39話 ついに十二斂魔王が決定されたのだが最初にちょっと言っておいてもよいだろうか(2)
《# トロフィー獲得リワード 十二斂魔王特性スキル 【魔族十二家支配】が
解放されました》
おおッ!? 【魔族十二家支配】?? って……、つまりそれは、
えっと、俺が十二家の代表の魔王になるんだから……え? 魔族そのものを、支配ってこと!?
《# トロフィー獲得リワード 十二斂魔王特性スキル 【最終迷宮管制】
が解放されました》
ちょ……なんだなんだ!? トロフィー獲得リワード、一個だけじゃないのか!?
ラ、ラストダンジョン……?
てことは、もちろんそこも……ラストダンジョンも、魔族のテーマパークにしていいんだよね……?
魔王の城にたどり着くための、長く長く厳しいラストダンジョンすら、自由に管制していいってことだよね!?
……そうか、やっぱり十二斂魔王はそういう――
《# トロフィー獲得リワード 【情報化視界】制限解除
【情報化視界】派生【デミスキル】【思惑看破】が解放されました》
早い早いっ! ちょ、待……っえ? 今度は、【思惑看破】??
なんかそれって、字面的に、地味にすごい気が――って、いや待て、
まだ他にも新取得スキルが………
……………、
………もう、ないか?
なんか、今の俺、スキル獲得に翻弄されて、乙女みたいにモジモジしてしまい、
玉璽さまとか、俺の周囲でまだまだ俄然盛り上がってるフィスト家の面々に変な目で見られているが――
なんだよ、みんなで俺を見るなよ!
照れるだろ!
よし、だったら俺はみんなを、さっそく【情報化視界】の新たなデミスキル、
【思惑看破】で覗いちゃうからな?
まずは、玉璽さまっ!
■ ■ ■ ■
名前: ?
真命: ?
種族: テディベア
クラス: ?
■
きょとーんとしてる玉璽さまの思惑
(玉璽さまの
ドット表情) <?
■ ■ ■ ■
玉璽さまはだめだ!
最初からヘマした!
しかし、いったいなんなんだ玉璽さまって……!
というか、本当に「?」って思ってるのか? たぶん違うだろうけど!
じゃあ、ちらっと、わかりやすそうなフィリップ!!
■ ■ ■ ■
フィスト家から十二斂魔王が輩出され、
アゲアゲになっているフィリップ・フィストの思惑
(フィリップの
ドット絵表情)<「ああ……ッ! フォースタス様くらいの力が自分にもあれば……!!
これから自分は、フィスト家の将軍としてフォースタス様を補佐し、
フォースタス様の名にも、フィスト家の名にも恥じない武人になることを
ここに誓うッ!!」
■ ■ ■ ■
ま じ め か !!
ついでにバンベルグ!
■ ■ ■ ■
バンベルグ・フィストの思惑
(バンベルグの
ドット絵表情)<「フォースタスの兄貴と一緒にトレーニングしたいぜ!」
■ ■ ■ ■
脳 筋 な !!
ともかくこの【思惑看破】、かなり便利だぞ……?
またモッチーとスキルを整理して、今後に備えなくちゃな!
《# はいっ! 私も今、感無量で……! 優勝……ゆ、優勝……おめでとうございますっ!
私も富士雄に、ずっと……ずっとついていきますからっ!》
モッチー好き好き超愛してるッ!!
泣くな! モッチー泣いちゃダメ! ああ、俺ももらい泣きしそう!
がまんがまんっ!
だって、いっぺんに新スキルが搭載されたり環境が激変したり、
いろいろ整理しなきゃなんことが山積みだが、忘れないうちに、これだけは言っておかなきゃならない!!
「玉璽さま、このスタジアムに集まってる魔族たちに、俺からひと言、いい……?」
「かまいません。どうぞこちらへ」
きぐるみ妖精が導いてくれたのは、観客席からすこしせり出した、演説台のような場所。
その足元に、風属性の中級魔術《風射》を応用した拡声魔術が施してあった。
風属性の樹形図って、ほんっと応用しがいがありそうだよなぁ……。
あー、なるほど、これがマイク代わりか!
よし、《風射:拡声》として覚えておこう。
ともかく、
『あー、あー、テステス……』
俺の声が、スタジアムに響いた。
『このたびは征夷大将軍――もとい、この地から勇者を退ける十二斂魔王に任命された
フォースタス・フィストです。な、なんか……いろいろ応援、ありがとう……!』
微妙などよめきが観客席に満ちる。
『見ての通り、俺は人間、人族だ。魔族じゃない。だがフィスト家の魔王として産まれた。
だから俺はフィスト家を裏切らない」
俺はすっと息を吸って、
『そしてフィスト家が愛する魔族を、俺は絶対に裏切らない』
どよめきの色が変わる。
俺は3秒待ってから、
『勇者は――』
【情報化視界】の中のカウントダウンをチェック。
勇者到着まで あと 46時間35分57秒
『おおよそ二日後、この『特都』に到着する。けど、慌てることは、ないんじゃないかな』
ざわめきが収まり、代わりに、スタジアムの空気が濃密な疑問系の気配で満たされてゆく。
『この戦、フォースタス・フィストと勇者の一騎打ちで、決着をつけるつもりだ。
場所はもちろん、ここ! このコロシアムにて……ッ!!』
スタジアムが、バトル大好き魔族たちの歓声で弾けた。
「勇者をここに呼ぶのですか?」
拡声ステージから降りてきた俺に、玉璽さまが並んでこっちを見る。
「そのつもりですけど?」
「十二斂魔王がそのように言うのでしたら構いませんが、それではいろいろと防備を整えなくてはですね」
「っ……!!」
瞬間、俺の体内を電撃がつらぬく!
もちろんこれは比喩表現で、そもそも雷撃系の魔術ってこの世界にあるのか?
俺のしたためていたプランと、この都市の代表者でもある(あった?)玉璽さまの言葉が融合、
啓示となって俺を打つ!!
と同時に、
俺の意識より早く、【玩具創造】の【スキル構成樹】が木の根のように
全身から四方八方へ広がってしまい……っ!
「それです玉璽さまっ!!」
俺は、今すぐにでも発動してしまいそうになる【玩具創造】を、綱引きのように
体内へ収めながら武者震った。
「すぐに……すぐに準備しなければ……っ」
勇者到着まで あと 46時間32分19秒
※次回より、週に一回更新となります…!
予定では、月曜の夕方、16時に更新予定です
展開ゆっくりになってしまいますが、今後ともよろしくお願い致します…!
とりあえず、明日の夕方更新分をお待ちくださればと…!




