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捕らわれ詐欺師とお嬢様  作者: モトキ
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捕らわれ詐欺師とお嬢様

 青沢が立ち去り、俺は怒り100%の花城と教室にいる訳なんだが彼女に話かけるのがいささか憂鬱だ。

 「マジでムカつく!!バカにしやがって!!絶対許さない!ふざけんな!くそ!」

 この調子だ。今誰かに見られたら終わるぞ!まったく。

 「花城!!落ち着け。誰かきたらやばいぞ」

 「うるさい!!」

 「花城!今のお前を見たらクラスメイトはなんて思う?」

 「くぅ……わ、わかってる。あんたに言われなくても」

 花城は深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。


 「……落ち着いたか?」

 「……えぇ。やられた。あいつのペースに乗せられた」

 落ち着いた様子で答えるも顔はひきつっている花城。

 「たしかにな。花城らしくなかったな」

 「青沢が相手だと冷静さより怒りが勝つのよ。反省しないといけない」

 「まぁ、青沢が相手じゃしかたない」

 あいつの相手をするのは楽じゃないからなー。俺と花城では意味合いは全然違うが大変なのは一緒だ。

 「まったくね。でも今度の勝負で終わらせる。二度と逆らえないようにしてやる」

 「………そうか」

 二度と逆らえないようにか。満足感は得るのだろう。ただその先に待ってるのは虚しさだと思うがね。本当の意味で対等な奴がいて初めて得るものもあると思う。まぁ、今の花城に言っても届かないけどな。

 「あんたにも言っとく」

 「なんだ?」

 「青沢が私の裏の顔を知ったからといってあんたがあいつの味方になるのは許さないからな」

 「やっぱり無理か?」

 「あたりまえだろ!!あいつはお前を信頼してる。元々はあいつからお前を引き離すのが目的だ。てか、効果は抜群だったしね。あんたは私につくのよ!」

 「……負けた時は嘘偽りなく生徒会長になる手伝いはするをだろうな?」

 「負けたらな!」

 即答か。負ける可能性はないと。

 「わかった。ただ負けた時はしっかりこちら側にきてもらう。もちろん俺も自由にさせてもらう。俺達の関係に上下関係はない。青沢を生徒会長にする。それだけの為に俺達は動く」

 「夢は寝てみるものだぞ」

 花城は見下したように言う鼻で笑う。

 「だから…負けたときに」

 俺は青沢を生徒会長にする。しなければいけないんだ。その為ならなんだってする。たとえ誰が犠牲になっても。だから……。


 

 「裏切りだけは絶対に許さない。もし裏切るなら俺の全てを引き換えにお前を道連れにする」

 

 俺は低い声で花城を睨み付ける。花城にもリスクを背負ってもらう。

 

 「わ……わかってる。約束する」

 いつもと違う俺に花城は小さく頷く。

 「ならいい。もちろん青沢が負けたら俺も黙って退学する。安心しろ」

 退学し牢獄に戻るだけの話だかな。

 「なぁ、一ついいか?」

 「なんだ?」

 「なんでそこまでお前は青沢を生徒会長にしたいんだ?たしかに生徒会長になれば青沢の会社は救われる。それだけのメリットが天命学園の生徒会長にはあるがお前にさしてメリットがあるようには感じない」

 たしかに花城のいうことは正しい。疑問に持つのもわかる。

 「まぁ、俺にもメリットがあるんだよ」

 「…………」

 花城は黙り考える。だけど繋がらない。当たり前だ。

 「考えるだけ無駄だぞ。花城」

 「……まぁいい。」

 納得はしていないが、結論がでないとわかると花城は頭を切り替える。

 「それより勝負の内容はどうする?」

 もちろん青沢に有利な条件はないだろうがな。

 「天命祭はクラスの出し物に関しては規定はない。つまり場所さえ確保できればクラス内からいくつもの出し物ができる」

 なるほどな。普通の学校とかだと各クラスに一つ出し物って感じだ。

 「シンプルにお互いに飲食店を出して純粋に売上が多い方の勝ち」

 「たしかにシンプルな勝負だな!」

 「まぁ、ミスコンなんかでもよかったがな。私が気が進まない」

 救われた。ミスコンなんかで競ったら負ける。青沢もたしかにいい線はいっていると思う。むしろ上位を狙えるだろ。……顔だけなら。ただ花城はそれ以上だ。それだけ彼女は完璧な存在だ。……裏の顔を知らなければ。人間はなにかしらあるなー!!

 「まぁ、条件はつける。簡単なもんだよ」

 ニヤリと微笑む花城。これだけ見ると天使なんだけどな。

 「条件?」

 「店を出す場所はどこになるかわからないが、必ず隣でやってもらう。後、クラス内の人間と協力してやってもらう。そして……」

 

 「同じ内容で店を出してもらう」

 花城の顔はもはや悪魔にしか見えない俺だ。


 「……簡単ね」

 同じ内容で隣の店なんて、まずどちらかの店は客がつかない。またクラス内の人間のみの営業も青沢にとって最悪だ。下手したら真木しか青沢に協力しないかもしれない。ましてや飲食店だ。稼働率や回転率をみても人がすくなければそれだけ回らない。

 「負けた時のあいつを見るのが楽しみだわ。青沢は必ず潰す。」

 花城はさっきとはうってかわり上機嫌で話す。

 「………まだミスコンの方がよかったかもな」

 俺は小さく呟き、現実は甘くないことを痛感する。


 下校時間が過ぎたので花城とは別れ、俺はいつものカフェにきていた。何故きたかと言うと携帯で連絡をとり真木と待ち合わせをしていた。俺はコーヒーを楽しみながら真木を待っていると思った以上に真木ははやく現れた。

 「宮場君!!あれはいったい……」

 現れた真木は俺を見るや開口一番に今日の俺の行動について問いただす。まぁ、とりあえずは座れ。

 「真木。コーヒーでいいか?」

 「はぁ?あ!」

 少し周りが見ているのを気づいてくれた真木はゴホンと咳払いをして着席する。少し顔が赤い。

 俺は店員にコーヒーを頼みコーヒーがくると真木に花城との事を冷静に話す。そして勝負の事も。

 「そんな感じだ。ただ青沢には話すな。一応花城との約束は継続中だからな。俺の情報は伝えるな」

 「……やっぱり。それに花城さんが……はっきり言って想像できないわ」

 「だろうな。でも真実だ」

 「私に話しても大丈夫なの?」

 真木は不思議そうに確認する。

 「真木は含まれてない」

 花城が味方になる事を考えれば、いずれ花城に関してはバレる。てか本当に関係を築くなら知らなければいけない。

 「そう。それよりも今は勝負の件ね」

 「あぁ。正直言って勝率はないに等しいな」

 考えれば考えるだけ負けるイメージが沸いてくる。

 「えぇ。条件が厳しいわ」

 真木も当たり前だが同じ考えた。表情が厳しい。

 「たしかにな。でもやるしかない」

 「うん」

 「今の話を聞いて今日来てもらったのは何故かわかるか?」

 真木は頭がいい。成績をみても上位だ。回転もわるくない。

 「……言うだけは言うわ」

 やはり真木は理解がはやいな。

 「私にいいイメージを持ってる人には頼んでみる」

 「正解だ。一人でも多くよろしく頼む」

 「うまくいっても圧倒的に花城の陣営は揺るがないわよ」

 「わかってる。でもいないよりマシだ。」

 「それに……」

 真木は俺を見る。言いたいことはなんとなくわかる。

 「俺は力を貸せる立場じゃない」

 「あなたがいるいないでは私もそうだけど青沢さんにとっては精神的にダメージが大きいわよ」

 真木の一言に喜んでいいのか悲しむことなのか。

 「今まであなたに青沢さんは救われてきた。今もね」

 真木は昔を思い出しながら複雑な表情で話す。

 「変わるきっかけを作ってくれたのはあなた。正直に言うと会社が駄目になってみんなからいじめをうけてきた青沢さんが今みたいに笑ってる姿を私は想像できなかったわ」

 真木はたぶん後悔してるのかもしれない。あの時の真木は青沢に対し傍観するだけだった。何故自分は動かなかったのかと。だだ、あの時の真木に動けと言うのは酷だろう。人を信じる事を諦めていた。彼女にも心の闇があったのだ。

 「あなたがいるから青沢さんの今があると思う。彼女にとって一番の支えがあなた。私なんかよりもね」

 真木が寂しく見えるのは真木が青沢を大切にしている証拠だ。いい奴だな。ただな……。

 「支えか……。言葉はいいが甘えにも俺はとれるよ」

 俺の言葉に真木は驚いたのか黙って見る。

 「今はいいかもしれない。ただ、この先の人生でいつも俺が一緒にいるのか?」

 「…………」

 「もしいなくなったら……支えがなくなったあいつはどうする?」

 冷たいかもしれない。いや冷たいのだろうな。

 「また戻るのか?なにもない自分に。それでは駄目なんだ」

 あいつは俺とは違う。青沢にはある。幸せになる権利が。

 「青沢自身が見つけないといけないんだよ。あいつが行動し迷い苦しみながら見つけていくんだ。自分にとっていくつもの支えを。それはあいつ自身でしか見つけられない」

 詐欺師の俺にとっては無縁の事なんだけどな。でも青沢には見つけてほしいと願う自分に驚きだ。

 「だから今回はいい機会だよ。お前達で花城を倒してくれ」

 「……やっぱり優しい人ね」

 真木は優しい声色でゆっくりと呟く。

 「わかったわ。もちろん負けるつもりはないわ。どんなに勝ちが薄くても勝ちにいく。そして青沢さんを生徒会長にする」

 青沢にとって真木は立派な支えだ。あいつが自分自身で見つけた支えだ。

 「頼んだ。お前らならできる」

 もちろん負けるつもりはない。必ず見つけてやる。この立場なろうと花城に勝つ道を。負けたら意味なんてないんだ。勝つからこそ道は開けるのだから!

 

 

 


 



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