54話 続いてカフォン家の魔王を我が護衛にしてもよいだろうか
「フォースタス、お前が望むなら、このメイ・ファー、おまえにつかえてやってもよい」
「いや、そういうの、いいやー」
《# なんでですかぁああああぁぁああああんんんっ! はぁぁぁぁぁあああああんんっ!!
ふじおー! ふじおー!》
誰よりも先にモッチーの突っ込みが来た!
《# なんでいともたやすくメイ・ファーさんの申し出をサラッと拒否ってるんですか!?》
なんとなくカチンと来たからかな?
《# そこはツンデレ的なものとして処理してください富士雄!
見てください、メイ・ファーさん、停止していますよ!?》
「……、も、もちろん、筆頭騎士として、おまえのもとでの序列は一位にしてもらおう。
フォースタス、貴様以外の命令など、我は聞きたくはないからな……」
「いや、だから序列もなにも、そういうのいいから」
「あ……そ、それと、筆頭騎士ともなれば、我は貴様の護衛も務めることとなる。
部屋は、隣接させて……もら、わ……ないと……」
「メイ・ファー……、どうした? 泣いてるの?」
「フォースタス、先ほどから我と貴様の会話が噛み合っていないようなのだが……?」
「あ、いや、ごめんっ!? わっ、わっ、これマズイやつだよね!
あまりにも高貴な教育&何不自由ないお嬢様育ちによってスポイルされまくっている、
メイ・ファーの理性が、自分が傷ついたという感性を認識してない!!
涙がホロホロ頬を伝ってるの気づいてない……!? うわああ」
「は? 何を、言っているのだ……? 我はこれまで、涙など一粒足りとも流したことなどない」
ま だ 言 っ て る !
「あらぁ、また抜け駆けでございますのぉ? メイ様ぁ……」
ドエロイ邪神によってエロ目的で造形されたとしか思えないボディを隠そうともせず、
本日もホールの出入り口からモデルウォークで登場は、
メイ・ファーの幼なじみだという、ビート家の神官魔王ハリビュールだ!
「ハリビュール、まさか、おまえも魔王を!?」
「あのように無様に負けて続けられるほど神経太くないんですの、フォースタス様」
■ ■ ■ ■
名前: ハリビュール・ビート
俗称: 邪神官ハリビュール
淫獣ハリビュール
種族: 魔族
クラス: 邪神官 new!
【魔族十二家支配】:非適用 new!
スキル:【破砕蝿雲】【棍技:モーニングスター】
【超速移動】【邪神医術】【童貞狩り】
デミスキル:【床上手】【四十八手】【裏四十八手】
〔戦〕 19000
〔謀〕 24000
〔非〕 43
■ ■ ■ ■
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現在のハリビュール・ビートの思惑
(ハリビュールの
ドット表情) <
とにかく絶対にフォースタスの童◯はこのハリビュールが一番でいただきますわぁ……っ!
ああもうどうしてこんなに可愛らしいんですのフォースタスっ! 彼の逞しくも瑞々しい◯◯◯を
早く私の◯◯◯に◯れたこの◯◯に導いて、激しく鳴かして、夜が明けるまで応援してあげますのっ!
もう想像もつかない快楽に導いてさしあげますわぁ……。
でもどうしましょう、ありえますわ。この私が一晩中鳴いてしまうことも……
だってお相手は、あの十二斂魔王フォースタスですものっ!
彼ったら懇願する私を絶対に許さず、服従を誓ってもその◯◯の動きを止めてくださらず――
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状態:淫ら
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あのエロい格好の澄まし顔淫獣神官の思惑、
すごいことになっていますね。
《# ふ、富士雄っ! 今日は私ですからっ! 明日ならハリビュールさんに譲っても構いませんが、
今日は私ですから……!》
落ち着いてモッチー! 支離滅裂になってる!
恥ずかしがり屋の秘書のほうまでもじもじさせないの!!
あんたも大概だな……!
「待て、どういうつもりだハリビュール」
俺は、俺とモッチーだけに広がってしまった淫靡な空間を払うように詰問する。
メイ・ファーにつづいて、ハリビュールまで魔王の座を明け渡しての訪問。
【思惑看破】を信じないわけじゃないが、警戒に値する……!!
「メイ様と同じく、わたくし、フォースタス様の圧倒的な存在に、骨抜きにされて
しまったんですの」
「ふ、不純なッ! おまえと我を一緒にしないでもらおう! 我はただ、一介の自由騎士となったからには――」
「それよりフォースタス様、専属神官のポジションは空いてまして? フォースタス様?
聞いていますの……?」
「え? なに? いま俺、ユユグロと大事な話してるんだけど」
俺は、物陰からそうっとこっちを覗き込んでいたパープルなビザール魔王、
ユユグロ・カフォンの申し出で忙しい。
「な、なにをしているユユグロ・カフォンッ! フォースタスから離れろ!」
我が主君、『十二斂魔王』に手を出そうというなら、このメイ・ファーが許さぬ!」
「ぼく、ぼく、フォースタスの護衛……」
「な、なんだと!? そのようなことが許されるわけがない! そうだろフォースタス!」
「いや、ユユグロには俺の護衛をしてもらうことになったが?」
「あっさりと!? この私が拒否されたというのにか……!? ……はっ、まさか!」
メイ・ファーは、アランドラとユユグロ、そして俺へと順番に視線を巡らせ、
「フォースタス……っ! 貴様は、そう……いう……同性どうしの――!」
「ちがうよ!? 俺の秘書見てよ! 超かわいいでしょ!? そうじゃなくてだな……!!」
俺は超絶不満げなメイ・ファーと、腕を汲んで胸を突き出すハリビュールへと向き直る。
「言っておくが、俺はアランドラとユユグロには、なぜか友情すら感じている」
思い出すまでもない、つい昨日の十二斂魔王トーナメント。
俺は純粋に、この二人の魔王とは戦っていた。
「だが、メイ・ファー、ハリビュール。お前たち二人は、なんか怖い……!」
「こ、怖いっ!? この我がか!?」
「絶対に、フォースタス様にはお優しくいたしますわっ!」
《# そうです富士雄! お二人は魔王をやめてまで、富士雄に仕えようとしているんですよ!?
それに、【思惑看破】でも、メイ・ファーさんもハリビュールさんも、富士雄を裏切るような
兆候は見当たりません……! ぜひっ……! ぜひぃ……っ!》
モッチー落ち着け! そして、それだぁっ!
《# ど、どれですっ!?》
おかげでわかった。
なんで俺が、【思惑看破】を使ってもまだ、二人を信じることができないか。
「そっか。俺はまだ、メイ・ファー、ハリビュール……。
お前たち二人を許せていないんだ……。
うん、
俺は確かに、
怒っているようだ……。
勘違いしてた。
これは怖いじゃない」
俺は再び不可視、【魔素樹形図】をより集めた刀を右手に顕す。
「怒りなのか」
☆いつもニッコリ仏の富士雄のはずが……!? なにかが起こる!!☆
勇者救出まで、あと 1時間 26分 57秒




