225 決意(オーウェン視点、???視点)
エドアルド達がツノウサギの討伐をしている間、オーウェンは森の入り口の方に微かな動きを感じ取っていた。
(やはり来ましたか。どうやらエドアルド君に監視をつけているようですね)
エドアルドとアーサーが学院を卒業してからそれとなく二人の行動を注視していた。
それにより二人が改ざんされた依頼書によって危機にさらされていた所を回避できた。
だが、結果としてエドアルドはアーサーと別れ王都を出る羽目になってしまったのだ。
(あまり人間界に介入したくはないのですが、ヴィンセントの子孫である以上、放っておく事はできませんね)
エドアルドにドラゴンの卵を与えたのも、ゆくゆくはエドアルド自身で乗り越えてほしいからだった。
(ウィルが成長するのにはもう少し時間がかかりそうですね。それまで何事もなければいいのですが…)
オーウェンはもう一度森の入り口に視線を移したが、そこにいる人物はそれ以上こちらに来る様子はなさそうだ。
「オーウェン? どうかした?」
エドアルドに声をかけられてオーウェンはすぐにいつもの笑みを浮かべた。
「何でもありませんよ。ツノウサギの解体ですね。これはエドアルド君にやってもらいましょうか」
オーウェンが告げるとエドアルドは露骨に嫌そうな顔をしたが、いつまでも頼られるわけにはいかない。
エドアルドもそれを承知しているようで渋々ツノウサギの解体を始めた。
(さて、これからどんな手を打ってくるのでしょうかね? 何も仕掛けてこないのならばしばらくは静観することにしましょうか)
オーウェンはそう決意するとエドアルドの解体に目を移した。
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その男は自分の屋敷で密偵からの報告を受けていた。
「そうか。今は隣街の宿屋に滞在して冒険者ギルドの依頼を受けているのか。わかった。引き続き監視を怠らないようにな。何か動きがあれば逐一知らせてくれ」
「はっ」
密偵は軽く頭を下げると部屋から出て行った。
男は一人になると軽く息を吐いた。
(まったく…。厄介な存在がいたものだ)
まさかエドワード王子に双子の兄弟がいたとは思いもよらなかった。
陛下の告白にも驚いたが、その子を王室に迎えないという決断にも驚かされた。
だが、王室に迎えないからといって安心は出来ない。
いつ、陛下の気が変わってエドアルドに王位を継がせると言い出すかもしれないからだ。
エドワード王子にしても突然存在を知らされたエドアルドの事を警戒するどころか、学院で一緒に行動しているとの事だった。
このままではエドワード王子すらもエドアルドの存在を認め、王位継承権をエドアルドに譲ると言いだすかもしれない。
そんな危機感を覚えた男はエドアルドを排除する事を決めた。
冒険者ギルドに潜り込ませ、依頼書を改ざんさせたが失敗に終わった。
(それにしても、エドアルド様と行動を共にしている人物は一体誰なのか?)
見目麗しい二人組だと聞いたが、貴族の中にそのような人物には心当たりがない。
おまけに新たにもう一人若い男の子が加わったという。
もしかしたら平民の冒険者かもしれない。
(とりあえず王都からは離れた。このまま戻って来なければいいが、万が一戻ってきた場合は…)
男はそう決意すると静かに部屋を出て行った。




