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生徒


 さて、僕も授業をしないとな。僕たち学生アルバイトはあまり英語の成績が芳しくない生徒たちの補習のような授業だ。だから、正直内容のレベルは低かったりして、僕程度でもなんとかなるわけだ。


「こんばんは!」元気よく教室に入ると。


ガヤガヤした教室はガヤガヤしたままだった。静かにならないな?やっぱ僕威厳が足りないのかもしれない。


「おーい、授業はじめるぞ!」


すると一人の女子生徒が

「えー。だるい。仕方ないなぁ。じゃ、英語での告白はなんて言うか教えて?それだけ真面目に聞くからっ。」


くぅ、これだからなぁ……。


「I love you.」


と僕は彼女に言う。


「ええええ、聞いたみんな!みんなーー、先生が私を愛しているってーーー」


おぃ。違うだろう。

とその時、ひとりだけ寡黙だった男子学生が

「I love you ぐらい。しってるって。たく。」

とボソっと言う。


ま、負けないぜ。


「Be mine」

ふふふ、とっておきの告白だぜ。


と女子生徒は僕に思わしげな視線を投げかけると。


「先生……。いま、すごいこと言いましたね。俺のものになれ。ですか。」


しばしの沈黙。

そして

「きゃーーーーー。じゃ、授業のあと、手取り足取り教えてくれます。私、先生のモノになっちゃう。」

と絶叫するのであった。


あまりにも騒がしいものだから、当然他の教室から苦情が来る。来たのは隣で授業をしていた山本の姉貴だ。


「うるさい。黙れ!隣まで響くだろうが!立山先生。これは一体……。何をしたんです。」

そんな疑いの目でみなくても、変なことは。してないけど、変なことは言ったかも。


「すいません、軽率な発言を致しました。今後気をつけます。」

シュンッ。山本姉さんに怒られちゃった。悲しい。


「立山先生。先輩講師として指導させていただきます。会議室で話しましょう……。ほら、生徒は席に着席。しばらく自習しなさい。」


残りの授業の時間は、自習する生徒の監督で終わった。山本の姉貴の一声が聞いたのだろう。楽なものだった。この威厳が僕にもあればなぁ、地味なメガネをかけた彼女だけど。そのひたむきな英語への情熱で彼女は生徒に一目置かれているのだ。


さ、授業が終わったら、会議室で反省会だ。こういうときの姉さんは怖い。

仕事だから仕方ないけど。


いつもの明るい軽い山本姉さんが僕は好き。


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