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37話 修羅場

今回いつにも増して会話多目です。

 ようやく俺とマルクスの決闘騒ぎが終わってランに悠香と心悠を紹介し、ゆっくり話でも出来ると思っていたんだが、そんな俺の考えを鼻で笑うかのようにこの場には険悪な空気が漂っている。


「ご主人にはわたしがついてる。だからなにも問題ない」

「なに言ってんの。血の繋がった兄妹が一緒にいるのは当然でしょ!」

「そうだよ。それに問題ないって意味不明だよ」


 怖い恐いこわい!

 ランは無表情だし悠香は分かりやすく激昂してるし、心悠に至ってはなぜかニコニコしてるのに寒気を感じるし。


「つい昨日まで別に動いてたんだから、兄離れすればいい」

「なりたくて別々になったわけじゃないんだから!」

「こんなことがなければ一緒にいたんだよ。ずっと」


 駄目だ、俺には止められない。

 自慢じゃないがこれまで俺は恋人が出来たこともないし修羅場を経験したこともない。もちろん前回も魔王を倒すための旅で戦闘ばかりだったからそんな機会もなかった。そんな俺にこの状況をどうにか出来るとは思えない。

 だがこのままでは険悪になるばかりで非常によろしくない。どうしたもんか…。


「止めなくていいのですか、お義兄さん。爺に聞きましたがあちらの獣人の女の子はお義兄さんの仲間なのでしょう?」

「止められるなら止めたいよ。だけど俺には止め───あ」


 そうだコイツが居たじゃないか。

 実際にはちゃんとしたやつだって分かったけど、見た目は美形の優男だし、俺よりも年上だしきっと女性にも慣れているはずだ。


「どうしたんですか、お義兄さん?」

「お義兄さんって呼ぶな。マルクス、あのたちを止めてきてくれないか?俺には荷が勝ちすぎている」

「おお!初めて名前を呼んでくれましたね!」

「いやそんなことはいいから頼めないか?」

「お任せください!このマルクス・トンプソン、領内で困っている者のために微力を尽くしましょう!」


 さすがはイケメン貴族君だ。カッコいいぞ!

 そこはかとなく不安がぎるが…。でも頑張ってくれ。

 今も一向に収まることのない言い合いにマルクスは手を広げながらニコやかに近付いていった。


「やあやあハルカもコハルも落ち着くといい。そちらのお嬢さんもそんなにムスッとしていると可愛い顔が台無しだよ。君達は皆、お義兄さんの関係者なんだからいがみ合うよりまずは落ち着いて話をした方が誤解も生まず建設的だと思うよ。どうだろう?ここは一度僕の顔を立てて矛を収めるというの──」

「「「話が長い!!」」」

「──わぐふぁッ!?」

「わ、若様!」


 えぇぇぇぇ!?

 三人の同時に繰り出されたパンチによってマルクスがぶっ飛ばされた!

 そんな言うほど話は長くなかったと思うし、結構いいこと言ってたと思うよ!?

 君達気が短すぎるだろ。

 悪かったマルクス。そしてすみませんテレンスさん。


「このままでは埒が明かない」

「そうだね、決着をつけないとね」

「まさか逃げたりしないよね?」


 いやいや何言ってんの!?なんでそんなに好戦的なの君達は!


「あたりまえ。逃げる必要がない。二人で掛かってくるといい」

「舐めないで!だったら私たちも決闘だよ!」

「痛い目にあっても知らないから」

「いやいやいや待て待て待て!ホントマジで何言ってんのお前ら!?」


 え、なに?この町では決闘がスタンダードなのか?それともこの娘たちの感性がおかしいのか?


「止めないで、ご主人」

「おにい、これは女の戦いなんだから」

「それに二人掛りでいいって言ったのはこの娘なんだから」


 なんでこんな時だけ息ぴったりなんだよ!いやこの際そんなことはどうでもいい。


「決闘なんかさせられない。今のお前等がそんなことしてもただの喧嘩になるだけだからな。さっきマルクスも言っていたが一度落ち着いて話し合いをしないか?」


 え?お前が言うなって?いいんだよ俺は。互いが怪我をしないように振る舞えるから。


「ご主人、もう話し合いは終わった」

「あとは拳でしか語り合えないんだよ、おにい」

「心配しなくても大丈夫だよお兄ちゃん。私たちが絶対に勝つから」


 あ、これはあれだ。この娘たちがアレなんだ。

 もう言葉では止まらない、だったら一度白黒ハッキリさせないとどちらも納得しないな。


「ああもう、分かった。分かりたくはないけどとりあえず分かった。だけど決闘は駄目だ。直接殴り合うような方法じゃない勝負で決着をつけること。それなら俺も文句は言わない」


 これが俺の出せる最大限の譲歩だ。何が悲しくてランと妹たちの切り合い殴り合いを見なきゃならんのだ。


「むう、ご主人がそう言うなら」

「何か別の方法を考えるしかないね」

「お兄ちゃんに嫌われたら元も子もないからね」


 嫌いになんてならないぞ。心配なだけで。


「でも他の方法なんて思い浮かばない」

「う~ん…あ、そういえば私たち依頼を受けに来たんだった」

「そうだったね。それなら依頼で勝負するのはどうかな?」


 思ったより早く代案が出たみたいだな。


「のぞむところ。でもどうやって勝負するの?」

「同じ依頼を受けて良い結果を出した方が勝ちとかどう?」

「うんいいと思うよ悠香ちゃん。時間内に結果が多いほうとか、もしくは先に依頼内容をクリアした方が勝ちとかが分かりやすいと思う」


 心悠がいてよかった。ちゃんと考えてくれるからな。

 あとはギルドで勝負に合いそうな依頼を見繕ってしまうだけかな。


「僕は殴られ損ですけどね、お義兄さん」


 ……いやホントゴメンて。


今日はバレンタインですね。

チョコレートは貰えましたか?渡しましたか?

私はか○ぱえ○せんを食べましたよ。

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