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034話 ルーシファス・ゼブフ・アスタロッド(04)
「な、何をいうか、ルーシファス。妾は正真正銘、ネフェル・パトラ・アスタロッドであるぞ」
私が必死にそう訴えるとルーシファスさんは片目をピクリと引き上げられました。
肩の力が抜けたせいか、今の私は比較的堂々と言い張れたように思います。
まだまだお母様には及びませんが、私は少し自信が持てました。
私がそう言い張った後も、たっぷり10秒近くルーシファスさんは私に詰め寄ったままでしたが、しかし緊張が極限に達しようかとしたその時、ルーシファスさんが笑みを漏らし、静かに私から離れてくださいました。
「まあ、いいでしょう。今の言い方でネフェルだと言い張れば、僕以外の者なら、あるいは誤魔化し続けることができるかもしれません」
そしてルーシファスさんの目は閉じ、また元の糸目に戻って下さいました。