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031話 ルーシファス・ゼブフ・アスタロッド(01)
「えーっと……昨晩、魔王様がお部屋に来られてお母様が眠られた後ですが……」
(うむ。妾が眠った後じゃ。その後はどうしたのじゃ? 早よう申せ)
そう急かされたので、私は覚悟を決めて魔王様に部屋へお入りいただいたことを、素直に白状することにしました。
そう意を決し、お母様にお伝えしようとしたその時───。
またしても部屋のドアがノックされました。
「あ、あれ? お母様。またお客様のようですね……?」
(まったく間の悪いヤツらだ! 誰が来たか確認し、速やかに要件を済ませて追い返すのじゃ!)
お母様がそう仰ったので私はドアに寄り、どなた様かを尋ねました。
「ネフェル。僕です。ルーシファス・ゼブフ・アスタロッドです」
この方は声でどなたかわかりました。
あの金髪の優しそうな顔立ちをした糸目の青年で、私と額をくっつけ合った方です。




