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215 食事

 ウィルの背中にベッタリと張り付いていた翼が徐々に広がって、その存在を主張してきた。


 ウィル自身も自分の翼を確かめるように少しずつ動かしている。


 まるでトンボや蝶が羽化した時のようだ。


 だけどあっちは昆虫で、こっちは…何だ?


 ドラゴンって鳥類?


 それとも爬虫類?


 卵から生まれるって事は哺乳類じゃないって事だよね。


 そのうちにウィルの翼は完全に開いたようで、バサバサと音を立てている。


 やがてウィルの身体が僕の手のひらから少しだけ浮き上がった。


「やった! 飛べた!」


 ウィルがそう喜んだのも束の間、ウィルの身体はまた僕の手の上へと逆戻りした。


 まだ、完全に飛べる状態ではないようだ。


 何度も浮き上がっては落ちるを繰り返していたが、ようやく浮き上がったままホバリングが出来るまでになってい

た。


 それで自信がついたらしく、ウィルは懸命に翼を動かして僕の周りを一周すると、また僕の手の上に戻ってきた。


「上手に飛べるようになったじゃないか」


 僕の手の上でぐったりとしているウィルに声をかけてやると「ピィッ」と嬉しそうな声を上げた。


「それよりもお腹が空いちゃったよ。何か食べさせて」


 確かに卵から孵ってからまだ何も食べさせていなかったな。


 だけどドラゴンって何を食べるんだ?


 そもそもドラゴンって肉食なんだっけ?


 思わず顔をあげてオーウェンを見ると、オーウェンはコクリとうなずいた。


「食事を部屋まで運んでもらいましょう。流石にウィルを連れて人前に出るわけにはいきませんからね」


 オーウェンがパチンと指を鳴らすと、しばらくしてノックの音が響いた。


「お待たせいたしました。お食事をお持ちしました」


 扉が開くとワゴンを押した給仕の人が部屋に入って来た。


 テーブルに次々と料理が並べられ、おいしそうな匂いが部屋の中に広がっていく。


 その匂いに刺激されたのか。僕のお腹も「くうっ」と小さな音を立てる。


 給仕の人にはウィルの姿は見えないのか、淡々と料理を並べていた。


 料理やカトラリーを並べ終えると、給仕の人は一礼すると部屋を出て行った。


「ウィルにはエドアルドが食べられるものは何でも与えて大丈夫ですよ。それと魔獣を倒した後は、その肉も食べたりしますけどね」


 つまり何でも食べられるという事だな。


 特定の食べ物しか受け付けなかったらどうしようかと思っていただけに少しだけ安どした。


 空いている皿に僕の料理を少しずつ入れてやると、ガツガツと凄い勢いで食べ始めた。


 よほどお腹が空いていたらしく、あっという間に食べ終えている。


 真っ先に食べ終えたウィルはお腹がいっぱいになって眠くなったようで、身体を丸めるとすやすやと寝息を立て始めた。


 テーブルの上で寝ているウィルを見かねたオーウェンが、魔法でウィルの下にクッションを出してやっていた。


 そんなウィルを横目に僕達は黙々と料理を平らげていった。


 食事を終えたところでオーウェンが寝ているウィルを指差した。


「エドアルドも疲れたでしょう。ウィルを連れてベッドルームにお行きなさい」


 僕もお腹がいっぱいになったせいか、少々眠気が襲ってきている。


「わかりました。それじゃ、おやすみなさい」


 僕はクッションごとウィルを持ち上げるとベッドルームへと向かった。



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