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異世界魔王の日常に技術革新を起こしてもよいだろうか  作者: おかゆまさき
第1章 異世界適応編 とりあえず異世界“魔王”の日常に技術革新を起こしてもよいだろうか
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38話 ついに十二斂魔王が決定されたのだが最初にちょっと言っておいてもよいだろうか





『メイ・ファー並びにハリビュール・ビート、戦意喪失! よって十二斂魔王トーナメント、優勝者は』



「……おお?」



そしてその瞬間、



『フィスト家魔王、フォースタス・フィストォォォォッ!!!』



俺の十二斂魔王が決まった。



「…………え、ええっと……?」



『勝者よ、ここまであがってこれますか』



 観客席上部、貴賓席みたいなところから、クマいキグルミを来た妖精王女が

俺を見つめている。



「おおっ! 玉璽さま……、って」



 ふと俺の耳に、スタジアムの歓声が流れ込んでくる。



「あ、これで……?? 俺……が」


《# やりましたね、富士雄っ!! ついにこれで十二斂魔王です!》



モッチーが俺の【情報化視界】の中でくるくると踊っている。



まわりを見れば、実況のフランベルジュが喉を枯らさんばかりに、この状況をがなりたて、



双子がスタジアムを破壊し、周囲の観客を吹き飛ばしながら、こっちにダッシュ。手を振っている。



それを慌てて追うフィリップとバンベルグ、傍らのヨーハン。

そして家臣団。


「やったわねフォースタスっ! ねえこれ夢じゃないの!? フィスト家から

 十二斂魔王が出たのよ!? ねえ、信じられるっ!? 私は無理っ! 無理よこんなのっ!! 大好き!」

「感無量ぞ!」

「フォースタス様、このフィリップ・フィスト。生涯、あなたについていきます」

「オレぁッ! 信じてた! 信じてたぜフォースタスの兄貴ィッ!!」

「おみごとです、若」

「んぐおおっ! 待て! 待っておまえら! 俺が裂けちゃう!」



『おめでとうございます、フォースタス殿』



フィスト家が作る波に飲み込まれる俺の腕を引っ張って浮上させたのは、

下まで降りて来てくれたキグルミ王女。



「あなたの戦いに、玉璽である私もつい立場を忘れ、魅了されました。

 きっと観客たちも同じ思いでしょう。すばらしい試合でした」

 

「いや……、こちらこそ礼を言わせてもらいたいぐらいなんだが、玉璽さま」


「フォースタス殿がお礼を?」


「ああ」



思い返す。 



なんせ、俺はこの一連のトーナメント戦をめぐって、凄まじい勢いで今後のヒントをもらえたのだ。



まず、フィスト家の双子から魔術を習うことで、俺はこの世界でおもちゃづくりが最高になるという

手応えを感じ、そこでもうわくわくが止まらなくなっていた。



魔術すごい。



そしてアランドラからは魔力の流れ、つまりはこれからのおもちゃづくりの根幹となるであろう

魔素と魔力についての、さらなる発展と機微の兆候を。



ユユグロからは、魔術に並ぶ重要な要素である【スキル】に秘められた可能性を。



スキルすごい。



それからつい今しがたにも、

メイ・ファーとハリビュールからは、童心をメリーゴーランドでよみがえらせるという、

子どもをわくわくさせるおもちゃという枠、それをさらに拡大するヒントまでもらうことができたのだ。



異世界すごい……!!



つまり、俺、この宮殿を囲む城下町、『特都』の『十二斂魔王』になったんだし、いいよね……?


魔族の雰囲気を中心にした、テーマパーク的な改造とか、やっていいんだよねっ!?

暮らしやとたのしさは、絶対共存させるからぁぁ……っ!



というわけで!

俺はここで、この異世界で始まる遙かなるおもちゃ道、その縮図をいっぺんに見せてもらった気がしてる!!




転生して早々に、こんな気付きの場、そして実践トライアルの場まで用意いてくれるているなんて、

本当にお礼を言いたいのは俺のほうだった。



俺こそ、魔大陸の住人たる魔族たちと、そしてここに転生させてくれたモッチーに、

最大限の感謝を送りたかった。



これが俺の、みんなに礼を言わなければならない理由。



しばらくの黙考。無言のヘブン状態。



黙ったままになってしまっていた俺は、はっとなって、



「あっと、いけね。え……ええとつまり、玉璽さま、俺はですね、俺の目的にまた一歩、

 近づくことができて、嬉しいっていうか……」 



「フォースタス殿の目的とは?」



「そりゃ、もちろん……っ――」



 この感謝の気持ち、一言で表すならば、



「俺の目指す、『子供達が一人残らず、とびっきりの笑顔になる世界』のために!!」



「なるほど……」



「とは言っても、まだ会えていない魔王が結構いるみたいで、そいつらも色んなスキルをもってると思うと、

 こう……、不謹慎にもワクワクしちゃうというか……」



 すると、そんなおもちゃを着込んでいると言っても過言ではない、玉璽さまは、



「わたくしはまだ、フォースタス殿を甘くみていたようです。

 これなら安心して、あなたにこの王権を授けることができます」



「……そ、そう、なのか?」



「そしてフォースタス殿。たとえここでいくら他の魔王が異議を唱えても、

 たとえあなたがやっぱり嫌だと言っても、

 すでに結果は出ており、これを覆すことはできません」



「は、はぁ……」



「フォースタス殿。あなたを次代の『十二斂魔王』に任命いたします!」



「うぉおおおぃいい……ッ! だからやめろフィスト家ェ……ッ!」



 玉璽さまの宣言直後、

 俺の全身がフィスト家によって再び千切られんばかりに引っ張られる。


 やばいやばい! おまえら興奮しすぎ!!


 元の世界なら、この有り余るパワーを胴上げに使うんだろうけど、

そういう喜び爆発文化に魔族は慣れ親しんでないのかな?



 とにかく俺を四方八方ひっぱるな!!



 お ち つ け……!!!



『フォースタス・フィストよ!』



 玉璽さまの凛とした声が、スタジアムに響き渡る。




『我が権能と古の盟約の名において、汝、フィスト家魔王、フォースタス・フィストを、

 魔族十二家の頂点に立ち、それらを統べる王たる十二斂魔王として印綬せんっ!』




「おお……っ! なんか、じわっと来た!?」



 テディベアのキグルミ妖精王女の両手が、俺の頭上にかざされた瞬間、

周囲がみしみし鳴る中、俺の身体にも波のような変化が通り抜けていく。



 ん? しかも、心なしか、力が溢れてくるような……



《# トロフィーを獲得しました♪》



 おおっ! やっぱし来たか!



《# 【プラチナ】 『十二斂魔王』》



 プラチナ大盤振る舞いだな……ッ!


 というか、『十二斂魔王』もトロフィーの一種としてもカウントされるのか。



《# トロフィー獲得リワード 十二斂魔王特性スキル 【魔族十二家支配デモンズ・コントロール】が

 解放されました》






勇者到着まで あと 46時間32分19秒

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