表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/83

032話 ルーシファス・ゼブフ・アスタロッド(02)

 私が扉を開けるとそこはお花畑でした。


 どういうことかというとルーシファスさんが大きな花束を持ってお見舞いに来てくださっていたのです。

 花束の陰から顔を覗かせたルーシファスさんはにっこり微笑むと、私に恭しく花束を贈呈してくださいました。

 このように花束を贈られると自分がお姫様にでもなったかのように錯覚してしまいます。否が応にも私は胸が高鳴り、とてもときめいてしまいました。


「どうやら体調はもう良さそうですね。顔色も良いですし、表情もとても穏やかです」


 私が薄っすら頬を赤らめ、お花にうっとりしているのを()て、ルーシファスさんはそう思われたようです。


「昨日、ルーシファスさんが速やかにお医者様の診察を手配してくださったおかげです。本当にありがとうございました」


「いえ。当然のことをしたまでです。それより───体調は元に戻っても、話し方は変わってしまったままなんですね。まあ、()()()()()()()()()()()()()()()()、やはり少し違和感がありますね……」


 私は「しまった」と思いました。ついつい自分の口調で喋ってしまいました。

 もっとお母様の話し方を真似しなくては。


「まあ、いいですよ。貴方がネフェルじゃないことはもうバレていますから。今更、下手に取り繕う必要はありませんよ」


「───えっ!?」


 私はドキリとしました。


「ただ、やはり貴方が何者なのかは少し気にしています。まさか我々に何か害をなす悪巧みなど考えていないでしょうね?」


 そういってルーシファスさんは一歩、私に詰め寄りました。

 たじろいだ私は一歩退き、部屋の壁際に追い込まれてしまいました。


 綺麗なお顔立ちのルーシファスさんですが、凄まれるととても怖いです。

 なまじお顔が綺麗なだけに、その事が不気味さを増幅させているようでもありました。


「特に───特に、もしネフェルに何か危害を加えようとしているなら僕は絶対に───絶対に許しませんよ?」


 ルーシファスさんはさらに私に詰め寄りました。私は爪先立ちになり、ぴったりと壁に背を付け、極限まで身体を平たくして震えました。


「どうでしょう? 素直に白状してはどうですか? 貴方は誰で、目的は何なのか?」


 もうこれ以上ないくらいルーシファスさんは私に詰め寄りました。

 そしてその時───ルーシファスさんの糸目が───ルーシファスさんの糸目がスッと静かに見開かれたのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ