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異世界魔王の日常に技術革新を起こしてもよいだろうか  作者: おかゆまさき
第2章 【異世界承認編】 続いて異世界“魔族”の日常に技術革新をおこしてもよいだろうか
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50話 城下町の人々に俺の野望を語ってもよいだろうか




クラーラが、ホールに通じる扉を勢い良く開ける。



「お待ちしておりました、フォースタス様!」


「フォースタス兄貴! 遅いぜホントによぉっ!」」



イケメン魔将軍フィリップ、そして脳筋将軍バンベルグがそこにいた。


二人とも、双子と同じく【心魂契約しんこんけいやく】によってパワーアップしている。

戦謀非が3割ほどアップしているほか、新スキルも獲得していて、やっぱりすごい生き生きしてる……!


まあ、それはいいのだが、



「な……っ」



そんな二人の背後に、なんかたくさんの魔族の人々がいるんだが……!!



「フィリップ、これは……?」



年齢も性別もバラバラ、様々な装いの魔族たちがざっと30人……40? とにかくいっぱいいる!



「皆が、フォースタス様のお考えを、お言葉を聞きたいと集まっているのです」


「ほ、ほほう……?」


「フォースタスの兄貴は一晩でこんなでけえ城を作っちまっただろ? だからみんなびっくりしちまって、

 兄貴がこれをどうやって、どんなつもりで作ったのか聞きてぇんだとよっ! オレも知りてぇっ!」



「ふむ、なるほど!」



脳筋の話は、わかりやすいのがいいところだな。



「ワタクシはこの者たちを代表する、リオンペィガと申します、フォースタス様。

 そしてここに集まった者達は、城下町にある学園の責任者や、各種ギルドの顔役でございます」



 頭にターバンを巻いた、魔族にしては日焼けした肌の男性が、手を胸に当て前に出てくる。

 あごひげを生やした、怪しい感じのやり手っぽい印象だ。



「よ……よろしく、リオンペィガ」



だが、【思惑看破(マインド・リーク)】からは、見た目と打って変わって誠実。



■■■■■

現在のリオンペイガの思惑


(リオンペィガの

   ドット表情) <こいつぁああおもしれえ。噂通り人族の子供じゃねぇか!

           これは変わるぞ……魔族の歴史、いや、この大陸のあらゆることが!

           フォースタス・フィストとやらは、やっぱりただもんじゃねえ。 

           この波、きっちり乗りこなしてやんなきゃなぁあ……。

■■■■■



俺、こういう人、嫌いじゃない。



というか、俺の友人にあからさまに思考が似てる。

同期で営業の長嶋くん、今頃なにしてるかなぁぁ……ッ!



「『十二斂魔王』であらせられるフォースタス様から、この町の行く末、今後の展望などお聞きしたく、

 無礼は承知でこうして参上つかまつりました」



「よろしくリオンペィガ。みなさんも集まってくれて、ありがとう」



で、俺の経験上、この手のタイプには遠慮しない方がいい。


俺は顔がにやけるのを必死でこらえ、すると途端に、衝動的に喉が痒くなり、



「……クックックック……」


「フォースタス様……?」



思わず喉を鳴らしてしまった俺を、フィリップが、いぶかしげに見てくる。



「いいだろうリオンペィガ! 俺が、直接っ! この城下町のコンセプトを道行き、お教えしよう!! 

 そしてこの『特都』が描き出す魔族の未来、将来をその目で確かめてくれ……ッ!

 では行こう。まずは城下町の新しいゆるキャラ、城下なだけに『ジョーカー君』を――」



「ま、まって! 待ってフォースタスっ!」


「ん? どうしたクラーラ」



転げるように俺とターバン魔族商人リオンペイガの前に割って入る赤髪の少女。



「こ、ここは、私とリーゼルが、行くからっ!」



「は? なに言ってんだ。俺も行くよ? っていうか、俺が行かなくてどうする……!」


「いいからっ! ここは任せて……! フォースタスは、ここにいて!」


「え……? どうしたんだよ、クラーラ」



「ええと……だ、だから、その……っ」



すると、姉のクラーラに頬を寄せるようにリーゼルが背後から寄り添い、



「(なにごとぞ? クラーラ)」

「(なにごともなにも、このままフォースタスを行かせたら、温泉で玉璽様に変なことを言い出してたみたいに、

  町の人達がフォースタスのコト誤解して、ドン引きしちゃうじゃないっ! 

  現にもうわけわかんないこと言い始めちゃってるし……!!)」

「(正論ぞ。ドン引きされたらフォースタスの治世が乱れ、混沌の世界が到来ぞ。ここはなんとしても阻止ぞ)」



「なに二人ナイショ話してるのっ!?」 



「あの、このお二人は……?」



目の前でイザコザを起こされて困惑気味の顔役、レオンペィガが尋ねてくるのだが、



「わ、私はフォースタス様の、第2秘書、クラーラ・フィストと」


「第3秘書のリーゼル・フィストぞ」



「なんと! あのフィスト家の『暁月の双子』が、フォースタス様の秘書を!?」



「そうなの!? いつの間に!? モッチーも知ってた?」

 

「そ、そうよっ! ここは私たちが受け持つわっ。大丈夫、フォースタス様からきちんとこの城の説明、

 受けてるから!」


「あ……なるほど。そういえばクラーラもリーゼルも、俺の話を聞いてたもんな」


「ここは任せて師匠っ! だってなにからなにまでフォースタスがやってたら、パンクしちゃうわっ!

 私たちフィスト家が、十二斂魔王であるあなたをバッチリサポートするから、だからフォースタスは安心して……

 そ、そうよ、この時間でおもちゃ作りをするといいわっ!」


「たのしみぞ……!」


「な、なんと……そんなことまで、お前たちは考えて、くれて……っ!」



「さ、モモチャーノ! フォースタス様をどこか遠くへお連れして? ……ちょっとなに真っ赤になってるの!

 第1秘書が恥ずかしがりでどうするの!? しっかりしてモモチャーノ!」



「クラーラ様、一緒に来てください……フォースタス様と二人っきりは、は、恥ずかしくて……っ」



「モモチャーノあんた私の話を聞いてた!? 私はみんなと街を説明しなきゃならないのーっ!」



《# すいません秘書体がお役になてなくて……っ!》



かわいいから許す……っ!!



《# こうなったら富士雄っ! 今夜はこの秘書体に、私が入りますから厳しめに――き、【強化索敵】に感あり》



!?


またもやシステムボイスに乗っ取られるモッチーボイス。

【情報化視界】に詳細が表示されれば、


「お、これは……」



「やあ、フォースタス。挨拶にきたよ」



それは町の代表たちの、さらに後方。



ホール入口に姿を表したのは、




「な、なんで……、こんなところに、トアロ家の……っ!」


「至近ぞ!」




双子が抱き合うように後ずさる、その視線の先、



「アランドラ……! よかった、復活したのか!!」



片手を頭の上で左右に振る、俺がCブロックの二回戦で戦った魔王、

超絶イケメン、アランドラ・トアの元気な姿が……!



☆アランドラが立った……!☆



勇者救出まで、あと 1時間 40分 11秒

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