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222 討伐

 ツノウサギの肉を食べ終わったウィルは満足したのか口をペロリと舐めている。


 そんなウィルにオーウェンは苦笑しながらも注意を繰り返す。


「火の玉を吐くのはいいですけれど、少しは加減してくださいよ。周りの木や草に燃え移ったら火事になりますからね。下手をしたらエドアルド君まで丸焼けになりますよ」


 それを聞いて僕はゾッとした。


 確かに他に火が燃え移ってしまったら、火災にまで発展しかねない。


 そうなると僕の身までもが危険にさらされてしまうかもしれない。


 オーウェンに注意されたウィルは再びドラゴンから人間へと姿を変えた。


「しょうがないな。火の玉を吐かないようにこの姿でツノウサギの討伐をするよ。それならばいいんだろう?」


 渋々といった感じでウィルは人間の姿で森の中を歩き出した。


 人間になったはいいが、素手のままツノウサギを討伐するつもりなんだろうか?


「おい、ウィル。素手のままで大丈夫なのか?」


 前を歩くウィルに問いかけると、ウィルはクルリと振り返るとニッと笑った。


「大丈夫だよ。僕にはこれがあるからね」


 そう言って右手を僕に見せる。


 それを見て僕は目を丸くした。


 なんと、ウィルの右手はドラゴンの腕のままだった。


 真っ黒なドラゴンの指の先には鋭い爪がキラリと光っている。


 まるで鬼の手を持ったマンガの主人公みたいだな。


 それでツノウサギを倒すのはいいけれど、僕達以外の人間に見られたら大騒ぎになりそうだ。


 オーウェンもそう考えたのか妙に渋い顔をしている。


「それでツノウサギを倒すのはいいですけれど、くれぐれも他の人には見られないようにしてくださいよ」


「わかってるよ。あ、向こうにツノウサギがいるぞ」


 ウィルはそう言って駆け出した。


 どうやらツノウサギの気配を感じ取ったようだ。


 僕も急いでウィルの後を追った。 


 ウィルは信じられない速さで森の中を駆け抜けていく。


 よく見るとウィルの足は地面に付いてないみたいだ。


 もしかしたら浮遊魔法で浮いている状態なのかもしれない。


 だから木の根っこに足を取られたりしないんだな。


 ようやくウィルに追いついたときには既に数匹のツノウサギを倒していた。


 どのツノウサギもウィルの鋭い爪で身体を切り裂かれている。


 これはこれで色々と問題がありそうだ。


 ツノウサギの血の匂いで他の魔獣が集まって来そうだな。


 そう思った矢先、僕の横の茂みがガサッと音を立てた。


 ハッとして横を向くと、一匹のツノウサギが茂みの中から現れて僕に飛びかかってきた。


「うわっ!」


 僕が慌てて避けると、そのツノウサギに向かってウィルが鋭い爪を振り下ろした。


「ピィーッ!」


 叫び声をあげてツノウサギがその場に倒れ込む。


 ドクドクと流れる血が地面を濡らしていく。


「まったく…。後始末をするこちらの事も考えてくださいよ」


 文句を言いながらもオーウェンは倒れたツノウサギから角を取り出し、せっせと魔法で解体をしていく。


 この調子じゃ僕の出番はなさそうだな。




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