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お見合い

 立山智史はお見合いを繰り返していた。実業家の父は智史に自由恋愛などというものを認める気はなく、ただ彼の興した会社を継ぐのにふさわしい「立山夫妻」を作りたいだけかに思えた。

 これまで、お見合いのたび智史はどうしようもない男を演じると縁談を破談にしてきた。

 

 しかし、それも今日で終わりのようであった。


「結婚を前提にお付き合いしましょ?智史さん」


帰り際に彼女はニッコリと微笑み、そして耳元で続ける。


「智史さんの本当の姿、ちゃんと知ってますから」


智史はドギマギし、またやや怒気を交えて言い放つ。


「君に僕の何がわかるんだ?男をろくに知らない君に?僕は選んでもらったとは思えないな。僕が素敵な男性という勘違いもハナハナだしい勘違いは世間知らずゆえの傲慢じゃないかな。1000人切りぐらいしている女性じゃないと僕の良さはわからないと言ったよね?意味わかっているの?」


彼女は続ける。

「1000人ぐらいは知ってますよ?SNSの知り合いそのぐらい居ますし、それにその……。言いにくいのですけど、ほとんど元彼です。」


 困った。コイツ何が何でも僕と結婚するつもりのようだ。親父はその気だし、コイツもおそらく親父の会社に目が眩んでいる。しかし、まさか女の子が千人斬りしたと宣言してまで迫ってくるとは計算違いもいいところだ。んーここは一つ成功法で断って見るか。


「ごめんね。結婚相手は本当は慎ましやかな子がいいんだ。引っ掛けたようで悪いけど、君は僕にふさわしくない。」


すると彼女は言い放つ。


「私、智史さんとはもう会うの10回目なのは、気づいていらっしゃいますか?それにその智史さんは私のこと良く知っていると思います。肌という肌のほくろの位置までね。また会いましょう?」


彼女は可愛らしい声で


「帰ったら、今まで会った女の子の写真を良くみたほうがいいですよ?それと……。

どうせ今日も私を観てするんでしょ?」


それでも僕は結婚なんてごめんだった。子供を育てるのも、一人の女の子に縛られるのも、家族のために働くのも、そんな覚悟はどこにもなかった。気づいてしまった。親父が単に良家の娘さんに僕を合わせていたわけではなく、それ以上に僕という人間を理解してくれていることに。でも一体どうすればいいのか?彼女はセクシーを売りにする女優の八海佳奈で、僕はその大ファンだった。


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