異世界の子どもたち(3)
土日が無い。仕事が・・・辛い。あ、更新ならべく頑張ります。
シーラさんがグリントスを配って子どもたち全員に行き渡る。
「ヒロトさんもどうぞ。」
俺にも一つ手渡してくれる。子どもたちを見る限り川は剥かなくても行けるみたいだ。
やや躊躇しながらもグリントスにかぶりついてみる。グリントスは見た目は桃みたいだけど味はレモンのように酸っぱい。
「ブフォ!」
思わずせき込む・・・あ、でもだんだん甘くなってきた。
「だっせーなヒロト!グリントスでむせるのは子供だけだブフッ!」
俺を煽っていたロキくんもむせていた。
「ださいぞー!ロキっちー!リサなんてブヘッ!」
ついでにリサちゃんも。
「・・・静かに食べようよ。」
呆れた顔でクララちゃんが言う。兄妹はというと4つ目のグリントスに手を出そうとしている。
それをニコニコしながらシーラさんが眺めていた。
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しばらくするとカゴに山のようにあったはずのグリントスは消えていた。ほとんどは兄妹が食べたようでお腹が見事にポッコリと膨れ上がっていた。動けないくらい食べたらしく今は横になっており、その隣の机ではクララちゃんとシーラさんが絵本を読んでいる。
「そういえばさぁ!ヒロトはお客さんだったよね?ここには、何の用事で来たの?」
長椅子に腰かけていた俺の横にリサちゃんが寄ってきて尋ねる。このくらいの子ども、特に女の子って警戒心が強い気がするんだけど・・・性格か、それとも好奇心が勝ったのか。もしかしたら見た目通りの年齢じゃないのかもしれない。見た目がまるっきりファンタジーな感じだし。
「俺はニッポンというところに住んでいたはずなんだけど、気づいたらここにいたんだよ・・・それで帰り道が分からないんだよねぇ・・・」
なんのこっちゃの説明だろうがそうとしか言えない。
「うーん、不思議でむずかしいお話だねぇ・・・」
腕を組んで考え込むようなポーズをとるリサちゃん。そうだよ不思議なんだよ。そもそも、どうして異世界に来てしまったのか、どうやって帰ればいいのか分からないんだよ。・・・起きてから驚きと疑問だらけで深く考えてなかったけれど俺はどうすればよいのだろうか。住む家も食べ物も金も何もない。スマホもろくに機能していないし、持ち物といったら古着と壊れたル〇バだけ、碌なものがない。この世界に関する知識もないし、情報収集するに文字が読めない。
もしかしてこれはドッキリなのでは。そう思ったが彼女たちの耳や尻尾は意思を持って動いているように見える。グリントスも見たことのない植物だったし、セットにしては窓から見えた町は大きすぎる。
考えれば考えるほど不安要素しか見当たらない・・・
「だいじょーぶ!ママの機嫌以外は時間が解決してくれるってパパが言ってたよ!」
不安が顔に出ていたのか根拠のない自信を持ったドヤ顔でリサちゃんが励ましてくれる。
バカっぽい明るさがありがたい。
「うーん・・・でも、お金もお家も今の俺には、ないんだよ・・・」
時間があっても先立つものがないんだよ。衣食住の衣しかないんだよ。
「うーん、ママの機嫌はプレゼントで直るんだけどねー。それはわかんないなー?」
この幼女投げっぱなしである。まあ・・・子どもに相談することじゃないな。
「あのー・・・」
不意にシーラさんが話しかけてくる。
「それなら、私と一緒にここで生活しませんか?」
・・・愛の告白だった。