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ご主人様に愛される拘束奴隷  作者: 有原優


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第十七話 変化

 その後、ニナは連日縄の拘束に苦しむ日々を過ごした。

 が、その数日後、ニナに新たな手枷が与えられた。

 その拘束具は、ニナの新しい手に見事に合致した。

 ニナはその拘束具に拘束されながら、「これで楽になる」と呟いた。

 ニナの手足は一気に楽になった。

 だけど、ニナはすぐさま気付いた。

 これ、結局地獄は変わらないじゃんって。


 その日から幾日耐えど、拘束は外されない。

 その結果ニナは再び絶望の底に落ちた。

 絶望の中、ニナは心を閉ざしていった。


 しかも、周りのメイドには虐められる日々が続く。アルセイドがいないときはいつも暴力を振るわれてきたのだ。


「お前、ご主人様に好かれて気持ち悪いのよ」

「ストレスのはけ口にしてやる」

「なんで同じ奴隷のお前を世話しなきゃいけないのよ」



 それから十年間に及び、ニナは拘束されたままの生活を強いられ、そんないじめにも耐え続けた。


 恐らくメイリスがいなければ彼女はすぐに絶望し、心を閉ざし、ただの人形となっていただろう。

 だが、メイリスが支えてくれるからこそ、人の心を何とか保っていた。


 そしてニナはある日から作り出すようになった。

 明るい人格を。


 暗いままだと、絶望に取りつかれ、すぐに全てを嫌だと思ってしまう。

 だからこそ、自分だけはこの絶望の世界で明るく生きようと思ったのだ。

 そしてそれはニナにも半場無自覚の変化だった。



「ご主人様おはよう!!」


 ニナはアルセイドに元気よく挨拶する。

 前日までアルセイドに対して、心を閉ざしていたのに。


「ああ、おはよう」


 アルセイドは返事するも、不思議だった。今まで反抗的だったニナが急に親身的になったのだから。

 だが、アルセイドにとってそれは嬉しかった。

 ニナに嫌われるのは嫌だったからだ。


「ご主人様昼ご飯は何ですか?」

「そうだな、今日はチーズにパンをつけて食べる」

「やったー、私あれ好きなんだよね」


 その光景はまるで親子のようだった。

 ニナが後ろ手で拘束されているという点を除けば。


 それからニナは笑った。

 常に理想の自分を演じ続けた。

 すると、ニナは段々自分をごまかせるようになってきた。


 だが、これが本当の自分なのかには、疑問を持ってしまう。

 その結果、ニナは段々と今の自分と理想の自分を重ね合わせそのすり合わせを行うようになっていった。


 その結果、理想の自分を素で演じれるようになった。


 その結果、ニナは今起きていることを一種の試練だと思いつつ、主人に対してストレスをぶちまけることで何とか自分を保っていた……………………

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