表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界保育園ティルナフォム  作者: 寛天茶屋
1/7

異世界落下(1)

 2月も終わりのことである。

 俺は就職が決まって家を出ることになった。

 職場は家から離れた保育園。

 給料は安いけど資格があれば取り合えず仕事には困らなそうだし、

子どもが好きだったのもあって保育の道に進むことにしたのだ。

 先に行っておくが断じてロリコンでは無い。


 今日は一人暮らしを始めるために必要なものを荷造りして、

 ついでに俺の部屋だったところは妹の部屋になるらしく、

したがって部屋の片付けもしなければいかんのだが・・・

 それにしても開始してから四時間は立ったというのに

「ぜんっぜん片付かねぇー・・・」

 量は多いし、埃っぽいしやってられないわ。

 普段、掃除をさぼってた俺も悪いんだけどさ。

 どうして人間って生き物は片付けが苦手な生き物なんだろうね。

 ル〇バはすごいよね。掃除しっかりしてくれるし。この前壊れちゃったけど。

 部屋の隅に置かれた亡骸にちらっと目線をやる。

 まあ、ル〇バは俺みたいにいちいちアルバムとか見つけても反応しないからね。

 あー、星野元気かなぁ。高校でも中二全開だったなぁ。とか思わんからね。


 ・・・ ・・・ ・・・!

 いかんいかん、こんなんだから進まないんだよ。

 アルバムを見るのも、ほどほどに片付けも進める。

 着なくなった服をビニール袋に入れたりガラクタをかき分けながら片付けを進めていく。

「んー?これなんだったっけ?」

 押入れの奥に大事そうに置かれた箱を発見する。

 宝箱のような外観の箱だ。なんとなく見覚えはある。

 引っ張り出してみると錠とランドセルのように背負う部分がついているのが分かった。

 背負う部分は後付けされたようで錠は無駄に大きい6桁のダイヤル錠だ。

「あー、思い出したわ。これ子どもの時の宝物ボックスだわ。」

 子どもの頃、自分の宝物をこの箱に入れて毎日のように持ち歩いていたんだった。

 俺があんまり気に入ってたんで背負う部分を親父がつけてくれたんだっけ。

 錠も使わなくなったのをくれたんだったかな。細かくは覚えてないや。

「それにしても6桁・・・全然覚えてないわ。」

 適当に入れるにしても10の6乗かな?何桁だ?

「取り合えず適当に123456と・・・」

 カチリカチリとダイヤルを回す。

「まあ、開かねえか。そりゃね。」

 当てれたら、えーと1/1000000だ。宝くじ買うわ。

「まあ、これは車庫にでも入れとくか。」

 古着が詰まった袋とル〇バの亡骸、そして宝箱を抱えて部屋を出て、階段を降りる。

 階段を一歩踏み出した、その時である。本来であればあるはずの足の裏の感覚がない。

「はっ?」

 そのまま重力に任せるように身体は倒れていく。

「あっ?あっ!あぁぁぁああああぁぁぁぁ!??」

 手を伸ばす暇もなく絶叫は飲み込まれながら落ちていったのであった・・・



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「ってぇ・・・」

 身体に鈍い痛みが走り目が覚める。どうやら階段から落ちて強く打ったようだ。

 抱えていた古着か何かがクッションになったのだろうか?骨折はしていないみたいだが。


 顔を上げて、周りを見渡す。

 俺はどこかのベッドに寝かされていたみたいだ。少なくとも自宅では、ない。

 部屋は全体的に白く清潔な印象を受ける。

 ベッドの他には木の椅子と小さな机くらいしか見当たらない。

 時計も見当たらないが窓からは青空がちらりと見える。おそらく昼頃なのだろう。

 体を引きずるように窓のそばまで行き縁を掴んで立ち上がる。 

「ひょへっ?」

 思わず変な声が出る。

 俺の目の前には見慣れぬ石造りの街と空に煌煌と輝くふたつの太陽が映るのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ