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『赤毛猫海賊団 カタリナの野望』 ~カタリナ様はワガママ貫き通すってよ~  作者: ひろの
第1章 カタリナ、ついでに弩級戦艦もらっとく  ~ 海賊(きょうてき)打倒編 ~
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第13話 新しい敵を発表していい?

しばらくはカタリナは大人しかった。


サクラモカもミネも少し油断し始めたある日。


ミネがディナーの際にスープをカタリナのもとへ運んできた。置いて立ち去ろうとした時にそっとミネの腕を掴んだ。


「あ……なんでしょう?」


「ミネ、座って。」


その瞬間、ミネも、そして向かいに座っていたサクラモカも一斉に顔が歪んでとてつもなく不快そうな表情になった。嫌な予感しかしない。


仕方なく空いている席にミネが座るとカタリナが最高の笑顔で語りだした。


「えー、皆さん。突然ですが──次のターゲット、発表しまーす!」


「すとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっぷ!」


サクラモカが急いで止める。


「はい、おねーちゃんは何も言わなくて良いです。次のターゲットは私とミネが厳選しています。おねーちゃんは黙ってて、というか黙れ、黙れ黙れ黙れ!! ねぇ、ミネ、お腹すいた。私の分のスープは?」


「えー、次のターゲットはバルザック・ド・メルヴァンですっ!」


カタリナが、全くマイペースでターゲットの発表を行った。


「はぁあぁぁぁぁぁ。」


絶対に止められないと分かっていたが、やっぱり止まらなかった。サクラモカが大きなため息を吐いた。


「まさかとは思うけど、そのバルザックとか、いきなり30隻近いコルベット持ってる大艦隊の提督じゃないでしょうね?」


カタリナはにっこりと笑う。サクラモカもつられて引きつった顔でにっこりと笑った。


「いーえ、そんな大艦隊じゃないです。いきなりそんな無茶はしません。私も馬鹿じゃありませんから!」


自信満々に答えたカタリナを見て、ようやくほっとした表情でサクラモカは手元のタブレットで検索を始めた。


「馬鹿だろっ!!!」


唐突に叫ぶ。


「バルザックって、あのバルザックかよ!!強敵じゃん!馬鹿だよ、馬鹿の中の馬鹿だよ!!馬鹿馬鹿馬鹿、あぁあぁぁん!!!ドロメルの私設艦隊とはくらべものにならないよ、こいつら!!」


ついにサクラモカが泣き出したのを見て、ミネも検索した。


「はぁ・・・・馬鹿ですね。あ、いえ、失礼。おバカですね。」


ミネも同じ態度を取る。


「ミネ、”お”を付ければ敬語になるとか思ってないよね?モカ、こいつらコルベット8隻だよ。5隻の相手に余裕だったじゃんか!」


挿絵(By みてみん)


「おねーちゃん、あのね、ドロメルの私設艦隊はド素人集団と変わらなかったよ。練度が低すぎ。あっちの攻撃なんて当たる気がしなかったでしょ?今度のは違うよ。歴戦の海賊じゃん。乗ってるクルーも半端ないって。1隻で8隻に取り囲まれて生き残れると思うの?」


「そこは、ほら。天才のモカが居るし……。」


少しだけふわっとした笑顔になるモカ……すぐに首を横に振る。


「あのね、いくら私が天才でも、できることとできないことがあるの。まぁ、おねーちゃんがそこまで言うなら考えないこともないけどさぁ・・もうもうもう!」


「モカ様、乗せられちゃダメです。」


「おぉっと。おねーちゃん、何でコイツなの?もっと効率良い奴を探すから我慢してよ。」


「何でって?そりゃ、こいつ強そうじゃん。1回強い奴と戦ってみたいんだよ。」


「……少年漫画の主人公かよっ!動機が不毛だわ!」


「いやいや、実際、私達の実力がどの辺りかは知っておいて損はないぞ!」


「その、すごくいい事を言ったみたいなドヤ顔ムカつくんですけど。そんなの戦わなくてもわかりますけどっ!いくらネコパンチ号が凄くてもさすがにできることとできないことがあるんだってば。まだアジトに奇襲するとかで、バルザック単独狙い討ちするなら、わからなくもないけどさ!!」


その瞬間、カタリナの目がこれ以上ないほどニコニコになった。


「何よ…気持ち悪いな。ついに頭のネジの2本目が抜けた?」


「妹よ、時々サラッと酷いことを言うな。まあ、お姉ちゃんを信じなさい。セレス、入ってきて。」


サクラモカとミネが一斉に不思議そうな顔をした。一人の女の子が遠慮がちに入ってくる。


「えーと…、下ネ…諜報大臣のセレスティナ・マルーよ。」


セレスの顔がぱぁっと明るくなった。


酒場情報収集大臣から諜報大臣にまで格上げっ!?


「あ…酒場情…」


何かを言いかけたカタリナに被せるようにセレスが叫ぶ。


「はい、諜報大臣のセレスティナ・マルーです!お見知りおきください。

 実は副団長にお見せしたい物があります。」


そういうと手元のタブレットを操作して、情報をサクラモカとミネの端末に転送する。


その内容を見て、初めてサクラモカが真面目な顔で情報を精査し始めた。

そこにはバルザックのアジトの場所、配下の数に、艦船情報、彼自身の行動パターン、直近のスケジュール、アジト内の概略地図(@セレス手書き…ちょっと雑)が記されていた。


「これ、情報の確度は?」


セレスが緊張しながら説明を続ける。


「2ページ目をご覧ください。情報源をまとめてあります。」


ミネが割り込んでくる。


「あ、この4番目の情報屋、結構有名な方です。気難しくて中々情報を売ってくれないと聞いていますが。この人の情報は信頼できますよ。」


「ふぅん……。なるほど情報源は一つじゃなくて、複数の出所で正確そうなものをまとめて精査した結果がこれというわけね。まとめ方も論理的で問題ないわ。」


カタリナは二人の態度が予想外だったので少し驚いた。


「おねーちゃんの諜報大臣、結構やるわね。これをもとに、ちゃんと考えればバルザックの隙、攻略の手口が見えるかもしれない。」


「そっそうでしょう。セレスは私の自慢の下ネ……諜報大臣なの!優秀なんだから!」


セレスもほっとしてにこりと微笑んでいる。


「ううん……わかったわ。おねーちゃん、絶対に折れないしね。少し作戦を考えたいから3日ちょうだい。セレス、追加で調べて欲しいことがあるんだけど良い?」


「はい、喜んで!」


「えっと……次のターゲットはバルザックでいい………のかな?」


カタリナが恐る恐る確認する。


「ん?おねーちゃんがそう言ったんじゃない!」


「おぅ!みんな頑張るぞ!こいつ倒せば赤毛猫海賊団も有名になりそうだ!」


思わぬ展開で次のターゲットが決まった。



………


最後にセレスがニコニコしながら付け加える。


「バルザック氏、結構渋カッコイイんですよ!」


三人がピクっと反応する。


「え?そうなの?写真見せて!」


セレスが写真を転送する。

挿絵(By みてみん)


「どうです?カッコよくないですか!?」


目を輝かせているセレスに対して


カタリナ

「ン……悪くはないが……胸毛がヤダ。服がダサい。」


サクラモカ

「確かに毛深いのやだなぁ・・。私、渋中年いけおじより美少年いけめんの方がいい。」


ミネ

「ん……良いと思います。」


セレスとミネはガシッと腕を組んだ!

挿絵(By みてみん)

皆さん、こんにちは!

諜報大臣のセレスティナ・マルーです。


今回もカタリナ様の自由奔放さに団員みんな振り回されてしまいましたが、みなさん、見ましたか?

ついに、私も日の目を見る時が来ました!


サクラモカ様とミネ様は、いつもカタリナ様の無茶な発言に振り回されてばかりですが、私が見つけたバルザックの情報には、お二人とも真剣な表情になっていましたね。

私の手書きの地図がちょっと雑だったのは、ご愛嬌ということで…。


そして、ついに「下ネタ大臣」から「諜報大臣」に昇格しました!

カタリナ様は、最初「酒場情報収集大臣」と言い間違えそうになっていましたが、きっと、私が活躍する姿を見て、ちゃんと覚えてくれたのだと思います!

本当に、この船のクルーになって良かったです!


バルザック氏……。

みなさん、どう思いますか?

私は、カタリナ様やサクラモカ様とは違って、渋い男性が好みなんです!

あの無精ひげと、男らしい胸毛……。あのモリモリ筋肉の腕にぶら下がってみたいなぁって。

そして、あのちょっとダサい服も、なんだか可愛らしく見えませんか?

もし、このあとがきを読んでくださっている方の中に、バルザック氏のファンの方がいらっしゃいましたら、ぜひ私と一緒に語り合いましょう!


この先、バルザック氏を捕獲することになるのでしょうが、私は彼を応援したいと思います!

……え?海賊団員としてどうなの?ですって?

そんなの、どうでもいいんです!

バルザック氏の戦いぶり、私の目でしっかり見届けたいと思います。


この物語は、まだまだ序章です。

私たちの活躍、どうぞご期待ください。

もし、この物語に興味を持っていただけましたら、ブックマークや評価、感想をよろしくお願いします。


では、また次回!

~~~~~

遂に次の敵が決まりました。今まで弱いやつばっかりと戦ってましたが、遂に見た目強そうなイケオジが相手ですね。ミネさんの好みのタイプらしいです(笑)



ご感想やご意見、スタンプ、どんな些細なものでも大歓迎です。励みになります。

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