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『赤毛猫海賊団 カタリナの野望』 ~カタリナ様はワガママ貫き通すってよ~  作者: ひろの
第1章 カタリナ、ついでに弩級戦艦もらっとく  ~ 海賊(きょうてき)打倒編 ~

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第19話 秘密道具使っていい?

バルザックの剛剣がカタリナを捉えた。避けきれない──!


パシュン…パシュンパシュン!


その時、サクラモカが銃を構えてバルザックに狙い撃ちした。

バルザックは慌てて一歩後ろに飛び退ったが、連続して撃つサクラモカの銃弾はあらぬ方向に飛んでいく。


サクラモカは全弾撃ち尽くした後、素早くポケットからマガジンを取り出しセットする動きはまるで訓練された兵士のようだった。しかしその後の連射は、バルザックにはかすりもしなかった……彼はまったく動いてなかったのにも関わらず。

そう、サクラモカは極度の銃音痴だった。マガジン2個分、計40発近く撃ったにもかかわらず当たる気配が全くなかった。


バルザックは半ば呆れ気味に見ていたが、我に返ってまずはサクラモカに狙いを定めて、駆け寄ろうとした。カタリナも慌ててそこに走り寄る。


弾を撃ち尽くしたサクラモカは拳銃をバルザックに向けて投げつけて牽制しつつ、後退しようとした。

バルザックとサクラモカの間にカタリナが割り込んだ。同時にカタリナの頭に拳銃が激突する。


「いてっ!」


だが、カタリナは怯まずブレードをバルザックに向けた。


「妹には指一本触れさせない。……そしてモカ、後で拳骨な!」


唖然としたバルザックだったが、にやりと笑ったあとカタリナにレーザーブレードを向ける。


「ふっ・・これが姉妹愛か、面白い。良いだろう。妹の前で姉のお前を切り刻んでやる。」


「おねーちゃん!!」


サクラモカの悲痛な叫びが響く。


バルザックが容赦ない猛攻を加え、カタリナは防戦一方となる。

弾き、かわし、なんとか耐えているが、衣服が少しずつ切り裂かれ、その下から肉が焼ける匂いがする。その度にカタリナが苦痛に顔をゆがめた。


「はぁ……はぁ……もし、火傷の跡が残ったら許さないからな!」


全く余裕ない状態でもカタリナは強がって見せた。


ミネは焦りながら秘密のポケットから何か役立つ物がないかを取り出している。珍しくミネの周りにゴミ(秘密道具)が溢れた。ミネも相当焦っている。そこにサクラモカが合流した。


「ミネ、何か武器はない?」


「ぶぶぶ武器ですか?これは?」


口紅を差しだす。


「仕込み銃です。一発だけ弾が飛びます」


「私、絶対当たんない!」


「じゃあ、これ。スタンおたまです。台所用品のように見えてスタンガンです」


「……。」


「じゃじゃじゃこれ。あれ、これなんだったっけ……」


ミネは取り乱して役に立たない。


「はぁ…おねーちゃん……。ん?ミネ、これ何?」


レーザーブレードより一回り小さな柄のようなものが。


「レーザーナイフ??」


サクラモカはそれを手に持ち、スイッチを押す。


ぴぃしゅぅぅぅぅん。


小さな音と共に3mほど光のロープが流れ出た。


ミネが叫ぶ。


「それ、フェイズウィップです!銀河の先駆文明から密輸した最新兵器ですよ!光粒子をフェイズシフトさせて形成する鞭です。通常状態では物理的に触れられませんが、当てる瞬間にフェイズシフトさせれば位相固定して対象を切り裂くんです!」


今まで狼狽していたミネがまるで嘘のようにオタク説明を繰り出した。


「えっと・・よくわからないけど・・・鞭で、このボタンを押せばその瞬間だけ固まるのね!」


「えっと・・・そうじゃなくてフェイズシフトして・・・位相を・・・」


「そういう説明は要らないっ!

 もういい!なんで密輸品をあんたが手に入れられてるとか…ツッコミどころ多すぎ!」


サクラモカはミネの暴走を無視して鞭を振り回してみる。


軽い。


そして自分にあたったとしても、まるで光のようにその間、遮断されるだけですり抜ける。

今度は勢いよく振り抜き、当たる瞬間にフェイズシフトさせる。床にたたきつけたが、光の帯状に固い床板が切り裂かれた。すぐに光粒子に戻って自由に動く。


「なに、これ…?先駆文明一万年の技術!?まさかアーティファクト!?あっ!?おねーちゃん!」


カタリナは限界に近かった。避けきれずに体を切り裂かれる回数も増えた。


その時、バルザックがとどめの大振りを繰り出した。


「おねーちゃん!!」


サクラモカが振り抜いたフェイズウィップがバルザックに襲い掛かった。慌てて後ろに飛びのいたが、元々バルザックがいた床にウィップによる亀裂が走る。


「なんだ、そりゃ!?」


思わずバルザックも叫んだ。


サクラモカはフェイズウィップを縦横無尽に振り回している。銃音痴ではあるが、カタリナの妹、運動神経は悪くない。むしろ、鞭という装備がサクラモカには性に合っていたのかもしれない。舞うように振り回す鞭の軌道に全くの死角がない。彼女の繰り出す鞭がバルザックに襲い掛かる。この鞭はやっかいでブレードで払おうとしてもその時はすり抜けて身にあたる瞬間に硬化する。


「ぎゃぁ?!」


命中するたびにバルザックが悲鳴を上げた。


「この小娘がぁ!!」


熱くなったバルザックが一気にサクラモカに詰め寄ろうとした。


「おねーちゃん、今!!」


カタリナが身をかがめてもの凄い速さでバルザックの足元に走り込んでレーザーブレードを振り上げた。バルザックもサクラモカの方に気を取られており、また、カタリナのあまりの速さによって反応も出来なかった。


パシュ。


軽い音と共にバルザックの右手首は剣を持ったまま弾け飛んだ。


「あぁぁあぁあぁ!!!」


バルザックが叫ぶが、そのままカタリナが首元にブレードを当てる。


「私達の勝利だ。降伏しろ!」


「ぐぐぐぐ・・・・」


悔しそうな顔をしたバルザックだったが膝をついた。


「ミネ、捕縛した後、バルザックに応急処置!止血して!」


数十分後、バルザックは応急処置を施され、カタリナたちに捕縛されていた。彼の部下たちは、赤毛猫海賊団や、猛獣たちの襲撃によって壊滅状態だった。


「…で、モカ、あれは一体何なのよ?」


サクラモカが、フェイズウィップの柄をカタリナに差し出す。


「先駆文明って知ってる?私達ニャーンが銀河進出する一万年も前から銀河を航行している老いた種族、今は何事にも興味を無くして領土内に閉じこもっているみたいだけど、たまに流れてくる彼らの文明の密輸品はどれも信じられないほど高度な技術をもっていて、アーティファクトって言われてるわ。多分それよ。なぜかミネが……。」


ミネがすかさず口を挟む。


「モカ様ぁ!!その説明は私がしたかったぁ!!」


カタリナがスイッチを押してみるが何も反応がない。


サクラモカも奪い取って、再びスイッチを押す。だが、何の変化もなかった。

ミネが冷や汗を吹き出しながら叫んだ。


「えぇ!?もうエネルギー切れ!?無駄打ちしすぎです!それ、エネルギーパック1個で巡洋艦一隻買えますからね!!」


ミネの叫びに、サクラモカの顔が青ざめる。


「…返す。もう使わない。飾っといて。その代わり、普通のレーザーウィップ調達しといて。」


サクラモカは、そう言うと、フェイズウィップの柄をミネに投げつけた。


カタリナは、そのやり取りを横目に、バルザックに語りかけていた。


「お前、本当に強いな。こういう時、ライバルを逃がして後で再戦をすると劇熱展開って感じだけど………。でも私は見逃さないぞ、これは漫画じゃないんだからな!お前は絶対に軍に引き渡す。お前はゲス男だが、コルベット10隻分の価値がある金券だからな!ふっふっふ!金券に容赦なんかしてやるものか!」


「……。」


バルザックは、カタリナの言葉に呆れたような顔をする。


「さて、と…コタたちに連絡しないと。もうそろそろ迎えに来る頃でしょ。」


サクラモカは、データパッドを操作し、通信を開始した。


「…こちら、サクラモカ。作戦は成功。バルザックを捕縛、これから離脱するわ。コルベットで迎えに来て!」


「…承知いたしました。皆さま、ご無事ですか?」


通信機の向こうから、コタの声が聞こえてくる。


「…えぇ、大丈夫。33人全員無事よ。それより、早く迎えに来て。」


「…もちろんです。ただいま、迎えに参ります。いえ、大丈夫です。どこに向かわれても皆さまの場所はわかります。広い場所に移動してください。遠くに砂埃が見えます。時間がありません。まもなく猛獣が来ます。」


コタの言葉に、皆が慌てて屋外へ走る。

カタリナはニヤリと笑った。


「ふふふ。これで、赤毛猫海賊団も有名になったな!」


ご満悦なカタリナとは真逆にミネは不審な顔をした。


「……場所はわかる???」

挿絵(By みてみん)

…ふぅ。副団長のサクラモカです。

バルザック編のクライマックスでした!


やっとのことで、バルザックとの戦いが終わりました。

結果は、私達の勝利…というより、半分は負けみたいなものですね。


だって、お姉ちゃん、ボロボロじゃないですか!

あんなに強かったバルザックに、たった一撃で腕を折られて、服はビリビリに破れて…あれ、ちょっとエッチじゃない?いや、そうじゃなくて!


でも、お姉ちゃん、本当に頑張ったと思います。

ボロボロになりながらも、決して諦めない姿は…まぁ、正直、うるさいんですけど、でも、カッコよかったですよ。

そして…私も、少しは役に立てたかな?


フェイズウィップ…あれは本当にすごかった!

まさか、ミネがあんなものを持っていたなんて…。

普段、ボーッとしてるくせに、変なところで頼りになるんだから!

でも、あれ、巡洋艦が買えるほど高かったらしいですね。

思わず「飾っといて」って突き返しちゃいました。だって請求されたらお小遣いじゃ払いきれない……。


さて、バルザックを捕縛して、コタも迎えに来てくれて…すべてが順調に…進んでるはずなのに、なんだか腑に落ちないんですよね。


あの、コタの「場所はわかる」っていうセリフ。

いや、わかりますよ!

ミネがすごく警戒してました。何だろう??

ン……悪寒が…。こういう時のコタってなんかヤバいんです。


…あぁ、もう!

私の苦労はまだまだ続くみたいですね…。


もし、私の苦労に共感してくださったら、ブックマークや評価、感想をよろしくお願いします。


では、また次回。

~~~

第一章、バルザック編のクライマックスでした。いかがでしたでしょうか?

チートアイテムという裏技に逃げたな?!って思った方、それのなぁにがわるい!

ちゃんと濫用できないように維持費高くしときました。


ご感想やご意見、スタンプ、どんな些細なものでも大歓迎です。励みになります。

もしよろしければ、次の読者への道標に、評価やブクマをお願い致します。

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