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異世界魔王の日常に技術革新を起こしてもよいだろうか  作者: おかゆまさき
プロローグ 異世界スキル授与編  神様と名刺交換してもよいだろうか
2/61

02話 転生先は自由に選んでもよいだろうか

 2話目です。

 よろしくお願いします。


※初日、連続十五話まで更新予定。ご注意ください…!









 俺の名前は米村富士雄。


 名前の通り正真正銘、愛くるしいまでの日本男児だ。


 そんな俺が、28歳でおもちゃを喉に詰まらせ、死んでしまうとは情けない。

 本当に、なさけない……っ。


 でも、俺は今、なぜか空の上の天界にいて、

 目の前にはおもちゃの神を名乗る白いゴスロリ娘がいる。


 彼女は俺を生き返らせ……というか、転生させるって言っているんだが、



「転生って、あの、異世界に転生ってやつか……?」


「はい! おもちゃの神として、世界で一番おもちゃを愛する大人である富士雄さんの魂を、

 どうにかそのまま別の世界に送り込みます」


「ファンタジー! それならファンタジーの国にしてくれ! 魔法と剣の世界!

 俺はこの際、そういう世界で、ゆっくりとおもちゃ作りにはげみたい……!」


「すばらしいです……! 富士雄さんのご希望には最大限、沿うようにしたいとおもいます!」


「よし……! よしっ! ありがとうモッチー!」

 


俺は舞った。


 ブーン!


 両手をひろげ、背広をなびかせ。


 ブーンブーン!


 雲の上の風、きもちいいぜ……。



「ですが、あの……わたし、神とはいえ、おもちゃの神。

 ……その、神力かみぢからが、そんなに強くなくてですね……?」


「……ん? どうしたモッチー」



 おもちゃ神がもじもじしている。

 トイレかな?



「転生先なんですが、次の3つからしか、選べないんです……」


「3つ……?」


「すいませんすいません! わたし大きいことばっかりいっちゃってますが、

 これでも頑張ったんです! そりゃもう、他の神様なら10も20も、

 へたしたら100とかの転生先を用意できるんですが、

 わたし、ようやくこの3つをかき集めるのが精一杯で……っ!」


「いやいやいや、いいから、大丈夫。3つもある中から選べるなんて、それでもすごいから」


「そ、そうですかぁ……?」


「ああ、普通は転生先は一個に決まってて、選ぶとかないから」


「え、ええ……?」



 モッチーは顔を真っ赤にして鼻水をすすりながら、



「富士雄さんが、そう言ってくれるなら、わたし、がんばります……!」


「ああ。やっぱ、神様ってすごいんだな。

 俺、モッチーのこと見直したよ。じゃあ、1個ずつ教えてくれ」


「そ、そんな、世界で一番かわいいよだなんて……!」



 それは言ってないが、まあ、それでもいい。


 だって、すごいわくわくする。


 選べる転生先なんて、テンションあがってきたぞ……!



「じゃあ、ひとつめはですね、えーと、『クマムシ』」


「……へ?」


「これはですね、すごいですよー。

 不死身昆虫のクマムシに転生した富士雄さんは、NASAに捕獲され、

 そのままロケットで宇宙実験のために打ち上げられてですね、

 そのまま200万年宇宙を漂ってから、太陽に突っ込みます」


「パスパスパスパスだめだめだめだめ! このダメ神がぁッ!」



「さ、さっきは結婚しようって言ってくれたのにぃ……!?」



「そもそもクマムシじゃ、おもちゃ作れないよね!? 子供達のために……!」


「でも、クマムシは貴重な特性スキル【極限環境耐性】を持っているんですよ!?

 超生物です! 太陽の中でも生き残るかもしれません!」


「いっそ死にたい! 200万年も独りぼっちで孤独な夜を漂いたくない!」


「富士雄さんの、そういうポエマーなとこ、好きです」


「うるさいよ!」



 あやうく地獄に転生するところだった。


 この神、本当に俺の味方なのか……?


 そもそもNASAとか出て来た時点で、異世界でもないしな……。



「では、気を取り直して、二つ目の転生先。『シロウリガイ』」


「……はぃ?」


「これはですね、『しんかい2000』によって確認された超レア転生先で、

 光の届かない深海の奥底で吹き出る熱水に含まれるメタンとかを栄養源にする貝でして」


「貝って言っちゃったよ!」


「でも、貴重な特性スキル【極限環境耐性】を手に入れるチャンスですよ?」


「クマムシと同じスキル! ……待って!? モッチー言ったよね!?

 富士雄さんの夢、『全ての子供が俺のおもちゃで笑顔になる世界』を、

 こんなとことで終わらせるわけにはいきませんって!」


「はい、ドヤ顔でいいました」


「じゃあなんでさっきからクマムシとか貝とか、

 人間じゃないタイプの転生先ばっか出してくるの? おもちゃつくれない!」



「すいませんっ! 無能な神ですいませんっ!

 じゃあ、富士雄さんが選ぶのは、この2番ということで……?」



「チガウ違うチガウ違う! なにが『ということで』なの!? ばか! ばか!

 ばかモッチー! こわい! 光も届かない深海で俺のまま一人ぼっちで転生するとかこわい!

 頼む……もうこのまま成仏させてェ……」



「だめです富士雄さん! 富士雄さんの夢、

 『全ての子供が俺のおもちゃで笑顔になる世界』を、こんなとことで終わらせるわけにはいきませんっ!」



「うるさいよ! 最後の三つ目のヤツがだめだったら、俺もう、問答無用で成仏するから!」



 なんで神様に「ファンです!」って見初められ、来世で畜生道に落ちなきゃならんのか。

『しんかい2000』が出て来た時点で、これもファンタジー異世界じゃないし。



「では、次が最後の三つ目の転生先。『魔王』」


「魔王キターー……ッ!!」


 天界でモッチーとずっと転生コントしててもいいような気がしてきた。

 うそですが。


 次回、ついに転生先決定。


 そして転生前の、神様によるスキル授与です。


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