なのでしょうか…?私には理解しかねますが、お嬢様が幸せそうであれば、それで良いのです。


え?もちろん本心で眼福であると申し上げておりますよ。ですが、カタリナ様も私にとっては大事な娘のような方で……邪な気持ちはございません。


そして、旦那様。久方ぶりのお出ましでしたが、いかがでしたでしょうか。お嬢様のスリッパ一撃で気絶なさるほどの繊細さ、さすがとしか言いようがありません。会社経営も、私の手腕ではありますが、名義人としては優秀でいらっしゃいます。


実は、今回の帝都での湯治は、次の作戦のための時間稼ぎでもあります。お嬢様の行動があまりにも手際が良すぎたため、私の方の準備が追いつかず…。執事たるもの、いかなる事態にも備えるべきですが、お嬢様の行動だけは、常に私の予測を上回ってしまうようです。


そして、ここからが本題でございます。


次話からは、いよいよ弩級戦艦強奪作戦の具体的な話に入ります。これまで以上のスケールと、これまでにない強敵が待ち受けています。


ここで、皆様に執事として切なるお願いがございます。


お嬢様を銀河一のスーパースターにするためには、皆様の「力」が必要不可欠なのです。


**どうか、この物語を「面白い」と感じてくださった方は、わずか数秒で結構ですので「ブックマーク」と「評価ポイント」**をくださいませんでしょうか?


皆様の「ブクマ」と「評価」こそが、この物語を多くの人へ届けるための、最も強力な武器となります。 お嬢様の圧倒的なカリスマを、銀河中に知らしめるため、何卒お力添えをお願いいたします。


…最後に、一つ、秘密を。もし感想をいただけましたら、私の密かな趣味である「お嬢様の無防備な寝顔コレクション」の中から、とっておきの1枚をこっそりお見せしましょう。もちろん、お嬢様には内緒でございます。


それでは、また次話でお会いしましょう。

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