表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『赤毛猫海賊団 カタリナの野望』 ~カタリナ様はワガママ貫き通すってよ~  作者: ひろの
第1章 カタリナ、ついでに弩級戦艦もらっとく  ~ 海賊(きょうてき)打倒編 ~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/31

第17話 慌てて突入していい?

ブチ・・・コタから一方的に通信が切られた。


「おいっ」


サクラモカが涙目でブチ切れる。

カタリナが能天気に励ます。


「……しゃーないじゃん。」


「しゃーなくねーわ!!どうすんの、これから!!」


「モカはどうするつもりだったの?」


「スニーキングミッションだよ!!普通はそうだろ!

 いくら陽動しても全員いなくなるわけないじゃん!

 場合によっては2倍3倍待ち受けてるかもしれないんだぞ!!」


「なるほど。じゃあ別にいいじゃん。」


「何がよ!」


「初めから私、隠れずに突っ切る気だったよ。

 何も変わってないよ。制限時間ができたくらい??

 その方が燃えるよね!」


「………。」


ミネがポンとサクラモカの肩を叩き無言で首を振る。


「よし、野郎ども!突撃!!!」


ブレードを突き立てて、カタリナが走り出した。


「うちに野郎はいません。」


冷静に突っ込みつつ、ミネが続く。


「あーはいはい。そうですよね、そうなりますよね!

 分かってましたー!ぜーんぶわかってましたー!」


ヤケクソにサクラモカも続き、30人の部下達も各々武器を構えて走り出した。


思いのほか海賊達が基地に残っていて、カタリナ達を見つけるたびに襲い掛かってくる。

軽くいなしつつ進むが、敵の数が多すぎる、進んでは止められ、時間だけが取られていく。

派手に暴れ過ぎたせいもあって、基地内の海賊達が集結しつつあった。

もし陽動を行っていなかったらと思うとサクラモカはぞっとした。


「意外と面倒くさいね。」


カタリナが敵をブレードで焼き付けて気絶させつつ、面倒くさそうに呟いた。


「カタリナ様!」


レーザーカットラスを華麗に振り回しつつ、一人の団員がカタリナに呼び掛けた。


「ん?何?えっと…。確か、リーン。

 お前は面白映画紹介大臣だったか?」


「えぇ、こういう時の定番分かりますか?」


リーンは敵を切り倒してにっこりと微笑んだ。そしてわざとらしく叫ぶ。


「団長!!さぁ行って!!ここは私達に任せて!

 私達の屍を超えて行って!!」


リーンや周りの数名が敵の前に立ちはだかった。他の団員が目を輝かせる。同時にカタリナも、にんまり微笑んだ。


「おっ!いいね!!

 お前達、絶対に死ぬんじゃないよ!」


カタリナはウィンクして先を進む。それにサクラモカや他の団員も続いた。


ミネがそっとリーンに寄り添い、親指を立ててグッジョブする。


「いいですね。あなたもカタリナ様のことを理解しつつありますね。

 ここは任せますが、死なない程度に追いかけてきてくださいね。雰囲気だけで十分ですから。」


「あっはい。もちろんです。死にたくないので。

 来週見たい映画が公開されるんです。

 3分後に追いかけます。」


ミネは再びグッジョブして走り出した。


カタリナ達を追いかけようとする海賊をリーン達が全て斬り倒した。

10人ほど海賊が追加で現れる。

リーン達は顔を見合わせた。


「30秒しか経ってないけどいいよね、撤収!!」


撤収ついでに面白映画紹介大臣のリーンは忍者映画定番の撒菱 (まきびし)を辺り一面に振りまいた。

追いかける海賊達が飛び跳ねて悲鳴を上げた。


「いくぞ。カタリナ様を追うんだ!」


・・・

・・


「バルザックはどこ?」


カタリナが襲い掛かる海賊を蹴り飛ばして叫んだ。セレスが答える。


「この先に少し広間があって、そこを抜けると旧所長室があります。

 そこを船長の居室にしていると思われます。」


「よし!もう少しだね!」


その時に前方から20人くらいの海賊が現れた。

そして後方からは逃げるリーン達を追いかけている海賊およそ20人。


「おねーちゃん、時間がない。バルザックの所に早く行って!

 ここは30対40、大丈夫!

 こいつらを片づけたら後から追うよ!」


カタリナが団員を見回すと皆が同じように覚悟を決めた表情で頷く。


「分かった。誰一人死んじゃダメだからな!」


そういうとカタリナが素早く駆け出し、前方からくる海賊の手前でジャンプした。空中で2回転したあと、海賊の顔を踏みつけて、再度ジャンプする。それを3度ほど繰り返すと海賊達の群れを飛び越えていた。


慌てて海賊達がカタリナを追おうとするが、すぐに赤毛猫海賊団団員達もその海賊達に背後から襲い掛かる。乱戦になった。


カタリナが広場に踏み込んだ。


そこにバルザックが仁王立ちで待ち構えていた。カタリナを見かけると巨漢用の大型レーザーブレードを起動させてカタリナに向けた。


「居た居た。

 事前に写真を見せてもらっていてよかったわ。

 お前だな、バルザック。」


カタリナもレーザーブレード二刀流を構えて、その切っ先をバルザックに向けた。



一方その頃、コタ達は無事廃宇宙港に到着し、7隻のコルベットは陽動班のメンバーによって離陸した。最後のコルベットに第1バイク隊のメンバーが乗り込もうとするのをコタが急に止めた。


「待ってください。

 これを今から後方ハッチにセッティングしてほしいのです。」


再び何やら怪しい装置を二人に渡す。


「これがお嬢様を救うための秘密兵器です。」


少しだけトラウマを持った二人が一瞬、躊躇しかけたが、すぐに意を決して装置を受け取る。


「コタ様は何を?」


「私ですか?

 そうですね、少しだけ時間稼ぎします。」


そういうと肩に背負ったモサモサとした大きな鞄から銀色のトレイを2枚取り出した。

そのまま鞄を足元に置き、歩き出す。


異常に気付いた海賊達が多数、コタ達の元へ走り寄ってきていた。

慌てて作業に取り掛かる団員達。


コタは落ち着いて歩みを止めると、スイッチを入れる。シルバートレイの淵がレーザーブレード化する。


その淵に触れないようにトレイを指でつまみ、直立したまま、ブーメランのように投げつけた。


海賊達が悲鳴を上げて避ける。トレイがかすった者は切り裂かれて血が舞った。


「ぎゃああ……!!!」


その後、戻って来たトレイを器用に指でつまむ。


「わたくし、トレイ投げ検定3級を保持しています。

 切り裂かれたくなかったら近づかないことです。」


そういうと再びトレイを投げつける。海賊達は踊るように避けている。

切りつけられた海賊が傷を押さえながら逃げ出した。

それを見た他の海賊達も一定の距離まで離れる。


コタはまるで振り子のようにトレイを投げ続けた。海賊達は一切近寄ることができない。


その時に団員達は秘密兵器の装着が完了した。


「コルベットを離陸させてください。」


その指示に従って団員がコルベットを起動、浮上開始した。


それに気づいた海賊達が慌てて走り寄る。


それに向けてトレイを投げつけると、そのままコタはコルベットに走り寄って、鞄を拾い上げつつ、入り口の手すりにつかまった。


「アディオス、皆さま。

 そのトレイは差し上げます。」


そしてコルベットに乗り込んでハッチを閉めた。


上空に到達したところで、メイン操縦席を代わってもらって操縦桿を握った。


「カタリナ様、モカ様、ミネ、無事に戻ってきてください。」

挿絵(By みてみん)

…はい、皆さんこんにちは。

面白映画紹介大臣のリーンです。

どんな役職って?そりゃ、普通に映画の新作が出たらそれを真っ先に観に行って、観る価値があるかないかを団長達、他の方々に助言する非常にひっじょーうに重要な役目ですよ?

ね?お金払って貴重な時間を無駄にしたくないじゃないですか!

私は別に映画を観る時間は無駄と思わないから良いんですが、他の人には観るからには充実して感動してもらいたいですよね!

ちなみに今回の作戦、どうでしたか?

この作戦は、本当に映画みたいで、最高に興奮しました!


特に「ここは俺たちに任せて先に行け!」っていうセリフ。ベタですけど、やっぱり燃えますよね!

一度やってみたかったんです!


あの後?

あぁ、はい、私たちはちゃんと生きてますよ!

だって、死にたくないですから!

30秒経って、海賊がまた集まってきたので、そそくさと撤収しました!

まきびしをまいておいたので、追いかけてこないはずです!


…ところで、さっき外に、なんだか、凄い威圧感がある人が見えました。

あっちはあっちで、超激熱アクション映画みたいな雰囲気がしましたよ!

観に行きたい………。


「銀色のトレイ」とか言って、やたらと派手に暴れてるおじさん。

彼、いったい何者なんですか?

噂では、団長たちのお父さんだと聞きましたが…。

…ああ、そういうことか!

お父さんが、あんなに強いなんて、やっぱり団長は宇宙ゴリラ…じゃなくて、只者ではないですね!


それにしても、次回は団長とバルザックの直接対決!

どんなアクションシーンが見られるのか、今から楽しみです!

私の映画のインスピレーションのためにも、最高のバトルを期待します!


それでは、次回もどうぞお楽しみに!

あ、私は結構辛口なので、団長、ラストバトルはめっちゃカッコよく戦ってくれないと団長のアクションに★5はつけませんからね!


……皆さんは甘々でこの物語に★つけてあげてください。

作者と団長が喜びます。


~~

今回のオマケの1コマ

挿絵(By みてみん)



赤毛猫海賊団、結構脇役も濃ゆい人多いですよね。挿絵作りたくなるくらい。

どんな感想でも聞かせてください。そこからまた面白いキャラが生まれるかもしれません。

面白映画紹介大臣って肩書のくせにリーン、強いでやんの!



ご感想やご意見、スタンプ、どんな些細なものでも大歓迎です。励みになります。

もしよろしければ、次の読者への道標に、評価やブクマをお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ