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004話 異世界転生で魔王のお母様に会う(04)
「あ、いえ、このお部屋ですが、ちょっと寒いなと思ってまして……。お母様は素敵なドレスをお召しですが、胸や背中が開放的で、おみ足も大胆に出されています。ですのでもしかすると私と同じく───いえ、私以上に寒いとお感じなのではないかと思いまして」
私は仕事用の白の長袖ブラウスに薄ベージュの膝下タイトスカート、それにジャケットを羽織っていましたが、それでもこの部屋は少し肌寒いと感じていました。
そんな私より遥かに薄着のお母様は、きっと寒いとお感じなのではないかと思ったのです。
「こんなこともあろうかと私はショールをいつも持ち歩いております。宜しければどうぞお使い下さい」
そういって私はショールをお母様の肩にまわしました。
お母様は何も言わずにショールをお召しくださいました。
「……ふむ。おぬしは聞きしに勝る気遣いっぷりじゃな。見込んだ通りじゃ」
「ありがとうございます。……───え? 見込んだ通り? それはどういうことでしょう?」