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真打ちは、不敵な笑みとともにやってくる。(来なくていい)

 「さすがですね、勇者アディル」

 歪んだ空間から現れたのは、なんと生徒会長だった。

 眼鏡を真ん中を、クイッと上げながら公園に現れる。

 「どうして、気づいたのか教えていただいても!?」

 「てまりから、お前の甘ったりぃ匂いがプンプンしたからな」

 …匂い!?

 もしかして、会長からもらった飴玉の匂いだろうか。

 「そうですか。匂い。なるほど…」

 自分の手の内が見破られたっていうのに、会長はちっとも動じていない。

 「次に用意するときには、匂いに気をつけたほうがよさそうですね」

 どこまでも不敵な笑み。

 「次は、ねーよ」

 ジャキンッとやや派手な音を立てて、陽彩(ひいろ)が剣を構えた。

 「おやおや。名乗らせてもいただけないのですか。野蛮ですね、アナタは」

 会長は、どこもでも上から発言だった。

 剣を見ても怯えることもない。

 軽く、陽彩(ひいろ)が舌打ちをする。〈野蛮〉と言われたのが癪に障るらしい。

 「我が名は、エスト・ビブリオ。魔王陛下の補佐役でございます」

 優雅なまでに会長がお辞儀をする。その優雅さが、逆にムカつく。

 「魔王さまからの贈り物は、いかがでしたかな、勇者アディル」

 贈り物…⁉

 「アナタが、死んで別の世界に逃げるなどという技を使うものですから。陛下は大変ご立腹なのですよ」

 「オレにやられるような雑魚のくせにか⁉」

 挑発するような言葉を、陽彩が口にする、だけど、エスト・ビブリオと名乗った会長は、眉一つ動かさない。

 「やられたのではありませんよ。魔力を回復させるまで、一時の休息を取られただけです。そもそも、人間ごときが魔王陛下を倒せるとでも思っていたのですか⁉」

 やや大げさに、会長が両腕を広げた。

 「陛下は神!! 人間が倒せるようなお方ではないのですよ」

 その狂信的な言葉に、背筋が寒くなる。

 「まあ、倒せたとは思っちゃいなかったけどよ」

 陽彩も薄々わかっていたのかもしれない。倒したと思っていた魔王が死んでいないと聞かされても、さほどの動揺はみせなかった。

 「オレは、あの世界がしばらくの間だけでも平和になればよかっただけだしな」

 完全に魔王を倒すことは難しい。なら、一時であっても、世界に魔王が干渉してこない時間を作る。陽彩の勇者としての役割は、それだったのだろう。

 (一時のために…!? 命をかけて…!?)

 「陛下はいずれ、魔力を取り戻され、あの世界に復活なされる。しかしその前に、陛下を倒したと増長しているであろうアナタに罰を与えると。陛下は、とても矜持の高い方。世界を超えて逃げるなど赦されないのですよ」

 「逃げたわけじゃないんだがな」

 ボソリと陽彩が呟いた。

 「言い訳は見苦しいですよ。手下どもではいただくことの出来なかった、その命、私が頂戴いたします。陛下が、アナタの魂をご所望なのでねっ!!」

 言うと同時に、会長、いやエスト・ビブリオが飛びかかった。

 手には、いつの間にか禍々しい光を放つ剣が握られている。

 「…くっ!!」

 陽彩が剣で受け止める。

 「さあ、無駄なあがきはせずに、その魂を差し出しなさい、勇者よっ!!」

 「誰がっ…‼」

 陽彩がエスト・ビブリオの剣を押し返す。

 もう一度剣をぶつけ合い、力が拮抗する。

 次の瞬間、陽彩が剣を薙ぎ払う。

 エスト・ビブリオが、後ろに跳躍する。

 着地すると同時に、一気に間合いを詰め、襲いかかる。

 刺突された剣を、聖剣の剣身で受け流す。

 ギャリギャリギャリッと金属のこすれる音が響く。

 鍔同士がぶつかり合い、離れる。

 今度は陽彩が下から剣を振り上げる。

 至近距離にいたエスト・ビブリオが、上体をそらし避ける。

 そのまま流れるように陽彩が突進する。

 二撃目、三撃目と剣をくり出すが、エスト・ビブリオは右へ左へ、かがんだり跳躍したりと身をかわす。

 そして、陽彩のスキをつくように、攻撃に転じる。今度は、陽彩が身をかわす番だ。

 剣圧が、風となって陽彩の髪をゆらす。

 攻守が激しく入れ替わる。

 ぶつかり合い、離れる。そして、一気に詰め寄る。

 決着のつきそうにない、力と技のせめぎ合い。

 私はもちろんだけど、花蓮さんもその目まぐるしい攻守の入れ替わり、剣戟の激しさに魔法を使えないで見てるだけになっている。

 「なあ、一つだけ聞いてもいいかっ!!」

 何度目かの鍔迫り合いで、陽彩が問いかける。

 「魔王は、今眠っているんだよなっ!!」

 「そうですがっ、それがどうかしましたかっ!!」

 エスト・ビブリオが剣をはじき返した。

 二人が同時に後ろに飛びずさり間合いを取りなおす。

 「じゃあ、お前を倒したら、こちらの世界に干渉することはできなくなるのかっ⁉」

 「そうですが、アナタに、私を倒せるとでも!?」

 ニヤリと笑うと、エスト・ビブリオが飛び出した。身体をひねり、上から斬りこむ構えだ。

 陽彩が、少しだけ身を落とす。

 剣を下段に構える。

 

 ザンッ…‼


 二人が交錯すると同時に、鈍い音が響いた。

 (陽彩…っ!!)

 互いに剣を振り切った姿のまま動かない。

 陽彩はかがんだ状態で。エスト・ビブリオは、真っすぐ立った状態で。

 背を向けたまま相手を見ない。

 次の動作が必要なからだ。

 …決着は、ついている。

 「陽彩ッ!!」

 必死に身体を動かして、その名前を呼ぶ。

 駆け寄りたいのに、思うように身体が動かない。

 (陽彩っ…、陽彩っ!!)

 心だけが焦る。

二十話です。

やっとここまでこれたー!!

ヘタレずにここまでこれたのは、見てくださってる方がいるおかげ。

PV、ブクマ、本当にありがとうございます。

残り三話となりますが、よろしくお願いいたします。

(大きな声では言えませんが)実は、このお話には隠しボーナスステージがございます。

なろうには投稿しにくい内容で、ピクシブさまに投稿させていただいてます。気になる⁉ そしてアナタは18歳以上!? ならば、そちらでご堪能ください(笑)かなりリアルな!? 男子高生の欲望が書かれてます。…多分。

これからもよろしくお願いしますm(__)m

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