仲間は、ピンチに現れる。
「大丈夫!?」
「あ、はい…」
ちょっと間抜けな声で答える。
誰だろう。この人。
「危なかったわね、勇者アディル」
…へっ⁉
なに!? 陽彩のお知り合い!?
彼女と陽彩を交互に見る。
「モンスターの気配がしたから来てみたら。まさか、アナタがいるなんてね」
「君は…」
「アナタと一緒に魔王を倒した、魔法使いのミカリエよ。覚えてないの⁉」
少し怒ったように、ミカリエと名乗った少女が頬を膨らませた。
黒髪ストレートロング。白く透き通った肌が、その髪によって美しさを際立たせていた。背だって、スラリと高い。
(うわあああ。美人さんだあ…)
「ゴメン。ちょっと記憶とつながらなかっただけで。覚えてるよ。雷使いのミカリエ」
陽彩のその言葉に、少女が少し笑った。
「今は、二宮花蓮よ。こちらの世界では、そう呼ばれているわ」
「オレも、菅原陽彩だ。再会出来てうれしいよ」
陽彩が握手を求め、花蓮と名乗った少女がそれに応じる。
「でも、転生してきているのは、君だけか!? 騎士のラウルや、神官のルーニアは!? 彼らに会ったことはないのか⁉」
「残念ながら、私はまだ」
少女が目を伏せ首を横に振った。その仕草すら美人さん。
「でも、この世界のどこかにいるかもしれないわ。この世界でもアナタを助けるようにと私たち、女神さまから言われているから」
「そうか。でも、君が協力してくれるなら、心強いよ」
「アナタ、魔法は苦手だったものね」
「う~ん。それを言われるとツラい」
陽彩が、ポリポリと頬を掻いた。
そして、またまた二人で笑いあう。
…って、あの~。
私、おいてけぼり…なんですけど!?
二人の会話を、ポカンと眺めるしかない。
とりあえず、会話から察するに、二人は前世で一緒に魔王さまを倒した仲間で。それぞれに、この世界に転生してきてて、こうして再会出来たってこと!? そして、仲間はまだ他にもいて、この世界のどこかにいるかもしれなくて。今のところ、陽彩のフォローを、この花蓮さんが、得意の魔法でしてくれるってことでいいのかな⁉
陽彩の前世が〈アディル〉という名前だったことを初めて知り、私は、なんとも言えない気分になっていた。
だって。
そんなことも、私、知らなかったんだもん。
陽彩もわざわざ教えてくれなかったし、私、スライムで特に名前がなかったから、前世の彼に名前があるなんて考えもしなかった。
(そっか。前世も人間だったんだもん。名前ぐらいあるよね)
当たり前のことに、今さら気づく。
「ねえ、アディル。そちらの方は!?」
不意に自分に話題が振られて、一瞬キョトンとしてしまった。
え!? 私のこと、言ってる⁉
「ああ。彼女はオレの幼なじみ。瑞浪てまり」
「初めまして。瑞浪てまりと言います」
紹介されたからには、頭を下げる。
「二宮花蓮よ。セントアンナ女学院一年。よろしくね」
「あっ、はいっ!!」
スゴい。お嬢さまじゃん。白を基調とした制服がまぶしいっ!!
「そんなに硬くならなくても大丈夫よ。同い年…でしょ⁉ 花蓮と呼んでくれないかしら」
そんなこと言われても。
「アディル、てまりさんは前世と何か関係あるの⁉」
「いや。てまりは、なにも。オレのモンスター退治につき合ってくれていただけだ」
「そう。じゃあ、てまりさんは、この世界での新たな仲間ってわけね」
陽彩の時と同じように握手を求められる。
「よろしく…お願いします」
「ふふっ。そんなに緊張しないで⁉」
「いえ。あの、さっきはありがとうございました」
危ないところを助けてもらったのだ。キチンとお礼を言わないと。
「アディルを助ける仲間なのだから、気にしないで⁉」
少し困ったように、花蓮さんは言うけれど…。
緊張しないでっていうのは、ムリッ!!
サラサラストレートの黒髪美少女。そのうえ、陽彩が頼りにするほどの強力な魔法使い。性格だって悪くなさそう。
それに比べて、前世スライムで勉強そこそこ、フワフワクセッ毛でちょっぴりチビの私では…。月とすっぽん!? 象と蟻!? 比べることすらおこがましい。
…って、あれ⁉
ふと、自分の髪が気になって頭を押さえる。
フワン、フワフワ…。ポフンッ。
(ああ、やっぱりっ!!)
さっきの雷が起こした静電気で、髪が、フワフワのパチパチになってるっ!!
なるべく気づかれないように、さりげなく直そうとするけど。強情なクセ毛は、なかなか言うことをきかない。
(―――あ)
その様子を、バッチリ陽彩に見られた上に、クスリと笑われてしまった。
うう~。
危険を脱することが出来てうれしいけど、とばっちりを受けたのは納得いかない。
第10話です。わーい!
ここまで連載することができました。
PV、ブクマをつけてくださった方、本当にありがとうございます。皆様のおかげで、なんとかやってこれました。
作品自体は、全23話で投稿する予定です。
よろしくお願いいたしますm(__)m




