006話 異世界転生で魔王のお母様に会う(06)
「し、失礼しました、お母様」
私は鼻血を噴き飛ばした醜態を謝罪しました。
「御身体を好きにしてよいというのは、そ、それはつまり……対価を御身体で支払うということでしょうか?」
「まあ、そういうことであるな」
お母様はなんの躊躇いもなくあっさりお認めになりました。
思わず鼻血を噴き飛ばしましたが、しかし私は同姓なので、できればそういうお申し出は異性である殿方にされる方が効果的かと思いました。
おそらくお母様にそのように申し出られて拒絶できる殿方はこの世におられないでしょう。
「あ、あの、お母様。お申し出は大変嬉しいのですが、残念ながら私はそういう百合的な属性は持ち合わせておりませんで……」
「百合の花がどうしたというのだ? そんな花のことなど今はどうでもよい。それよりおぬしは妾となって、魔界で我が子の世話をするのじゃ」
「……はい? え? 私がお母様となって魔王様のお世話を……?」
「そうじゃ。残念じゃが妾はおぬしと同じく、今、魔界で死にかけておる」
「───っ!? そ、そうなんですか? お母様、それは大変ですね……」
「そこでおぬしが妾の身体に入り、妾の代わりを務めるのじゃ。そうすればその間、おぬしは妾の中で生きながらえることができるじゃろう。そして妾もしばし休眠し、力を貯え、機が熟せば復活し、おぬしを元の世界に返してやることができる。どうじゃ? 悪い話ではなかろう?」