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異世界魔王の日常に技術革新を起こしてもよいだろうか  作者: おかゆまさき
第1章 異世界適応編 とりあえず異世界“魔王”の日常に技術革新を起こしてもよいだろうか
24/61

23話 早朝、宮殿周囲をぶらついてみてもよいだろうか

※本日二話更新です。ご注意を…!(こちら2/2)

23. 早朝、宮殿周囲をぶらついてみてもよいだろうか








温泉回、翌日。



Cグループ、二回戦当日の朝。



俺は陽が顔を出す前から起きだして、

この十二斂魔王宮殿の周囲に広がる城下町と、それを囲む外壁周辺。



そこに広がる森や原っぱ、街道や湖をめぐるように、軽めのランニングから始めてみた。



やっぱこう、俺がもといた世界とは、なんというか、自然を構成してるものの質がそもそも違うっていうの?



良い悪いとかじゃなく、たぶん、土地も樹木も、水も空気も光も基本構成? が違うから、

日本とは根本から違う景色が広がっていて、

改めてファンタジーって素晴らしいって思った。


こう全体的に、スタジオ○ブリっぽい感じ。



「こっちの世界の色彩設定は誰なんだろうか……」



《# ふぁぁあ……お、おはようございます、富士雄》



そして【情報化視界】の中に、寝起きのモッチーさん登場。



俺は自然あふれる場外区域から壁内に戻り、


朝ごはん(パン?)っぽい匂いが漂う城下町の一角、

住民の魔族たちが住む、居住区画を縫うようにデコボコと石畳が敷かれた生活道路を歩きながら、



「昨夜はお楽しみでしたね」



《# な、なにを富士雄はヒトゴトみたいに言ってるんですか!?》



 真っ赤になるねんど◯いどモッチーは、今日もかわいい。



《# それにしても朝から、すごいスタミナですね、富士雄……》


「いや、いろいろ思いついたりしてさ。気が早いとは思うんだけど、どうやって勇者と和解しようかとか。

 そのためには、やっぱりいろいろ仕込みが必要じゃんね……」



城下町は、中央の『十二斂魔王宮殿』を中心に、環状に作られた計画都市っぽかった。



住人はたぶん、宮殿に勤めてる武官と文官、あと維持したりする職人達とその家族。

昨日モッチーが言っていた、『十二斂魔王議会』っていう組織の人たちだと思う。


……だと思うん、だけど、なんだか街には、それ以上の活気がある気がする。



やっぱり、『魔族特区』は魔族同士の交流が盛んだったりして、それなりに発展もするのだろうか。



というか、街のあちこちを見て回るにつれ、だんだん気になってきてはいるんだが、



「なんか、異様に広い敷地を持つ、大きな建物がいっぱいある気がするんだが……誰か偉い人のお屋敷か?」



《# 各家の大使館は宮殿に集約されてますから、そういうのと違うでしょうし。あれじゃないですか?

   江戸時代に各藩が、江戸に藩邸をおいてたじゃないですか。あれはその、十二家バージョンみたいな》



江戸時代を語り始める女神かわいいです。



「いや、それにしてもでかすぎだろ。並のホテル以上だぞ?」



その疑問は、時間が経ち、街に人が出始めてから氷解した。



「学校だ!!」

《# 学校です!》



なんかこの街、学校がたくさんある……!



制服を来た魔族の男女が、通りに現れ始め、屋台で朝ごはん的なの食べてる!!



そして、見た目的に人間の子どもはやっぱり珍しいのか、みんなこっちをチラチラ見てくる……!



慌てて太い通りに出て、人混みに紛れる。



「あれかな、こう、子供を他家の魔族の間で揉ませる中で、強くするために留学させてるみたいな?」


《# いろいろな考えを持つ学生同士の交流は知識の交換と発展に最適でしょうし……というか、

   街が全体的に学生街なんですね、きっと》



「ふむ……学生街か……。なんか街の雰囲気に見覚えあると思ったんだ……。

 となると、意外と子供が多そうで、かなり嬉しいんだが……!!」



周囲では魔族っぽい商人や職人たちが、早くから店の支度を始めている。


あそこにあるのは八百屋さん……だろうか。

野菜っぽいものが籠に入って、ゴロゴロと並べてある。



俺もちょっと、お腹すいたな……。



あのりんごっぽいツヤツヤした赤い実、うまそうなんだが……俺、お金、もってない。



あ、お水はさっき、城外の小川で飲んだんだよ?

冷たくておいしかったです!



というか、こっちのお金ってどんなんだろ。

やっぱ、銅貨、銀貨、金貨とかなんだろうか。


それだとあんまり、魔族っぽくない気もするけど。

今度それも聞いてみよう。



……ともあれ、

考えてみれば、いまこの城下町は『十二斂魔王トーナメント』というフェスティバル中で、

いわば観光シーズン? みたいな稼ぎ時でもあるのだ。



道行く人々も、なんかみんなそわついていて、今も街全体が薄い興奮に包まれいてる。


いいな。楽しいな。




徐々に賑やかに鳴り始める城下町を、さらにぶらぶら歩きながら、



「なぁモッチー、どう……? ここ、たぶんここ、常設の商店街というか、

 マーケットだと思うんだけど、俺のおもちゃ屋を置くとしたら、どのあたりがいいんだろうかっ」



俺は、できるだけ通りを行く子供を見ないようにしながらモッチーに相談する。


だって、そうしないとあそこにいる魔族の幼い兄妹とかに話しかけちゃいそうっ!

今日は大切な試合があるのに、声かけ事案とかになったら魔王として正直困る。



《# や、や、やっぱり、子どもが集まってくるところですから、ひ、ひ、広場に面してたりすると、

   いいと思うんですっ!》



モッチーも大変そう!



「だよねモッチー! さすが、俺もおんなじコト考えてた。

 こう、その広場でイベントとかもしたいんだけど! 竹とんぼ大会とか、

 あ、紙芝居とかするのどう?? 子ども達、絶対集まってくると思うんだけど」


《# 素晴らしいです富士雄っ!! あ、あ、それなら、ちょっとした駄菓子とかも、

 お店に置いて――》

 


 俺とモッチーはひとしきりおもちゃ屋妄想に浸った。



……いや、妄想じゃない。

これはいずれ実現する現実なのだ!



「よし……!!」



 俺はほてった両頬をぱしんと叩く。



ゆっくり作戦を実行するのは、コレがちゃんと終わってからだ。

引っ越し直後はドタバタするの、しかたない!



「テンション上がったところで、ここからは今日の試合のために切り替えよう。

 ええと、実は俺、モッチーに頼みたいことがあって」


《# なんでしょう富士雄。私でできることなら》


「本当は昨日のうちにやっちゃいたかったんだけど……、

 ほらさ、俺のスキル、できることがすごい勢いでごちゃついちゃってるじゃん?

 これ、なんとか次の試合までに整理できないかなーって……」


《# はぁ……うっ、は、はいっ! ラジャーです富士雄!! 私の方で、整えます……っ!》



「頼む!!」



 俺は【情報化視界】の中のモッチーが、顔を赤らめつつ、瓶底眼鏡を装着し、

机に向かって仕事を始めたのを横目に、




主に石造りの城下町を、フィスト家区画の城部へとてくてく歩きながらタオルで汗を拭く。



それからフィスト家の衛兵と挨拶を交わし、

城区画の中、自室として使う許可をもらった控室へと向かう。



てくてくと回廊を歩いたり、スロープを登ったり階段を上がったり。



「ふー……」



見知らぬ土地と街をぶらついて、ちょっと緊張していたらしい。

楽しかったけど、こっちの世界に来たばっかりだが、フィスト家エリアはやっぱり落ち着く。



我が家ァ……。



というか、この魔王としての身体、まじでスタミナあるな。


14歳のフレッシュボディだとしても、疲れとかまったくないばかりか、

集中力とかやる気が途切れる気配とか全然ないんだが……。



「おかえりなさいませ、若」


 

自室として貰った控え部屋に入る寸前、声に振り向けば、腰を折り曲げたフィスト家の老執事。 



「あ、ヨーハン、ちょうどよかった。俺、もうちょっと身体を動かしたいんだけど、

 どこかに、トレーニングできるような――」



 俺の視界に、あの双子のおじいちゃんのステータスがいつものように表示されたんだが、



■ ■ ■ ■

 名前:  ヨーハン・フィスト

 種族:  魔族

 クラス: 執事(家礼)


 スキル:【本領封印】【執事】【***】【*****】【斬糸技】【風属性付与】

デミスキル:【*****】【風属性斬糸】


〔戦〕 120【本領封印】


 〔謀〕  50【本領封印】


 〔非〕   2【本領封印】

■ ■ ■ ■



スキルが見えてる!!


いや、見えてない!? 【****】?? あ、あれっ??



……っと、そうだ、思い出した。



昨日の一回戦で、アランドラのスキルを見ぬいた時に、

トロフィーリワードで【スキル看破】が追加されたんだけど……。



昨日、ヨーハンのこれを見た時にも思ったんだけど、

やっぱりこの、ヨーハンの【本領封印】、すごく気になる。



■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


スキル構成樹(ストラクチャ)


スキル名称:【本領封印】

属性   : 封印系

等級   : S級(奇譚級)

効果   : 実力を大幅にセーブする。それに伴い任意の奇譚級以下のスキルを封印する。


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■



なんでヨーハン、常時これを稼働させてるんだろう……。


見ればヨーハンの胸のあたりに、小さいが【スキル構成樹(ストラクチャ)】が

刻み込まれているのがわかる。


いったい、なんのために……。

ヨーハン、マジで謎の執事だよな。


これからも怒らせないようにしよう。



「若、昨日の疲れは取れましたか?」


「あ、それはもうバッチリ……。というか俺より、対戦相手だった、あのアランドラが心配なんだが」



俺は、パッサパサになってしまっていた美青年魔王を思い出す。

あれはほんと悪いことした。



「アランドラ・トアロ殿も、仮にも魔王。回復にしばらくはかかるでしょうが、

 あの程度の魔力枯渇ならば、後遺症もないかと。

 復活したら逆に強くなるくらいです」


「そっか、ならいいけど……って、逆に強く!?」



と、とりあえず、しばらくはワインとかじゃなく、栄養のあるものを食べて欲しい。



「では、こちらへ」


「……ん?」



俺は先立って歩くヨーハンの後をついて歩く。


そういえば、俺、トレーニングルームの件、ヨーハンに言ったっけ?



なんか、今歩いているこの回廊、

最初に俺が回復ポッドみたいのから出てきた後、歩いたのと同じルートっぽいのだが。



「おおっ」



やはりそうだった。



謁見の間?



王様がいて、家臣たちが、ははーってする部屋だと思う。



俺が、舞台裏みたいな所から、トコトコと玉座の前に姿を現すと、

ズラーッと膝をついて並んでいた家臣団みたいな、正装でキリっとしたフィスト家の魔族達が



床に片膝、片腕をつき



ははーってしてた。



あれ? 待って?



俺、ベッドにあったシーツを素材として【玩具創造(トイ・ファクター)】で

適当に作ったジャージ姿なんだが……!


明日からは、通常1話ずつ更新となります!

がんばります…!



勇者到着まで あと 49時間58分40秒

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