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7話 はじめての依頼

 宿の手配も買い物も済ましたし、そろそろ外に魔物を狩りに行こう。宿代と買い物代で懐が寂しくなったからな。素材をギルドに売って稼いでおく必要がある。


「ん?街を出るのか?気をつけろよー」

「え、俺か?おう、ありがとーおっちゃん」

「まだおっちゃんって歳じゃねぇよー」

「ハハッ!」


 いきなり門番の人に声をかけられるとは思ってなかったな。

 前回は勇者の遠征だったから多くの人が集まって声援をかけられてたけど、あまり王都内を見ることが出来なかった。…親切な人が多い良い街だな。

 よし!ちょっと頑張ってみるか。




 門から出て30分ほど歩いた場所にある森に来た。

 先に事前にギルドで受けた依頼を達成してから経験値稼ぎをしよう。


 この世界では魔物を倒すことで、その魔物の生命力が倒した者に流れ込んでくる。それは止めを刺した本人と一緒に戦った仲間に反映され、生命力が身体に馴染むことで身体能力や魔力が強化されていく。強化の度合いは当人の資質に左右され魔法の才能がある人の方が魔力が伸びやすいなどがある。

 個人的にそれを経験値と呼んでいる。日本で生まれた俺にはその方が分かりやすいからな。


 それはさておいて、まずは依頼だな。

 回復薬ポーションの素材になる薬草の採取、毒に効く薬草の採取、ゴブリン五匹討伐。採取は量によって報酬が変化するらしい。

 出来合いのポーションばかり使っていたから薬草採取なんかしたことないけど、一応初心者向けの簡易薬草図鑑をギルドから借りて来ているから大丈夫………だと思う。




 ◆




 薬草の採取はこれで完了っと。

 それぞれ五つずつ、根っこごと地面から抜き布に包んで袋に入れておいた。


 さてそれじゃゴブリンを探すか。

 森の中を適当に動いていれば何かしら魔物に出くわすだろうし少し奥の方に進んでみよう。見つからない場合は最悪騒いでたら勝手に寄って来るだろうがさすがにこれは最後の手段だよな。

 って思ってたら、ゼリー状で中が透き通っており体内に丸い核が入っている、脛あたりまでの大きさの物体を見つけた。


「お、あれはスライムか」


 元の世界でも抜群に認知度の高い大人気モンスターだ。雑魚モンスターとして扱われることも多いが、この世界でもその認識は間違っていない。確かに街の近くにいるスライムは冒険者や兵士が魔物を狩っているため、他の魔物に殺されることも少なく弱くても生き残ることが出来ている。

 ただ、人里を遠く離れた土地に住む魔物はそれがスライムであっても、様々な環境に適応するために進化しかなり強力になっている。


「今は関係ないからささっと倒しちゃうんだけどな」


 弱点は分かりやすく体内の核だ。壊せば身体を形成出来なくなり体が飛び散る。

 ビンを持ってきておいて良かった。スライムの身体もギルドで買取りしてくれると思う。良く狙って一撃で核を……


「ってうわ!?」


 あぶねっ!?急に顔に飛び掛かって来やがった。スライムは顔があるかどうかも分からないから気付かれてるのかすら不明なんだよなぁ。

 だけどそうと分かれば。


 腰に下げた剣を抜き、右半身を後ろにしたやや身体を斜めにした状態で構える。

 知性があるかも分からないがスライムが再び顔に向かい飛び掛かろうとする。相手の僅かな動きに合わせ剣を持った手を肩の高さに上げる。そして弾力を活かし跳ねるようにスライムが飛び上がった。


「ここだ!」


 カウンター気味に飛び上がったスライムの身体に剣の刃を当て斬りいれる。勢いで細長くなった液体に近い身体を真っ直ぐ縦に入った刃が吸い込まれるように体内の核を半分にした。


「ふう、今回の初めての戦闘で少し緊張したけど、まぁこんなもんか」


 これから数こなしていくうちに強さも戻っていくだろう。おっと忘れないようにゼリーをビンに入れないと。よし、袋にも入れて問題ないな。

 さて、依頼はゴブリンだしそっちも探さないとな、って……


「ん?とか言ってるうちに幸先がいいな」


 見つけた。ゴブリンが二匹いる。体長が1メートルくらいの子供のような体型をした魔物だ。

 まだ気付かれてはないみたいだが、まだ俺は弱いから慎重にいかないと。

 どこかは分からないが真っ直ぐ進んでいるみたいだ。この先にやつらの住処があるのか?だが群れを相手に戦い抜く力はまだないし、本当に住処があるかどうかも分からない。

 ……とりあえず気付かれないように後を付いて行ってみよう。何もないならその時に仕留めればいい。

 しかし足取りに迷いが全くない。群れからはぐれた固体でないことは間違いないみたいだ。


「結構長いこと行くんだな」


 もうかれこれ20分は歩いている。お前らはいいかもしれないが、こっちは神経使ってるんだぞ。俺に斥候の真似事は向いてないみたいだ。

 お、止まった。目的地に着いたみたいだな。


「ってあれは、洞窟か?」


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