227 報酬
受付カウンターに行くとそこにいた女性がにこやかな笑顔で僕を迎えてくれた。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
僕はマジックバッグからツノウサギの角を取り出した。
「ツノウサギの討伐をしたのでこれを持ってきました」
受付の女性は一瞬顔を強張らせたが、すぐに元の笑顔へと表情を変えた。
「ツノウサギの討伐ですね。ありがとうございます。全部で…十本ですね。少々お待ちください」
その場でツノウサギの角を数えると箱に入れて扉の向こうへと下がっていった。
しばらく待っていると再び受付の女性が現れた。
「お待たせいたしました。お支払いをいたしますのでこちらにお越しください」
受付の女性はカウンターから出てくると、その横にある扉の方へ案内してくれる。
僕達はゾロゾロと彼女の後について行った。
扉を開けると廊下が続いていて、扉が並んでいた。
そのうちの一つを開けると中に入るように促された。
中に入ってソファに腰を下ろして待っていると、やがてお金の入った袋を持って彼女が現れた。
「お待たせいたしました。こちらが今回の報酬になります。中身をご確認ください」
渡された袋からお金を取り出すと、ジャラジャラと銀貨が転がり出てくる。
依頼書にあった通りの金額を確認すると、僕は銀貨を袋の中に仕舞い込む。
「はい、間違いありません」
受付の女性が顔を強張らせたのは、依頼書には『一匹だけでも良い』とあったのに十匹分の角を持ってきたからの
ようだ。
それにしてもお金を渡すのにどうしてわざわざこんな部屋に連れてこられたのだろう?
不思議に思いながら部屋から出て歩いていると、オーウェンが僕の様子に気づいたらしく話しかけてきた。
「エドアルド君、何を不思議がっているんですか?」
「いえ、わざわざこの部屋に来てお金を渡されたのはどうしてかなって思って…」
王都の冒険者ギルドではカウンター越しに報酬を支払ってくれていた。
それなのにどうしてここでは個室に案内されたんだろう?
「ああ、その事ですか」
オーウェンはチラリとギルド内にいる冒険者達に目をやった。
それにつられて僕も冒険者達に目をやるが、どことなくガラの悪そうな連中が多かった。
「ご覧の通り、ガラの悪い連中が多いですからね。人前で報酬を渡すと、そのお金を狙ってくる連中もいるんですよ。ですから依頼品の受け渡しも個室で行ったりするんですけどね」
どうやら受付の女性が顔を強張らせたのは、あの場で僕がツノウサギの角を出してしまったからのようだ。
それならそうと早く言ってくれれば良いのにな。
僕は少し恨みがましい目をオーウェンに向けたが、オーウェンは相変わらずしれっとした顔をしている。
僕はやれやれと肩をすくめると、オーウェンの後について歩くのだった。




