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異世界魔王の日常に技術革新を起こしてもよいだろうか  作者: おかゆまさき
第2章 【異世界承認編】 続いて異世界“魔族”の日常に技術革新をおこしてもよいだろうか
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55話 十二斂魔王として、二人の魔王にスジを通してもらってもよいだろうか




「俺はまだ、お前たちを許せていないんだ……。

 うん、

 俺は確かに、

 怒っているようだ……。

 勘違いしてた。

 これは怖いじゃない」



俺は再び不可視、【魔素樹形図】を寄り集めた刀を右手に顕す。



「怒りなのか」



「フォースタス、それって……!」


「【魔素(プロトマ)】のつるぎぞ……っ!?」



あ、双子には今はこれ、もう見えるんだったな。

ということは、これから起こることも、わかるってことか?



うん、クラーラとリーゼルは、連れて来てよかったかもな。



俺は【重力強大化(グラーヴォル)】を発動。



「なッ!? フォースタス、貴様……こ、これはっ!」


「ひぃ、ぐぅう……っ! な、なんですのぉぉおお!?」



メイ・ファーがあの時、俺を上空から押さえつけたのとは、違う。


重力強大化(グラーヴォル)】が作り出す宮殿状の【スキル構成樹】を小型化し、細かく、

メイ・ファーとハリビュールに使うことで、



二人は強制的に床にひざまずく。



「メイ・ファー、ハリビュール……。お前たち二人は、なにか勘違いしてないか……?」



「あ……ぁあ……っ」


「んっ、ん……ぅ、ぅぅっ」



二人の元魔王は、動けもせず、

俺に向かってとっさに行使しようとする【スキル構成樹(ストラクチャ)】を次々と

切断されながら、

こちらを見上げることすらできない。



「お前らの俺に対する要求は、ただのエゴだよな?」



そして俺は、ここできっちり、線引しなければならなかった。



二人の魔王の頭を、俺は見下ろす。



「決勝戦は、あれで済ましたが……」



済ました、のか……? まあ、過ぎたことはしかたない。

優先順位はある。



「俺はまだおまえたち二人から、あの双子に」



「っひ、な、なに? なんなのフォースタス!(びくっと肩を震わせるクラーラ)」

「こっちに振るなぞ!(そのクラーラの背後に身を隠すリーゼル)」



「クラーラとリーゼルに、その姿勢から発せられるべき言葉を聞いていない気がするんだが?」



「……す、」



互いの鼓動が5拍ほどめぐったあと、先に口火を切ったのは今や一介の騎士魔族、



「すまなかった、フォースタス……さ、ま」



メイ・ファーだった。



「あなた様が統率するフィスト家……、そこに属する『暁月の双子』に対する非礼も、謝罪する……。

 あなた様の実力も、大切にするものも見抜けなかった我が、浅はかだった。許して、欲しい……」



「わ、わたくしもですわっ! フォースタス様! 数々の暴言、申し訳ございませんでした……!

 このような謝罪だけで許されようとは思いません。因果神罰は、甘んじてこの身にお受けいたしますの」



沈黙。



「……ふたりとも、本心か……?」



「も、もちろんだ! 完全なる忠誠を誓う!」


「嘘はつきませんのっ! 天地神明にかけてですわっ!」



「………………」



「く……っ」


「ぅぅ……っ」



俺は姿勢を元に戻す。



「いいだろう。メイ・ファーは、あとでクラーラとリーゼルにも直接、きちんと謝っておくこと。

 ハリビュートは今後、公式の場ではあまり肌を露出した格好でうろつかないこと。

 守れるな?」



「御意に……」



「わかり、ましたわ……っ。フォースタス様の前だけにいたしますのっ!」



俺は、不可視の【魔素樹形図】刀の腹を、膝をつくハリビュールの肩に、ひたりと置き、



「メイ・ファー。おまえを俺の筆頭騎士に任じる。己の名誉と俺が守る民のために力を振るうことをその剣に誓え。 弱き者を助け、強き者におまえの力を刻み込め。万理一空、常に魔族のために精励刻苦せよ」


「……はっ!」



騎士叙勲って、確かこんなんでよかったはず。


それから俺は、刀を解除してエロ魔王に視線を向ける。



「ハリビュール・ビート。おまえを『十二斂魔王』並びに、この『特都』の専任神官とする。

 我欲ではなく、迷えるもののために祈れ。民が抱く言葉にならない領域を司るのがおまえだ」


「心得ますわっ!」

 


「立て、ふたりとも」



う、うーん、メイ・ファーもハリビュールも、なにかと俺より背が高いのが、締まらない……!


というか、年齢的にも体格的にも、ここにいる4魔王の方が、俺より断然いいのだが!!



「我が主君、フォースタス。我が選択は間違っていなかったことを、改めて確信した。

 この剣に掛けて、あなたの名誉をお護りする」

 


「わたくしが祈りを捧げる神も、フォースタス様の王権をお認めいたしますわぁ……。

 これからよろしくお願いしますの、フォースタス・フィスト様」



「ああ、よろしく頼む」



《# お、お見事です富士雄っ! あの二人がこんな……こんな従順にっ!

   こ……こんな屈服のさせ方があったなんて……すいませんっ

   やっぱり富士雄は最高です……浅はかな私をお許し下さい!》



なにを言い始めているのかなモッチー!?


俺は当然の区切りをつけたまでだし、

これに気づかせてくれたのは、どちらにしろモッチーの言葉で、それがモッチーの役割なんだから、

さっそく自分の有能秘書っぷりを誇るべし!



《# ふぅうああ……っ! 富士雄……、さっきからかっこいい……すぎます……》



「よしっ、じゃあリオンペィガ」


「……はっ、ははっ!」



待たせてしまった代表団の中から、日焼けしたターバン魔族が進み出る。



「城下町と要塞の視察にはフィスト家の双子が同行する。代表団がこの城の根本理念を理解してくれれば、

 これほど心強いことはない。よろしく頼む」



「御意に……!」



さて、俺はここから自由時間……ッ!! モッチー! キミは秘書なんだから一緒に、来るんだよね?



《# ふ、富士雄が獣の目です!》



「ユア ハイネス」


「な、なに? 俺? 俺を呼んだの? どうしたメイ・ファー」


 

泰然自若。

すっかり元の調子を取り戻したように……いや、なんか、さっきより堂々としてないか……?

白騎士魔王が俺に歩み寄ってくる。



「さっそくだが、我もこの巨城……『新十二斂魔王宮』、ならびに『特都』の防衛体制を確認しておきたい。

 新王が誕生し、域内警備の流れが整っていない今が一番危険だ」


「そういうものなのか……?」


「一理あると思うよ、フォースタス。勇者関連の諸々が忙しすぎるキミの代理として、

 参謀であるボクも一緒に代表団に同行させてもらおう」


「あら、なんですの? アランドラまで? でしたら民の性状を把握するためにも、

 神官長たるわたくし、ハリビュール・ビートも視察には同道させていただきますわぁ」


「ぼくも……ぼくも……」



そしてハリビュール、ユユグロまでもが参加表明。

たのもしい。



「そうか、じゃあみんなで行ってらっしゃい。頼むよクラーラ、リーゼル」 



「ぇ……」



おや? クラーラとリーゼルの様子が、なんだかおかしい。

進化かな?



「ま、まって……、ねぇ、まって、フォースタス」



「ん?」



「ちょ、ちょっと、フォースタスっ!? え、えっ!? こ、この4魔王が視察に同行……?」、



「そうだよ」



「フォースタス……あなたは来ないの?」



「いかないよ? だって俺、おもちゃ作るし。いやあ、助かったよリーゼル」



4人の魔王が、ゆっくりとリーゼルを見た。



☆上手にアテンドできるかな!?☆



勇者救出まで、あと 1時間 21分 40秒

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