26話 ここでひとまず俺のスキルをすっきり整理してもよいだろうか
ここまでのあらすじ。
フィスト家のみなさんに、改めて「ご武運を!」って言われた!
というわけで、
《# まずこれが、今の富士雄、フォースタス・フィストのステータスです!》
『十二斂魔王トーナメント』Cブロック二回戦のため、コロシアムというか、
スタジアムへ向かう通路を歩きながら、俺はモッチーの報告を聞く。
■ ■ ■ ■
名前: フォースタス・フィスト
真命: 米村 富士雄
種族: 人間
クラス: 魔王
スキル:
『パパ・ママおしえてスカウター』由来スキル:【情報化視界】【強化索敵】【天の声】
『なんでもMYひゃっか』由来スキル:【大百科】(【情報化視界】とリンク済み)
『だいまほうつかいステッキ』由来スキル:【大魔力ブースト】
魔王特性スキル:【心魂契約】
おもちゃの女神 モモチャ由来スキル:【玩具創造】
アランドラ・トアロ由来スキル:【精密魔力知覚】
ヨーハン・フィスト由来スキル:【本領封印】(未発動)
デミスキル:
【情報化視界】由来デミスキル:【魔族ステータス看破】【視覚化マスコット】
:【魔素知覚】【魔素契約樹知覚】
:【スキル看破】【スキル構成樹知覚】
【精密魔力知覚】由来デミスキル :【未来視:二秒先の世界】
富士雄オリジナルデミスキル:【封果チェンバー】
【玩具創造】由来デミスキル:【再構成】 【復元】 【増産】 【融合】
魔族ステータス:
〔戦〕 27000
〔謀〕 12000
〔非〕 202
■ ■ ■ ■
「あのー、モッチー」
《# 私かなり頑張りましたよねっ? お礼にいい子いい子してもいいんですよ? 富士雄っ》
俺は【情報化視界】内のねんどろい◯モッチーの頭をナデナデシテさしあげながら、聞く。
「なんで【未来視】とか【本領封印】が、俺のスキルに入っているの?
モッチーのはわかるんだけど、アランドラとかヨーハン由来ってなにッ!?
というか【未来視】が【未来視:2秒後の世界】っていうデミスキル扱いになってるよ!?」
《# わ、わかりません! まさか、奪っちゃったんですか?》
「奪ってない奪ってない! ないよな!?」
俺は前を歩くヨーハンを見るが、よかった! ちゃんと胸のところに【本領封印】ある!
「俺にそういう奪う系のスキルはないから! 逆にモッチーが説明してくれよっ」
俺は【情報化視界】の中でころころと転がるねんどろ◯どモッチーを指先でぷにぷにしながら、
《# 正直言って、こちらの異世界に来てからの富士雄さんは、神である私の予想を超えていまして、
〔戦〕も〔謀〕も〔非〕も上がっていますし、
す、す、素敵すぎて、もう……もう私、ど、どうしていいかぁ……//////》
自分でも考える。
ぱっと思いつくのは、こういうことだ。
「俺、双子が使った魔術、その【魔素契約樹】を、見ただけで再現できたよな……」
《# はいっ、富士雄さんは、なんていうか、やっぱり、才能、あるんだと思うんです……》
「いや、あの【魔素契約樹】ってのが素晴らしいんだ。
アレを見てると、俺も負けてらんねぇって思う。
おもちゃ作りに、なんていうか、すごく参考に……って、話題が逸れてるな。
……話を戻せばだ、スキルを生み出す【スキル構成樹】なんだが……」
俺は、アランドラが両眼に装着していた、メガネ……というより、仮面状の樹形図を
【玩具創造】で手のひらの上に作り出し、
「……な? 作り方は【魔素契約樹】とおんなじだ。
これを使えば、これと同じスキルを、俺でも使えるようになるってことじゃ……」
《# 理屈は、通ってる気がしますが……すごくないですか? それって……》
「一件は百聞にしかず。せっかくだから、この新しいのを使ってみるか!」
《# トーナメントの前に【本領封印】はやめましょう! 効果が未知すぎます!》
「【未来視】の方をだよッ! 俺のステータスだと、【精密魔力知覚】が本命スキルで、
デミスキルで【未来視:二秒後の世界】になってっけどな!」
俺はさっそく、まずは【情報化視界】関連のスキルを一旦全部オフにして、
視界をノーマル視界に戻し、
それから片手でくいっと、アランドラの【精密魔力知覚】を装着する。
「うーわっ」
するとどうだろう、前を歩くヨーハンの背中。
老執事のボディが、まるで保健体育の教科書に載っているような、
皮膚を剥いで全身の筋肉だけを浮き上がらせたように見えるのだ。
その筋繊維は、緻密な流線グリッドで構成されていて、そこに蛍光オレンジの液体っぽいのが流れている。
おそらく、そのオレンジの液体が、知覚化された魔力だ。
「なるほど!」
蛍光オレンジ部分、つまり魔力には光の強弱があって、ヨーハンがまさに動き出さんとしている場所が、
ひときわ明るく光る。
執事のおじいちゃんが、右足を前に出そうとすれば、その一瞬前から右足が、動く方向へとオレンジ色に輝く。
普通、光は動いた後に、残光として残る。
車の赤いテールランプが尾を引くみたいに。
魔力はその逆。余光というか、予測光? が、動き出そうとする方向に伸びるのだ。
「これはわかりやすい!」
たぶん、デミスキルの【未来視】は、本命スキルの【精密魔力知覚】を
さらに鋭敏化するスキルの一種なのだろう。
アランドラは、このスキルで2秒先の世界を見ていたのだ。
「おわッ!」
魔力を直接視覚でとらえる俺のオレンジ視界の中に、突然の予兆。
2秒後、俺の目の前に女性らしき――
「ハーァアイっ!」
俺は視界を【精密魔力知覚】→通常視界→【情報化視界】に切り替える。
っていうか、もしかしてこの【未来視】、【情報化視界】のデミスキル【強化索敵】と組み合わせたら、
すごいんじゃないか……?
ともかく、
通常視界の段階で、ソイツの正体はわかっていた。
「おまえは……っ」
「覚えててくれたんデスカ? そう! 『鬼火のティーパイレン』閣下直属!
実況のフランベルジュデェース! フランって呼んでくだサーイ!」
「お、おお……」
近くで見ると、胸がでかい……!!
勇者到着まで あと 49時間25分01秒




