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040話 ウィンリル・ロキ・アスタロッド(03)

(ふー。あぶなかったです、お母様。危うく間接キスをしてしまうところでした)


 そういいながらも私は危険を未然に回避できたので誇らしげでした。


(なんじゃ? 間接キス? 回し飲みなんぞ当たり前のことじゃ。その行為に深い意味はないぞ)


 ───ええ!? な、ないんですか!?


 誇らしげだった私はがっかりしました。

 肩を揉んだり、花瓶に花を活けることには意味があるのに、回し飲みには意味がないなんて……。

 魔界のお作法はよくわかりません。体得するにはまだまだ時間がかかりそうです。私は高価な薬をいただきましたが、そのお味はなんだか少しほろ苦かったです。


「いやー、でも本当にびっくりしたよ。ネフェルが急に倒れるんだもん。ボク達もそうだけど、マルフィスもびっくりしたと思うよ。幸いマルフィスは賢い子だから取り乱したりしなかったけど、さすがにフォローは入れた方がいいと思うな~」


 ウィンリルさんがそう申されて私は「それならすでにフォローは入っております」と昨晩のことを思い返し、内心で誇らしげに胸を張りました。

 そしてウィンリルさんもフォローが必要と思われていることをうかがえて、私は昨晩の自分の行為が誤りでなかったことに自信を持つことができました。


「でもさ~、だから言ったじゃん。ネフェルはマルフィスに厳しくし過ぎだって。だから倒れちゃうんだよ。これに懲りたらちょっとはマルフィスに優しくしなよ」


 ウィンリルさんが続けたお言葉に、私はお母様が倒れられた原因の発端を垣間見たように思いました。


「昔はもう目に入れても痛くないって感じで猫可愛がりだったのに。急に態度を変えるんだもん。あれじゃあマルフィスも可哀そうだよ」


 ウィンリルさんの発言を聞いて、私もお母様に伺いたいことが色々出てきました。


(お母様。どうして魔王様にそんなに厳しくされているんですか?)


 私は心の中でお母様にお伺いをたてましたが、そのお返事はウィンリルさんの続く言葉で理解できました。


「まあでも()()()()()()()()()()()()()()してきたら「厳しくしなきゃ!」って思うのは当然だけどね。でも限度があるよね? 急なんだよネフェルは。激甘マックスから激辛マックスに180度ひっくり返るんだもん。僕たちもびっくりだったよ」


 なるほど。勇者が魔王に宣戦布告をされたのですね。お母様が戦時体制下だと仰っていた状況が少し見えてきました。

 そしてお母様は我が子を守るために「厳しくしなきゃ!」と思われ、その結果、魔王様にスパルタ教育を強いられていたのですね。


「ただ、ネフェルの場合は仕方ないかもだけどね……」


 そういってウィンリルさんは深く溜息をつかれました。その言葉と溜息には深い意味が込められているようでした。


(あの、お母様。ウィンリルさんがお母様の場合は仕方がないと仰るのはどういうことなんでしょうか?)


 私はお母様にまたお伺いしましたが、そのことについてお母様の口は重いようでした。


「まさか()()()()がね……。()()()()()()()()()()なんて……。そりゃショックだよ。まあ、僕らが受けたショックなんて、ネフェルとは比べようもないけどさ」


 カーコス? どなたかのお名前のようですが、どういった方なのでしょうか?


「だからってネフェルが責任を感じる必要はないよ。それにその重責をマルフィスひとりに背負わせる必要もないさ。だからみんな一回肩の力を抜いてさ。この問題にどう向き合うか一緒に考えようよ」

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