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84 魔法の授業

 選択授業を決めたプリントを一人ずつ順番に提出していくと、ディクソン先生はそれに目を通しながら受け取った。


 最後の一人が提出し終わって席に戻ると、ディクソン先生は満足そうに頷いた。


「後ほど時間割りのプリントを配りますので、自分の選択された授業には必ず出席してください。ご自分が選択されていない授業の時は隣の教室で自習となります。もっとも、選択されていなくても参加は自由ですので、興味がある授業は積極的に参加してください。その代わり、授業の妨げになる言動をされた場合、即刻退室していただきますので、注意してくださいね」


 ディクソン先生の注意を受けて僕達は一斉に頷いた。


 参加が自由ならば、隣の教室で自習するよりも授業を受けた方がいいのかな。


 でも、興味がないと退屈だろうから、まだ自習していた方がいいんだろうか?


「この後は魔法の授業になります。この授業を受けない方は隣の教室に移動してください」 


 ディクソン先生がそう言ってざっと教室内を見渡した。


 僕も後ろの席から教室内を見ていたが、誰も立ち上がろうとしない。


「皆さん、授業を受けられるようですね。それでは、始業のチャイムが鳴るまでそのままお待ち下さい」


 ディクソン先生はそう告げると教室を出て行った。


 このクラスの生徒全員に魔力があるのか、はたまた魔力が無いのを知られないように残っているのかはわからない。


 たとえ魔力が無くても隣の教室に行って自習するよりは、どういう授業をするのか見てみたいという好奇心から残っている場合もあるだろう。


 しばらくして始業のチャイムが鳴り始めたが、それが鳴り終わるより前に教室の扉が開いた。


 おしゃべりをしていた生徒はピタリとしゃべるのを止めて、皆背筋を伸ばして前を向く。


 開いた扉から背の低い年老いた老人が教室の中へと入って来た。


 アニメによく出てくるような真っ白な口髭に長い顎髭を蓄え、黒いローブを着ている。


 いかにも魔法使いだとわかるような出で立ちに僕は思わず目を丸くした。


 老人は年老いている割には流れるような足取りで教壇に立つと、グルリと教室の中を見回した。


「ふむ。全員参加のようじゃな。魔力の授業を担当するマーリンじゃ。よろしく頼むぞ」 


 マーリンだって!?


 如何にもな名前に僕は思わず吹き出しそうになったが、慌ててこらえた。


 その瞬間、マーリン先生の目が鋭くこちらを見たような気がしたが、気の所為だろう。


「先日の魔力検査で魔力があると判明しただけで、まだ魔法を使った事はないじゃろう。おいおい教えていくので、くれぐれも自分だけで魔法を使ったりしないようにな。まだ魔力が安定しない年頃なので、魔力暴走を引き起こす可能性がある。魔力暴走を起こせば自分のみならず周りにいる人々も巻き込む可能性があるので十分気をつけてくれ」


 魔力暴走だって?


 僕が以前、回復魔法を使った時はそんな事態には陥らなかった。


 あれはたまたま運が良かっただけなのだろうか?


 マーリン先生に聞いてみたい気もするけれど、まだどんな人物なのか、信用出来る人なのかもわからない。


 いずれ相談出来るようになったら聞いてみようか?


 そんな事を考えているうちに授業は進んで行く。


「それでは、先ず自分の魔力を感じる所から始めよう。皆、自分の手を机の上にの置いてご覧」 


 マーリン先生に言われて皆一斉に自分の手を机の上に乗せた。


「手のひらを上に向けて、魔力の流れを感じてみなさい」


 マーリン先生に言われるまま、手のひらを上にして魔力の流れを感じてみるが、魔力の流れって何だろう?


 血液の流れと似たようなものだろうか?


 良くわからないまま、周りの皆を見ていると、ポっと誰かの手のひらが光ったように見えた。


 あれが魔力の流れか?


 すると、僕の手のひらからまばゆい光が発せられた。


 慌てて抑えたが、周りの皆が驚いたような顔でこちらを見ている。


 もしかして、これってヤバい状況かな?





 

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