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035話 ルーシファス・ゼブフ・アスタロッド(05)
「しかし困りました。実はネフェルに相談したいことがたくさんあったのですが……。仕方ないですね。しばらくは僕ひとりで頑張りましょう」
そういうとルーシファスさんは顎に手をあてて溜息をつかれました。
ルーシファスさんもお疲れ気味のようです。
(お母様。ルーシファスさんはどうしてこんなにお疲れなんでしょうか?)
(ヤツは我が魔王軍の参謀総長で作戦指揮官だ。また魔導部隊の軍団長でもある。そして我が国の宰相も兼任していて内政はもちろん外交の一切も取り仕切っておるのじゃ。そして先も言うたとおり我が国は今、戦時体制下でな。ただでさえ難しい外交はより駆け引きが増し、内政を保つ行政も繁忙を極めておる。その為、ヤツは日々の業務に忙殺されているのじゃ)
なるほど。そういうことでしたか。
先日、私が倒れた際にテキパキと周囲に指示を出し、医師の手配などを速やかに整えられたルーシファスさんは、かなり頭脳明晰で判断力も高い方だとお見受けしていました。そんなルーシファスさんが忙殺されてしまうなんて、戦時体制というのは本当に大変なのですね。