028話 グランダム・サタン・アスタロッド(08)
私もとても驚きました。
あまりにもグランダムさんが勢いよく椅子から飛び起きたからです。
そしてこの驚きよう───。
何かただならぬことを私はしてしまったのだとすぐに気づきました。
「し、失礼しました……! あ、あの、肩こりを治そうと肩を揉んだのですが……。いけませんでしたか?」
「か、肩を……。俺の肩を揉んだというのか……?」
グランダムさんは自分の両肩に両手を充て、信じられないといった様子でした。
「本当に───本当にお前が俺の肩を……俺の肩を揉んだのか?」
やばいです。これはやってしまったようです。どうやら地位の高い殿方の肩を断りもなしに揉むのはとてもいけないことだったようです。
「す、すみません……! 本当に失礼しました……!」
私は平謝りをしましたが、グランダムさんはそんな私の前に倒れ込むように跪きました。
「───え? あの、グランダムさん? な、なにを?」
「ネフェル・パトラ・アスタロッドよ。最高の敬意に我も最大の敬意で応えよう。我が肩を揉んでくれたこと、とても光栄だ。このグランダム・サタン・アスタロッド、心より感謝申し上げる」
ええ~!? な、なに!? どういうこと……!?