捕らわれ詐欺師とお嬢様
とはいえ、転校初日だしな。あまり動きすぎるのもやばい。時間はないがしばらくは派手な行動はやめよう。
今は花城に敵視されないように心掛けて、青沢の情報やクラスの情報を集める。
そして、最後の授業が終わるチャイムが鳴る。チャイムが鳴ると青沢は一目散に教室から出ていき、帰っていった。
基本、授業後はクラブ活動をやる生徒、教室に残り生徒同士で話をしたりと、普通の学校と大差ない。
俺は教室に残ってかたまって話をしている男女の生徒にさりげなく話しかけ、クラスの情報や、青沢の情報を集める。もちろん無理はしない。新参者の俺は相手のくだらない話に話をあわせたり、つまらない話を笑顔で聞く。時折、クラスのボスであるだろう花城の話をだし誉める。やはり花城の話が出ると、皆、声色を変え、テンションがあがり花城を誉める。やはり花城は現在クラスを仕切っている様子。クラスの大半が花城を尊敬し、崇拝している。彼女のルックス、性格、器の大きさ、まさに完璧な女性だと。
そんな花城の話をしてると自然と青沢の話にもなる。
「以前は青沢が調子こいてたから最悪だったよね」
一人の女性生徒が青沢の話だすと
「だね。話す時も上から目線で、すぐに人を見下すし」
「俺なんて、話しかけても無視されたぜ」
「この学校は権力主義だから、下手に逆らえないし、逆らうと親の会社に迷惑かけたりすることになるからな」
「マジで、あいつの会社がおちてくれて、よかったよね」
これでもかと青沢に対する不満を爆発させた。
「花城さんはどうしてたんですか?」
俺は何気なく聞いてみた。
「……花城さんの会社があいつの会社に仕事関係で取引を持ちかけてたみたいで、立場はあいつが上だったのよ」
「てか、他の生徒も親が青沢財閥とは仕事上取引があったから、あいつの機嫌を損ねるなっていわれてたし」
「そうだったんですね」
俺は深く頷いた。
「だから、やりたい放題だったわけ」
「まぁ、不正発覚で会社はおちて、今は皆からシカトやいじめられているけどね」
嬉しそうに話す生徒達。
まぁ、そんなところだよな。漫画でありがちの嫌な金持ち。
「宮場君もあいつとは仲良くしない方がいいよ」
「……ですね。僕も今の話を聞いてたら、ムカついてきましたよ」
「てか、せっかく宮場君は隣の席だし、どんどん嫌がらせしてきなよ。みんなやってるから」
「はい。実は今日やっちゃいました」
俺はやってやった感をだして答えた。
皆、やるーとかいいねーとか言って楽しそうにしている。いつの間にか俺は仲間としてみられ、その場に馴染む。そして、いい時間になり解散した。
俺は職員室により、朝に寮の場所を案内すると言っていたので、ほみか先生を訪ねて案内してもらった。
「宮場ー!転校初日はどうよ」
ほみか先生は俺の胸を肘で優しくつつき、笑顔で話しかけてくる。
「まだなんとも言えませんけど、皆さん優しいですし、楽しくやっていけそうですよ」
ほみか先生は俺をジッと観察して
「いいねーー」
「まぁ、心配しないで下さい」
「心配するのが担任なんだよ」
ほみか先生はニシシと笑う
「心配するのが担任ですか……」
俺は違和感があるけどね。そんな事を考えてるのがわかったのかほみか先生は唐突に
「でも教師の力なんて無力だよなーなんとかしたくてもできない事ばかりだ。」
「…………」
「心配とか言葉では言えるけど、なにもできやしない」
「どうしました?」
「別に……なんでもねーさ」
ほみか先生の表情は暗く、どこかやりきれない表情だった。
まぁ、大人の中にもルールがある。縛りの中で生きている。どうにかしようと動いても結果最悪な方向に向かうこともある。青沢の件に関して言えば教師が味方をすればさらに悪化する。何故なら青沢に問題があり今の状況がある。なのに都合が悪くなれば教師に頼んでなんとかしてもらうなんて、他の生徒からしたら納得なんてできないし、さらにヒートアップするだろう。それをわかっているからほみか先生はなにもできない。他にも事情があるかもだけど。この学校は他の普通の学校とは違うしな。
「先生は今のままで大丈夫ですよ」
俺は口角をあげて優しく言った。
「……生意気だな。この野郎」
俺の頭をクシャクシャにして、笑った
そうこうしてる間に寮につき、説明をうけて先生と別れた。俺が過ごす寮には大きな一人部屋が各自あり、ご飯などは食堂にプロの料理人が数名いて自由に頼む事ができる。お金は入学の際に卒業するまでにかかる費用を一括で支払っているみたいだ。マジでやばい額を……怖い。
だから基本はお金は必要ない。まぁ、お金をだして商品を売る店も学園内にある。てか、俺の学費とかはどこから……よし、考えないようにしよう。うん。後で請求とか絶対にないもん。……頼むぞ。
後はカラオケ、ビリヤード、マッサージ等の娯楽設備があったりノンアルコールや、ジュースがでるバーがあったり、風呂なんて各部屋に露天風呂がある。正直バカげてる。でも……幸せ
俺はご飯を食べ、自分の部屋に行き、風呂に入り考える。
「やはり、クラスの大半が青沢を嫌ってるなー。……はぁ」
わかってはいてもため息はでる。多少は青沢を支持する人間がいてくれたらと思たったけどな。……泣けてくる
「まぁ、初日だしな。てか、初日で青沢が嫌われてる状況を把握できるのもどうよ」
たく。愚痴っても仕方ない。やるしかないな!
とりあえず、今言えることは……風呂最高です。
「早く寝て、明日に備えますか」
俺は風呂からあがり疲れていたので早々にベットに入りに眠ることにした。
「あぁー仕事は嫌だなー」
そんな事を口にし爆睡したのだった。




