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122 くじ引き

 オーウェンが約束してくれた通り、それからは普通に学院生活を送っていても、エドワード王子とクリフトンに出会う事はなかった。


 周りを気にせずに学院生活を過ごせるというのは本当に有り難い。


 それにしてもオーウェンの記憶の改ざんがあやふやだというのは一体どういう事なんだろうか?


 オーウェンとは違う何かの力が働いているのだろうか?


 だけど、オーウェンにわからない事が僕にわかるはずがない。


 そんな無駄な事を考えるよりも、これからどうするかを考える方が先だ。


 二年生になって合同授業が始まれば嫌でも顔を合わせる事になるだろう。


 そうなれば絶対に話をしなければいけない状況に陥るに違いない。


 その時にしらを切り通すか、王子だと認めて口止めをするか…。


 万が一、エドワード王子が僕を王宮に連れて行くと言い出しても僕は頑として断るつもりだ。


 何しろ、国王も王妃も僕の事をバッサリと切り捨てたんだからね。


 僕にしたって今更、王宮に戻って王子をやれと言われても真っ平御免だ。


 僕はこの先冒険者として平凡な人生を歩むと決めているんだからね。





 月日は流れ、僕達は二年生に進級した。


 担任は一年の時と変わらずディクソン先生だ。


「この先、魔法の授業と剣術の授業で上位貴族の皆さんのクラスと合同授業になります。授業中の出来事に関しては不敬を問われる事はありませんが、くれぐれも失礼のないようにしてください」


 ディクソン先生はこちらが心配になるほどオロオロと不安そうな表情を見せている。


 過去に何か不敬を問われそうな出来事でもあったのだろうか?


 それにしても、合同授業がマーリン先生とヴィクター先生の授業というのは偶然なんだろうか?


 それともオーウェンが裏で手を回しているのだろうか?


 それについても明確な答えを見出だせないまま、剣術の授業の時間がやって来た。


 運動後に着替えて運動場に向かうと、上位貴族のクラスも僕達とは反対の方向から運動場へと出て来た。


 その中にエドワード王子とクリフトン。ブライアンの姿が確認出来た。


 恐らく向こうも僕の事を把握出来ていると思う。


 何しろ黒縁眼鏡が目立っているだろうからね。


 なるべくエドワード王子達から見えにくい位置に並んでいるとヴィクター先生が現れた。


 尚、女子生徒達はベアトリス先生と共に僕達とは反対側で授業を行なっている。


 要は合同授業と言いつつ、男女別授業という形になっただけだ。


 ヴィクター先生は整列した僕達をグルリと見回すと軽く頷いた。


「それでは授業を始めようか。初めての合同授業であるし、この一年皆の実力を見てきているので、ここは一つ模擬戦といこう。それぞれのクラスでくじを引いて順番に戦ってもらおう」


 そう言ったヴィクター先生の前にはいつの間にかテーブルとくじの入った箱が二つ置かれていた。


 くじの入った箱にアリが群がるようにわらわらと集まりくじを引いていく。


 僕も他のクラスメイトの陰に隠れるようにして前に行きくじを引いて元の位置に戻った。


 恐る恐るくじを開くとそこには大きく『1』と書かれている。


 まさかの一番かよ。


 くじ運が良いのか悪いのかわからないな。


「皆、自分の番号は確認したな。それでは一番の番号を持っている者、前に出て来てくれ」


 僕は渋々と他の生徒をかき分けるようにヴィクター先生の所へ向かった。


 上位貴族のクラスからも一番のくじを持った生徒が前に出てくる。


 その生徒を見た途端、僕は回れ右して逃げたくなった。


 なんと!


 そこに現れたのはエドワード王子だった!



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