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17話 お約束?

 ランの冒険者登録のためにギルドに来た俺たちの前には何故か、ゴツイ見た目の男がいた。

 二メートルはありそうな背丈に限界を超えてさらに超えたように盛り上がった筋肉、古傷が残って凄みの増したスキンヘッドが眩しく輝いている。そして腰にはそこにあることが当たり前のように大きなバトルアックスが下げられている。

 いやいや、え?普通背中に担ぐものじゃないのか?頭おかしいんじゃねえの。


「ここはガキの遊び場じゃあないんだよ。どうせ何も出来やしねえんだ。さっさと帰んな」


 おっと見た目のインパクトに押されて聞き逃すところだった。

 目の前のゴツイ冒険者が声をかけてきたと同時に周りのやつらもニヤニヤとしながら俺達の方を見始めている。


「遊びじゃない。強くなる」


 いつもと変わらず淡々と喋っているようだがランも機嫌が悪くなっているみたいだな。まだ手は掛けてないが、いつでも短剣を抜けるように手の位置を調整している。

 相手も気付いているみたいだな。しかし全く動じた様子がない。まぁ当然か、こいつ結構強いぞ。今のランだと相手にもならないな。仕方ない、間に入るか。


「まぁ待ってくれ。俺も一応冒険者で一緒に行動するからあまり危険なことにはさせないよ」

「……ッ。あぁ?お前みたいなひょろひょろしたやつが冒険者だと。どこで受付けしたかは知らねえがガキが出来るほど甘い仕事じゃないんだよ。王都にでも行ってしばらく鍛えて出直して来な」


 どうした?一瞬言葉が詰まったが。それに周りの連中も本当に一瞬だが顔が曇っていた。やっぱりランは気付かずに目の前の男を睨み付けているが。


「確かに二日前にEランクになったばかりだが戦い慣れているぞ。簡単にやられたりはしないよ」

「Eランク程度でいい気になってんじゃねえ!いいからとっとと───」

「もういいよあんた」


 そう言ったのは裏から戻って来た受付けのおばちゃんだ。


アネさん。いや、でもよ……」

「いいから。そこの坊や、名前は?」

「坊やって…。ユウジだ」


 貫禄のあるおばちゃんだな。ゴツイ冒険者からも威圧感が消えてしまっている。


「この町は王都から近いこともあってギルド同士で情報のやり取りが密に行われてるのさ。Eランクになったって聞いて確信したよ。アンタの情報も入ってるよ、一人でゴブリンロードとその群れを殲滅したユウジ」

「こいつがゴブリンロードを!?なんでそれでEランクなんだよ!王都のギルドおかしいんじゃねえか!?」

「昇級に関してはいろいろあるんだよ。だからもういいよ、損な役回り任せて悪かったね」

「やめてくれよ。姐さんには世話になってんだ。ユウジとランって言ったか、悪かったな。俺はバッカスだ。なんかあったら何でも言ってくれ。受付けの邪魔になるからこの辺で失礼するぜ」


 いいやつみたいだな。おばちゃんがチラッと見たのはこいつだったんだろう。今の話からして何か事情があったんだろうが、後で聞いてみるか。だからラン、そろそろ睨むのやめてあげて?


「説明は後でしてもらうとして、とりあえずランの登録をしてもらっていいか?」

「ああいいよ。ギルドカードだ。これに少し血を垂らせば完了だよ。冒険者の説明はいるかい?」

「いや大丈夫だ。基本的なことは俺が説明してる」


 冒険者になれることがそんなに嬉しいのか、ランはおばちゃんが話している間にもすでにカードに血を垂らしている。あ、ちょっと切りすぎて涙目になってる。


「その割にはその子さっき抜こうとしてたね?」

「ッ!?ごめんなさい…」

「冒険者同士の暴力沙汰が禁止なのを聞いてなかったのかい?」

「…聞いてた、でも…バカにされて…」

「そんくらいで得物に手を掛けるんじゃないよ。ここにいる男共みたいに冒険者には柄の悪い連中が多いんだから気にしないくらいになんな。強くなるんだろ?」

「っ!うん!」


 柄の悪い連中、のあたりでギルド内の冒険者達が苦笑いしてたが、最後にニッとかっこよく微笑みながら励ましてくれたことでランにも笑顔が戻ってよかった。


「俺もちょっと説明が足りなかったよ。すまなかった。それで、さっきのバッカスって冒険者が絡んで来た理由はなんだったんだ?けしかけたのはあんたなんだろ」

「ああ、そうだよ。単純な理由だよ。若い子が憧れとかで冒険者になって分不相応なことをしてあっさり死んでしまうことが多いからね。考え直すようにああいったことしてんのさ。ほら、あいつ見た目厳ついだろ?大抵の子は帰んのさ」


 確かにな、普通の子供ならあの見た目で威圧されたら逃げ帰るだろうな。筋肉もすげえし。だが…


「それだけじゃないだろ?バッカスってやつがあれだけ必死に王都に帰そうとした理由には少し弱いぞ」

「はぁ~仕方ないね。あいつに演技力を求めたあたしがバカだったんだろうね」


 おいおいそりゃあねえよ、とか後ろから聞こえるが今は無視だ。なんのことか分からないって不思議そうな顔をしているランは常識のお勉強に空気を読むことを追加する必要がありそうだ。



ツイッターを始めてみようかと思いました。

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SNSって普段使わないので、頻度は少ないと思いますがよければ除いてみてください。

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