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234 卵の受け取り(オーウェン視点)

 オーウェンはエドアルドを取り巻く空気に不穏なものを感じていた。


(やはり、エドアルド君の存在を良く思わない者がいましたか。いくら国王が『王室に迎えない』と言ってもそれを鵜呑みにするわけにはいかないですからね)


 自分の娘を将来の国母にすべく尽力している貴族にとって、エドワード王子の立太子を脅かすエドアルドの存在は邪魔でしかない。


 このままではエドアルドに危険が及ぶだろう。


 いや、エドアルドだけでなく、一緒にいるアーサーにも危害が及ぶに違いない。


 そうなった時、エドアルドがアーサーを遠ざけるのは目に見えていた。


 だからといって、オーウェンがエドアルドに手を貸すわけにもいかない。


(これ以上エドアルド君の手助けをするわけにもいかないのでしょうけどねぇ…)


 どうすべきかと悩むオーウェンの頭の中に突然飛び込んできた声があった。


『…助けて!』


 オーウェンはハッとして顔を上げたが当然のように周りには誰もいなかった。


(今の声は?)


 オーウェンは目を閉じて神経を集中させた。


 すると再び『誰か助けて』という声が頭の中に響いてきた。


 オーウェンはその声の波長を頼りに意識を飛ばした。


 すると、今にも卵を潰しそうな一組の男女の姿があった。


(あの二人は…。ドラゴン族の国王夫妻ですか。どうして卵を割ろうとしているのでしょうか?)


 よく見るとドラゴン族の国王夫妻の横には別の卵が置かれていた。


 それを見てオーウェンは状況を察した。


(なるほど。ここも双子が生まれたわけですね)


 オーウェンは素早く二人の前に姿を現した。


「な! 誰だ!」


「キャッ!」


 突然現れたオーウェンに対して二人は驚きの声を上げた。


「突然申し訳ありません。オーウェンと申します」


 国王夫妻は突然現れたのがエルフだとわかると少しだけ警戒を解いた。


「エルフのオーウェン殿か。噂には聞いていたがこうしてお目にかかるのは初めてだな。だが、一体何用だ?」


 王妃を背に庇いつつ、国王はオーウェンの訪問の意図を尋ねた。


「申し訳ありません。お二人がその卵を割ろうとしていらっしゃるのが目に入りまして…。よろしければ私にその卵

を譲っていただけませんか?」


 オーウェンは助けを求める声を聞いた事は二人には黙っていた。


 国王はすぐには返事をせずにオーウェンをじっと見つめていた。


 国王の後ろにいる王妃が国王の袖をそっと引っ張った。


「…あなた」


 国王は振り返り王妃と顔を見合わせている。


 声には出していないが二人で言葉を交わしているようだ。


 話し合いを終えると国王はオーウェンの方に向き直った。


「渡してもいいが一つ条件がある。たとえ卵が孵っても生まれた子は今後一切ドラゴン族とは関わらせないというこ

とだ。それが守れるならばお渡ししよう」


「わかりました。エルフの名においてお約束いたします」 


 国王は台の上に置かれていた卵をオーウェンに手渡した。


 オーウェンは卵を受け取るとそっと服の内ポケットへと仕舞い込む。


 厄介払いができたと言わんばかりの表情の国王にオーウェンが口を開く。


「一つだけお聞きしてもよろしいですか?」


「何だ?」


「どうしてこちらの卵を処分しようとしたのですか?」


 それを聞いて国王は「フン」と鼻を鳴らした。


「こちらの卵の方が小さいからだ。こんな小さな卵じゃ生まれてくるのはろくな子じゃないからな。やはりこれくらい大きな卵じゃないとな」


 そう言って国王はもう一つの卵を指差した。


 確かにオーウェンがもらった卵よりも数倍の大きな卵だった。


「確かにそうですね。もしかしたら孵らない可能性もありますね。それでは私はこれで。お邪魔いたしました」


 オーウェンは国王夫妻の気が変わらぬうちに、と急いで姿を消したのだった。



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