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『赤毛猫海賊団 カタリナの野望』 ~カタリナ様はワガママ貫き通すってよ~  作者: ひろの
第1章 カタリナ、ついでに弩級戦艦もらっとく  ~ 海賊(きょうてき)打倒編 ~
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第12話 海賊狙っていい?

その翌日からコタは忙しそうに動き回っている。

本気で弩級戦艦強奪作戦を考えているのかもしれない。


カタリナもコタの有能さは重々承知しているため、邪魔しないようにしている。

起きたばかりのサクラモカが顔を洗っていた。

カタリナは気配を消したまま、隣に立った。唐突に話しかける。


「ねぇ、モカ。コルベット30隻手に入れる方法考えて。」


「うはぁ?!お…おねーちゃん。もう、なによ!朝起きてきて、第一声それ!?まずは挨拶でしょうが!」


「おはよう。で、30隻」


「第二声がそれ?次はモカ、今日も可愛いね!でしょうが!」


「おはよう、モカ、今日も可愛いね、30隻」


「第三声がそれ?その次は場所変わって。でしょうが!」


「おはよう、モカ、今日も可愛いね。場所変わって。30隻」


「はい、どうぞ。」


そしてサクラモカが立ち去ろうとする。


「待て、こら!」


「おねーちゃん、まずうがいと顔を洗ったら?」


「あ、うん。」


念入りにうがいをして歯も磨いて顔も洗う。鏡に向けて表情をチェック。

(うん、すっぴんでも美人。)

振り返るとサクラモカはいなくなっていた。


「ぎぃぃぃぃぃ!!!」


悔しがりながら、今度はミネを探す。


「あ、ミネ。コルベット30隻手に入れるお手頃な相手ってどんなのがいる……」


コタが来てからは外見のおんぼろとは裏腹に施設内は埃一つなく綺麗に整えられている。

前のコルベット売却代金の残りで、全ての部屋が安いながらも高見えする調度品でそろえられていてセレブ気分が味わえた。


「あ、カタリナ様。朝ごはんになさいます?今日は何を?」


「えっと……エッグベネディクトをクロワッサンでサンドして。あと、サラダボウル。ベリーとキウイのヨーグルトスムージーも。」


「はい、かしこまりました。そこに座って待っていてください。」


・・・

・・


「あ~……美味し!さすがミネ。あれ?なんかミネに話があった気がしたんだけど。まぁいいか。」


再度、歯を磨きながら思い出した。


「ごふふぇっとさんじっせひ!(コルベット30隻)」


歯磨き粉を吹き飛ばしながら、叫んだ。うがいして口をすっきりさせた後、再びサクラモカとミネを探したが、見当たらない。


「役に立たないなぁ。もういい。私が考える!そうだなぁ……。やっぱり1回、海賊と戦ってみたいな。私設艦隊の奴ら、なんかクソポンコツだったしな。私達がどれくらい強いかもわからないし、やっぱり戦い慣れてる海賊どもと熱く戦いたいな。でも、この辺りで一番強い海賊って誰で、どこに居るんだ?」


腕を組んで上目遣いで考え込むカタリナ。そこへ後ろから声がかかった。


「あの・・団長。」


そこには一人の団員が立っていた。

挿絵(By みてみん)


「えっと、お前は………あぁ………待ってね、思い出す。セレスだ!セレスティナ・マルー!」


「あ、はい、覚えて頂いていて光栄です!」


「確かぁ……ごめん、思い出せない。何大臣だった?」


急にばつが悪そうな顔をしたセレス。


「………下ネタ大臣です。」


「ぷふっ……あ……、色々とごめんね、変えようか?おっぱい大臣がいい?」


「あまり改善されてない気がします。」


「うぅ……ごめん。新しいのを考えとくけど、何か用だった?」


「あ……団長、独り言を盗み聞きして申し訳ありません。海賊の情報が必要ですか?」


「え?セレス、わかるの?」


「あ、はい。私、こう見えて、結構酒場の男どもとは仲が良いんですよ。あ……今、心の中で”さすが下ネタ大臣”とか思ってませんよね?!」


「思ってない、思ってない。」


「とにかく、酒場での情報収集は得意なんですよ。この辺りで最強の海賊の情報を、これから仕入れてきましょうか?」


カタリナの表情が分かりやすく明るくなる。


「うん、お願いっ!お前、役に立つなぁ。酒場情報収集大臣に変更してあげるよ。」


「あ……ありがとうございます。明日報告しますね。」


「うん、よろしく!」


一礼してセレスは寂れた海賊街の方へ走っていった。


翌日・・・・


「カタリナ様~!!」


「ん?あ……え……ん……あ!セレス!えっと確か下ネタ大臣!何か用?」


あからさまに落ち込むセレス。


「………酒場情報収集大臣です。」


「あぁ!!ごめん!で、なんだっけ?……あっ!海賊だ!!」


「はい、そうです。………忘れてたんですか?」


「んなことない、んなことない。」


「まぁ、良いですけど。えっとですね、この星系で一番名を馳せている海賊は──“バルザック・ド・メルヴァン”です。コルベット級の海賊船8隻を従える猛者で、自身の懸賞金だけでもコルベット10隻は固いです。」


「バルザックか!知らんけど強そうだね!それにこいつ倒せば一気に18隻分の資金を得られるってこと?」


「はい。そうです。引き続きこれからしばらくバルザックの動向を探りますね。アジトの場所だったり行動パターンだったり。」


「おう!頼む。お前優秀だな。艦隊編成できるようになったら船長にしてやるよ!」


「あっはい、ありがとうございます。あのぅ・・つきましては酒場での軍資金を少し頂けると・・。」


「あっそうだな。これ使ってしっかりと情報収集してくれ。」


カタリナはポケットから金貨を一握りつまんで渡した。


「え?こんなに?」


「いい、いい。お前、役に立つし。それにモカの貯金箱の場所知ってるから、これくらいこそっと補充できるんだよ、私は。」


「………。あまり姉妹喧嘩はしないでくださいね。とりあえず、お任せください!!」


再び、一礼してセレスは寂れた海賊街の方へ走っていった。


「よし、モカとミネに次のターゲットを伝えてあげないとな。バルザック。どんな奴なんだろう?楽しみだな!」


・・・・

・・・

・・


その頃、サクラモカとミネは、原因不明の悪寒に襲われたという………。

挿絵(By みてみん)

…ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

副団長、兼執事補佐のミネ・シャルロットです。


今回のカタリナ様の言動、みなさんご覧になりましたか?

あの「おはよう、モカ、今日も可愛いね、30隻」という会話。

そして、私の朝食を優先させたことで、コルベット30隻の話を忘れるという……。


まったくもう、カタリナ様ったら、本当に世話が焼けます。

でも、そんなところが、カタリナ様らしくて……。

フフ、失礼しました。


そんなカタリナ様が次に目をつけたのは、海賊のバルザック・ド・メルヴァンだそうです。

コルベット8隻を従え、懸賞金も高い。

サクラモカ様が滅茶苦茶嫌がりそうです。ご愁傷様です。

でも、私からすれば、弱い相手より、強い相手の方が燃えます。

それに、海賊同士の戦いなら、手加減なしで戦えますし、ネコパンチ号の真の実力を試す絶好の機会です。


そして、カタリナ様とセレスティナ様の会話を聞いて、私は確信しました。

「おっぱい大臣」……。

カタリナ様は、やはり天才です。

あんな名前、私には思いつきません。

そして、セレスティナ様も、カタリナ様の言葉に振り回されながらも、嬉しそうでした。

この船のクルーは、カタリナ様の魅力にどんどん引き込まれていくことでしょう。


お父さんも裏で動いているようですし、私の出番はまだまだこれからです。

バルザックとの戦い、そしてその先にある、弩級戦艦強奪計画……。


この物語は、まだ始まったばかりです。

カタリナ様の無茶な冒険に、これからもお付き合いください。

もし、この物語に興味を持っていただけましたら、ブックマークや評価、感想をよろしくお願いします。


では、また次回。


~~~~~

主役は3人で他はMOBって最初に決めてたのにコタにせよセレスにせよ、増えてきちゃいまいた。


計画性ないですね!!


ご感想やご意見、スタンプ、どんな些細なものでも大歓迎です。励みになります。

もしよろしければ、次の読者への道標に、評価やブクマをお願い致します。

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